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- 病理と臨床 2023年9月号(41巻9号) 乳腺診断のエッセンス
商品情報
内容
序文
乳腺診断のエッセンス
乳腺領域の病理診断には,生検検体における良悪性の鑑別,切除検体における広がり診断や治療効果判定,バイオマーカー評価などがある.病理診断業務の観点からはさほど特徴のある内容ではないが,乳腺病理診断はやや難しいものとしてとらえられている部分があるようにも感じる.
本誌における乳腺領域の特集では,36巻9号(2018年)「乳腺Ⅰ─改訂乳癌取扱い規約分類の考え方」,36巻10号(2018年)「乳腺Ⅱ─乳癌治療個別化のための病理診断」が企画され,改訂された取扱い規約のガイダンスとともに乳腺病理診断に新たに必要となった項目などが取り上げられた.その後,39巻4号(2021年)「乳腺腫瘍─WHO分類第5版 改訂のポイント」では,大きな関心が寄せられたWHO分類第5版における改訂項目を中心に解説されている.現行の組織分類についてもふんだんに盛り込まれており,現時点でも役立つ内容となっている.本号の特集では,日常の病理診断に即した内容を取り上げており,乳腺病理診断をする際に気になる点,注意が必要な点などを解説し,理解を深めていただくとともに,紹介された最新の情報についても,知識を広げていただきたい.
まず,乳腺領域の診断にあたっては,生検診断や細胞診判定が行われる.生検病理診断は,乳腺診療の基盤となるものであり,生検診断に記載する内容や生検診断のクルーなどを鹿股直樹先生に記載していただいた.乳腺細胞診は対象病変を変えながらも今なお重用されている判定手法である.日本でも有数の乳癌症例を取り扱っている相良病院の大井恭代先生には,細胞診判定のピットフォールや報告様式に関しての新たな動向についても概説していただいた.切除された検体における浸潤径の判断や治療効果判定を正しく行うことは,T因子決定や画像上の治療効果判定との乖離を避けるために重要である.しかしながら,このあたりの認識が病理側で十分になされていないように感じることもあり,前者については杉野弘和/吉田が解説し,後者については小塚祐司先生に記載いただいた.現在,乳癌取扱い規約の改訂作業が進められているが,津田 均先生には改訂の方向性や取扱い規約とWHO分類の用い方について概説をお願いした.日常診断では良悪の鑑別や組織型を判断する際にしばしば免疫組織化学的なアプローチが用いられるが,その使い方などについて森谷鈴子先生に具体的に示していただいた.バイオマーカー判定については乳癌診療において欠くことのできないものとなっており,最新の情報を含め坂谷が解説した.近年,乳腺腫瘍においても様々な分子生物学的異常が報告されてきている.分子診断についてキャッチアップしておくことは大切であり,大迫 智先生には特徴的な変異を有する腫瘍を中心に取り上げていただいた.期せずして内容に重複や差異が生じた病変やピットフォールについては筆者らが重要と認識している証左でもあり,そのまま記載を残した.
今回の企画が,病理の世界に足を踏み入れたばかりの若手医師が乳腺病理を学ぶにあたっての絶好の機会となり,また熟練した病理医にとっての知識再確認の場となればと願っている.
坂谷貴司 [日本医科大学付属病院 病理診断科]
吉田正行 [国立がん研究センター中央病院 病理診断科]
目次
【特 集】
生検検体診断の要点 鹿股直樹
細胞診判定の要点 大井恭代
乳癌広がり診断 ―浸潤の判定と浸潤径の考え方を中心に― 杉野弘和 他
治療効果判定について 小塚祐司 他
組織亜型に対する取扱い規約とWHO分類の用い方 津田 均
乳腺病理診断における免疫組織化学の使い方 森谷鈴子
乳癌におけるバイオマーカー判定 坂谷貴司
希少乳腺腫瘍に対する分子病理診断 大迫 智
【速報解説!ここが変わった】
「膵癌取扱い規約 第8版」改訂ポイント 福嶋敬宜
【連 載】
マクロクイズ[173] 大迫 智
鑑別の森[24]
甲状腺の濾胞癌と低分化癌
Answer 1:安岡弘直
Answer 2:大橋隆治
AIと病理─これまでの5年,これからの5年[2]
医療情報と自然言語処理 武田浩一 他
病理トレンド[4]
日本病理学会からの令和6(2024)年診療報酬改定要望 佐々木 毅
【Information】
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書籍情報
- ISBN:9784011204109
- ページ数:106頁
- 書籍発行日:2023年8月
- 電子版発売日:2023年9月1日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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