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- 病理と臨床 2024年臨時増刊号(42巻)病理形態学キーワード2024
商品情報
内容
病理の診断名ではなく,主に所見用語を切り口として,その用語の意味や意義,広がりを読み解き,好評を博した「病理形態学キーワード」(病理と臨床 2010年臨時増刊号(28巻)).今回も各臓器の新進気鋭の専門家を執筆陣に迎え,21の臓器から重要な所見やトピックスとなる208のキーワードを取り上げ,定義,背景,病理,関連病変などを写真とともに解説する.形態学を基にした病理診断に求められる,“所見を拾い上げる力”と“その所見の意義を正しく位置づけ,最終診断に至る力”を養う1冊.
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序文
『病理と臨床』42巻臨時増刊号
病理形態学キーワード2024
発刊にあたって
形態学を基盤にして正しく病理診断を行うためには様々な能力が必要である.重要なものの一つとして多彩な組織像から特徴的な所見,診断にとって意義の大きい所見を見出し,所見の意義を正しく位置づける能力があり,もう一つとして所見の組み合わせから疾患を想起し,鑑別診断,診断の確定に至る能力が挙げられる.通常,教科書を通した病理学の勉強では,疾患ごとにまとめられた概念,病理所見,鑑別診断を理解して覚えることになり,後者の能力は身につくが,前者の能力である所見の拾い上げ,位置づけについて習得することは容易ではない.同じ組織像を顕微鏡でみていても観察者間でその表現,所見が異なることはしばしば経験され,所見のとり方,意義づけが人により,また施設や地域によって異なる場合が経験される.同じ言葉からそれぞれが思い浮かべる組織変化も異なって当然かと思われる.さらに,病理診断にとって重要な所見は様々あるが,同じ言葉でも臓器によって使い方,指す組織像,意義について違いがあることもしばしばあり,臓器ごとにそれぞれの所見,キーワードの意義を正しく理解する必要がある.
2023年4月刊行の『病理と臨床』41巻臨時増刊号では「病理診断クイックリファレンス2023」をテーマとし,臓器ごとに専門医試験でも繰り返し出題されるような重要疾患について,疾患概念,診断クルー,ピットフォールなどを写真とともに解説している.今回42巻臨時増刊号として企画した「病理形態学キーワード2024」は,疾患名ではなく臓器ごとの重要な所見,トピックス的なキーワードを取り上げ,それぞれの定義,背景,病理,関連病変などを適切な写真とともに解説するものである.読者にとって,病理診断における所見の拾い上げ,位置づけに役立つことが期待される.「病理形態学キーワード」については以前28巻(2010年)においても発刊されているが,今回までの間にかなりの時間経過があり,その間の病理診断学,治療法の進歩により重要な所見,トピックスも変化していると考えられる.実際,多くの読者から改訂の希望が編集部に寄せられている.
今回の42巻では執筆者として各臓器の新進気鋭の専門家に多く加わっていただき,キーワードの選定から解説までを担当していただいた.若手病理医,特に専門医試験受験前の専攻医にとっては「病理診断クイックリファレンス2023」と組み合わせて勉強することにより,学習効果はさらに上がることが期待され,ベテラン医師にとっても重要な生涯学習のツールになると思われる.
『病理と臨床』編集委員会
目次
第1章 頭頸部
01 HPV感染
02 表層分化型
03 上皮内水疱・上皮下水疱
04 歯原性上皮
05 幻影細胞
06 二相性分化
07 腫瘍随伴リンパ球増生
08 基底細胞様
09 導管内増殖
10 粘液細胞
第2章 肺―非腫瘍―
01 蜂巣肺
02 器質化肺炎(パターン)
03 硝子膜
04 胸膜肺実質線維弾性化
05 空洞性・囊胞性病変
06 肺類上皮細胞肉芽腫
07 蔓状病変
08 肺の異常(anomalous)血管
09 肺の壊死性肉芽腫性血管炎
10 含鉄・石綿小体
11 肺ウイルス感染関連所見
第3章 肺―腫瘍―
01 lepidic pattern
02 活動性の線維芽細胞
03 微小乳頭型パターン
04 複雑腺系型
05 tumor spread through air spaces(STAS)
06 粘液産生腫瘍細胞
07 腸型分化
08 胎児肺型形質
09 神経内分泌形態
10 alveolar space-filling pattern
第4章 縦隔
01 胸腺上皮細胞の多様性
02 未熟Tリンパ球
03 胸腺リンパ濾胞
04 血管周囲腔と髄質分化
05 小結節構造
06 紡錘形細胞
07 rhabdoid feature
08 神経内分泌分化
09 胚細胞腫瘍の異常血管
10 多房性胸腺囊胞
第5章 食道
01 表層分化型・上皮内偏平上皮癌
02 治療効果判定
03 上皮内細胞浸潤
04 導管分化
05 pseudocarcinomatous hyperplasia
06 ヨード不染帯・淡染帯
07 droplet infiltration
08 導管内進展
09 食道胃接合部領域
第6章 胃
01 胃型形質
02 壁細胞過形成
03 幽門腺化生・偽幽門腺化生
04 腸上皮化生(完全型・不完全型)
05 増殖帯
06 内分泌細胞微小胞巣
07 リンパ上皮性病変
08 ラズベリー様ポリープ
09 胃底腺・頸粘液細胞分化
10 手つなぎ・横這い型癌
第7章 腸管
01 簇出
02 desmoplastic reaction(DR)
03 陰窩の構造異常
04 異所性陰窩
05 ミスマッチ修復タンパク異常
06 類上皮細胞肉芽腫
07 陰窩上皮アポトーシス
08 腫瘍内浸潤リンパ球
09 lymphoepithelial lesion (LEL)/intraepithelial lymphocyte (IEL)
10 腸間膜静脈炎/静脈硬化
第8章 肝
01 壊死炎症
02 線維化
03 胆汁うっ滞・肝内胆管障害・細胆管増生
04 脂肪変性
05 肉芽腫
06 異常血管(動脈系・門脈系)
07 SVR後の肝組織像
08 免疫チェックポイント阻害薬による肝障害
09 肝細胞・胆管細胞分化
10 ductal plate malformation
第9章 胆・膵
01 groove lesion
02 ductulo-insular complex
03 腺房導管化生
04 膵脂肪置換/膵脂肪腫症
05 花筵状線維化
06 papillary neoplasm
07 squamoid/meningothelial-like morules
08 brush border-like zone
09 破骨細胞様巨細胞
10 偽乳頭状構築
第10章 腎
01 淡明な細胞質
02 好酸性細胞質
03 乳頭状構築
04 紡錘形細胞
05 molecularly defined renal carcinomas
06 糸球体硬化(閉塞型,充実型)
07 管内細胞増多と半月体
08 ポドサイト腫大
09 過剰濾過と糸球体肥大
10 尿細管内円柱
第11章 尿管・膀胱・尿道
01 (尿路上皮の)化生
02 (尿路の)筋層
03 (尿路上皮癌の)浸潤
04 (尿路上皮癌の)divergent differentiation
05 (尿路上皮癌の)内反性増殖
06 Paris System
07 (尿路上皮癌の)異型度
08 (尿路の)乳頭状病変
09 (尿路の)平坦状病変
10 膀胱炎
第12章 男性生殖器
01 小型腺管―独立管状腺管で構成される腺癌とその鑑別診断―
02 導管内病変
03 乳頭状・房状構造
04 篩状構造
05 Gleasonパターン4/5の割合
06 神経内分泌分化
07 局所進行性癌
08 精細管内病変
09 思春期前型・後型
10 体細胞型悪性腫瘍
第13章 女性生殖器
01 浮遊核分裂/頂端核分裂
02 Silvaシステム
03 p16陽性
04 MELFパターン
05 子宮体癌の脱分化
06 類内膜癌の異型度(グレード)
07 中腎管様分化
08 SETパターン
09 腹膜インプラント
10 胎児血管灌流不全
第14章 乳腺
01 筋上皮細胞
02 乳頭状構造
03 篩状構造
04 壊死と石灰化
05 化生
06 グレード分類(異型度)
07 混合癌
08 線維化(硬化性病変)
09 サブタイプ
第15章 内分泌
01 核内細胞質封入体
02 被膜浸潤/血管浸潤
03 甲状腺濾胞のpacking
04 STIパターン
05 normal rim
06 Weissクライテリア
07 コルチゾール/アルドステロン産生
08 PASS/GAPPスコア
09 血管周囲性配列
10 カテコールアミン産生
第16章 リンパ組織
01 Hodgkin/Reed-Sternberg細胞
02 light chain restriction
03 MYC and BCL2 rearrangements
04 T-follicular helper細胞(TFH)
05 transformationとtransdifferentiation
06 単球様B細胞
07 三日月核組織球
08 Langhans型巨細胞
09 hyaline-vascularとhyper-vascular
10 非腫瘍性疾患における形質細胞増生
第17章 血液・骨髄
01 芽球の分化傾向
02 芽球の割合
03 異形成と異型
04 腫瘍性形質細胞
05 骨髄の線維化
06 骨髄移植後変化
07 血球貪食
08 骨髄間質
09 ヘマトゴン
10 リンパ腫の骨髄浸潤
第18章 骨・軟部
01 エピジェネティクス
02 リスク分類
03 局所浸潤型肉腫
04 脱分化
05 魚骨・花筵・血管周皮腫様配列
06 円形細胞肉腫
07 脂肪成分
08 軟骨成分
09 多核巨細胞
10 ラブドイド細胞
第19章 心・血管
01 心筋細胞肥大
02 心筋細胞空胞化
03 心筋間質線維化
04 心筋錯綜配列
05 心筋凝固壊死
06 出血性心筋梗塞
07 アミロイド沈着
08 脂肪浸潤
09 収縮帯壊死
第20章 皮膚
01 表皮壊死
02 リンパ球性血管炎
03 melanocytic colonization
04 pagetoid spread
05 umbrella sign
06 表皮向性
07 クリオグロブリン
08 rimming of adipocytes
09 メラノサイトのmaturation
10 外毛根鞘性角化
第21章 神経
01 びまん性グリオーマと限局性グリオーマ
02 微小血管増殖およびグリオーマでみられるその他の血管の異常
03 胎児性腫瘍といわゆるPNET様要素
04 oligodendroglia-like cell(OLC)
05 ロゼットおよび偽ロゼット
06 BRAF異常を示す脳腫瘍
07 てんかん原生病変
08 脱髄
09 タウオパチー・シヌクレイノパチー
10 神経核内封入体病
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書籍情報
- ISBN:9784011204200
- ページ数:516頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年4月2日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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