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- 病理と臨床 2020年11月号(38巻11号)消化器腫瘍Ⅰ 新WHO分類のポイント 消化管編
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序文
特集 消化器腫瘍Ⅰ新WHO分類のポイント
消化管編
特集編集
牛久哲男 [東京大学大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学分野]
関根茂樹 [国立がん研究センター中央病院 病理診断科]
WHO blue book 5th editionの第一弾として,Digestive System Tumoursが昨年7月に出版された.4th editionの出版は2010年なので,9年ぶりの改訂である.今回の改訂に伴い,本邦から発信された胃底腺型胃癌をはじめとする幾つかの新たな疾患概念が追加されたほか,虫垂goblet cell adenocarcinomaや鋸歯状病変などで名称の変更が行われた.また,基礎研究,特に癌ゲノム研究が大きく前進したことを反映し,胃癌ではThe Cancer Genome Atlas(TCGA)の結果に基づく4つの分子学的なサブタイプが紹介されるなど,遺伝子異常や分子分類に関する記載が大幅に増加している.しかしながら,消化管の領域では,胃癌におけるHER2増幅や大腸癌におけるKRAS,BRAF変異検索などの臨床での利用が一般化したものの,今回の改訂内容を見ても,総じて分子病理学的な知見がこれまでの腫瘍分類や,実臨床における病理診断のプラクティスを大きく変えるような状況には至っていないといえるだろう.また,今回の改訂では多臓器に共通して発生する腫瘍としてHaematolymphoid tumours,Mesenchymal tumours,Other tumours(Mucosal melanoma,Germ cell tumours,Metastases),Genetic tumour syndromes が臓器横断的な章として独立した.この結果,肝胆膵領域を含むDigestive system tumoursは全体として2019年版では2010年版と比して1.5倍の分量となっている.
WHO blue bookでは,腫瘍分類の世界的なスタンダードが示されている.日常診療では一般的な悪性腫瘍を中心として取扱い規約に基づく診断を行うことが多いと思われるが,特に海外の文献を読んだり,研究を行う上では日本の規約分類との対応や日本での標準的な診断基準との整合性について理解しておくことが必要である.本号では,「消化器腫瘍Ⅰ 新WHO分類のポイント 消化管編」として,食道,胃,小腸,虫垂,結腸・直腸,および内分泌細胞腫瘍について,主に今回の改訂作業に関わった先生方に,改訂のポイントや日本における診断基準との整合性や留意点について解説をお願いした.なお次号ではこれに続いて,「肝胆膵編」の特集も予定されている.読者の皆さんが新分類の概要を正しく理解され,診断や研究に生かしていただく機会となれば幸いである.
目次
特集 消化器腫瘍Ⅰ 新WHO 分類のポイント 消化管編
食道/河内 洋
胃非浸潤性病変/九嶋亮治
胃浸潤性病変/牛久哲男
小腸/関根茂樹
虫垂/岸本光夫
結腸・直腸・肛門管非浸潤性病変(IBD─associated dysplasia を含む)/八尾隆史
結腸・直腸・肛門管浸潤性病変/田中義人他
内分泌細胞腫瘍/岩渕三哉
間葉系腫瘍/山元英崇
連載
●マクロクイズ[139]/小島史好
●切り出しのキモ ─私はここをこう切っている─[8] 食道/根本哲生他
●疾患Globalization ─本邦では少ないが,知っておくべき疾患2020 ─[8] セリアック病/田邉 寛他
今月の話題
● DICER1症候群/ 相島慎一
● “PF─ILD”時代における間質性肺炎の病理診断/ 谷野美智枝
CPC 解説
●胃癌再発による播種性骨髄癌症のため急激な経過をたどり死亡した1剖検例/大倉航平他
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書籍情報
- ISBN:9784011203811
- ページ数:102頁
- 書籍発行日:2020年11月
- 電子版発売日:2021年1月1日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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