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- 病理と臨床 2024年6月号（42巻6号）頭頸部腫瘍Ⅰ―唾液腺腫瘍―
商品情報
内容
特集テーマは「頭頸部腫瘍Ⅰ―唾液腺腫瘍―」．唾液腺腫瘍WHO分類の変遷とWHO分類第5版（2024年）改訂のポイント／臨床的・治療的側面からみた唾液腺腫瘍／主に口腔内に発生する唾液腺型腫瘍／悪性唾液腺腫瘍の新しい疾患概念／良性唾液腺腫瘍の新しい疾患概念 等を取り上げる．連載記事として［マクロクイズ］，［鑑別の森］，[AIと病理―これまでの5年，これからの5年]，［病理トレンド］また，［今月の話題］ 等を掲載する．
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序文
頭頸部腫瘍Ⅰ ―唾液腺腫瘍―
他臓器と同様に，頭頸部腫瘍においてもWHO分類は広く診断のスタンダードとして用いられている．頭頸部腫瘍WHO分類は，2017年の第4版から比較的短い期間で第5版の準備が始まり，2022年にオンライン・β版として公開，2024年に冊子として第5版が刊行された．今回このWHO分類第5版の出版を受けて，2 号にわたる頭頸部腫瘍特集が企画された．今回の「頭頸部腫瘍Ⅰ」では唾液腺腫瘍を取り上げ，続く「頭頸部腫瘍Ⅱ」では上気道・口腔・歯原性・顎顔面骨腫瘍を特集する．
唾液腺腫瘍は，遺伝子異常などの知見が蓄積し，疾患概念自体が大きく深化してきている領域の一つである．唾液腺腫瘍のWHO分類は，遺伝子異常によって特徴づけられる疾患概念を加えながらも，遺伝子偏重とならず，古典的な疾患概念をベースに形態学と遺伝子の両者をうまく調和させているといえる．今号の特集では，今回の改訂に至る歴史的経緯や新たな疾患概念を紹介するのはもちろんのこと，分類学の視点からだけでなく，多面的に唾液腺腫瘍をとらえるための内容を取り入れた．
多種の組織型がある唾液腺腫瘍では，術前にどこまでの情報が提供できるのか，あるいはすべきかでしばしば悩む．臨床側からの視点，そして術前の穿刺吸引細胞診の判定基準であるミラノシステムの活用例から病理診断のありかたを見つめることができればと考えている．また，唾液腺腫瘍は治療面でも大きく変わりつつあり，分子標的薬を含めた最新の治療に関して，日本の唾液腺腫瘍治療の第一人者に解説していただく．
診断に関しては二つの視点から唾液腺腫瘍に迫ることとした．一つは唾液腺腫瘍の大部分を占める二相性分化を伴う腫瘍で，これらの腫瘍は古典的な腫瘍型でありながら，診断にしばしば苦慮する．永遠のテーマともいえるこの課題に，近年のアップデートを含めてアプローチする．もう一つは，主に口腔内小唾液腺に発生する唾液腺腫瘍である．同じ唾液腺腫瘍の中でも腫瘍型ごとの発生頻度には偏りがあり，これらの腫瘍型を把握することで，より体系的な唾液腺腫瘍診断につながると考えられる．
個々の腫瘍型の詳説は成書に譲るとして，最新の知見を含め様々な視点からまとめられた本特集が，日常診療における唾液腺腫瘍診断の一助となれば幸いである．
特集編集
中黒匡人 ［名古屋大学医学部医学系研究科 病態構造解析学］
山元英崇 ［岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病理学（腫瘍病理）］
目次
【特 集】
唾液腺腫瘍WHO分類の変遷とWHO分類第5版（2024年）改訂のポイント……長尾俊孝
臨床的・治療的側面からみた唾液腺腫瘍……多田雄一郎
唾液腺腫瘍細胞診：ミラノシステムの活用……野上美和子 他
唾液腺腫瘍病理診断に必要な免疫染色，遺伝子検査……中黒匡人
二相性分化・二層構造を伴う唾液腺腫瘍の鑑別診断……浦野 誠
主に口腔内に発生する唾液腺型腫瘍……宮部 悟
悪性唾液腺腫瘍の新しい疾患概念……川上 史
良性唾液腺腫瘍の新しい疾患概念……八木春奈 他
【連 載】
マクロクイズ［182］
外園晋夫 他
鑑別の森［33］
子宮頸部生検でのCIN2 とCIN3 の鑑別
Answer 1：梶原 博
Answer 2：前田宜延
AIと病理─これまでの5年，これからの5年［11］
臓器別病理AI（4）細胞診……塚本徹哉 他
病理トレンド［7］
群衆がもたらす偉大な風―クラウドファンディングによる研究の加速―……田中宏樹
【今月の話題】
細胞動態解析と病理学（その3）─核の語るもの─……黒瀬 顕
【第113回 日本病理学会総会 開催報告記】
医学を支える情熱的病理学：原点を見つめ，レジリエントなサイエンスを目指して……豊國伸哉
【書 評】
『がんゲノムペディア─77 のキーワードで理解するゲノム医療とゲノム研究─』……谷田部 恭
【Information】
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書籍情報
- ISBN：9784011204206
- ページ数：108頁
- 書籍発行日：2024年5月
- 電子版発売日：2024年5月29日
- 判：B5変型
- 種別：eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数：3
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