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- 病理と臨床 2024年9月号(42巻9号)血栓症・動脈硬化症
商品情報
内容
特集テーマは,「血栓症・動脈硬化症」.動脈硬化症─画像診断の進歩/下肢動脈および静脈の血行不全の病態と治療/脳梗塞と血管病理/肺血栓塞栓症の病理/羊水塞栓症の病理/動脈硬化症の発生・進展機序―炎症との関わりと最近のアップデート─/血栓症の発症と血栓形成機序 等を取り上げる.連載記事として[マクロクイズ],[鑑別の森],[病理学基礎研究の最前線],[今月の話題]を掲載する.
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序文
特集:血栓症・動脈硬化症
2000年代初頭に26,000体/年ほどであった解剖体数は,新型コロナウイルス感染症の影響もあり7,000体/年ほどに減少している.画像診断技術の発展により腫瘍性病変の広がりが臨床的に把握されるようになったこともあり,急性病態である循環障害や炎症性疾患の割合が多くなっている.また腫瘍性疾患であっても,局在診断だけではなく,合併した循環障害や炎症性疾患の病態解明が求められるようになってきている.循環障害や炎症性疾患が日常の外科材料に提出されることは少ないことから,解剖の経験が少ない病理医にとって苦手意識があるのではないだろうか.さらに臨床医が求めるのは心筋梗塞や脳梗塞の広がりや発症時期とともに,それらを引き起こした動脈硬化病変や血栓などの責任病変がどのようなものであったか? 非責任血管の病変は? といったような普段の病理診断では解決できない疑問などもある.また解剖の検体を前にして,血栓か凝血塊か? 血栓か塞栓か? 肺動脈閉塞の程度がショック状態を説明できるのか? など難しい問題が多いと感じていないだろうか.
本誌で動脈硬化症(粥状動脈硬化症)が特集されたのは,30年前の1994年12巻1号であった.その後の30年間の基礎研究や臨床研究により疾患の理解は着実に進んでいる.
2000年に心血管イベント発症のハイリスク所見として,薄い線維性皮膜粥腫(thin capfibroatheroma)が病理学的に定義され,動脈硬化の質的画像診断の重要性が高まった.
大きな転機は,外科的・内科的に動脈硬化巣を切除する内膜切除術や急性心筋梗塞・脳梗塞・深部静脈血栓症に対する血栓吸引療法の登場である.以前は,解剖するまで虚血性心疾患や脳梗塞などの責任病変を観察することができなかったが,これらにより動的疾患である循環障害において,臨床症状や画像所見と病理所見を対比する臨床病理学的研究が可能となった.
また特殊な病態ではあるが,妊娠に関連した血栓症,循環不全として羊水塞栓症や肺血栓塞栓症は妊産婦死亡の主因を占める疾患である. 妊娠に関連した急性病変はその多くが血液凝固異常,あるいは血栓形成が背景にあるが,散発性に発生することから症例数が集められず,研究が進まなかった.2010年から始まった妊産婦死亡症例登録事業によって症例の蓄積が進み,妊娠に関連した病態の研究が進んだ.
このような背景を踏まえて,血栓症・動脈硬化症における臨床医の視点,特に解剖の要点をまとめた本誌を企画した.また病態の理解を図るため,臨床病理学的研究から得られた脳梗塞,下肢動脈硬化症,肺血栓塞栓症,羊水塞栓症に関する新知見や,基礎病理学的視点からの動脈硬化の成り立ちや動静脈の血栓形成機序を概説する.
なお,大動脈疾患や冠動脈疾患は本誌39巻11号(2021年)に概説されているため割愛した.
特集編集
山下 篤 [宮崎大学医学部病理学講座 構造機能病態学分野]
若狹朋子 [近畿大学奈良病院 病理診断科]
目次
【特 集】
動脈硬化症─画像診断の進歩─……大塚文之
下肢動脈および静脈の血行不全の病態と治療……星野祐二
脳梗塞と血管病理……大谷知之 他
下肢閉塞性動脈疾患の病理─下肢閉塞性動脈疾患の切断肢の解析より得られた新知見─……小山 裕 他
肺血栓塞栓症の病理……魏 峻洸
羊水塞栓症の病理……若狹朋子 他
動脈硬化症の発生・進展機序―炎症との関わりと最近のアップデート─……新見 学 他
血栓症の発症と血栓形成機序……山下 篤
【連 載】
マクロクイズ[185]
近藤篤史 他
鑑別の森[36]
卵巣の粘液性境界悪性腫瘍と粘液性癌
Answer 1:南口早智子
Answer 2:九島巳樹
病理学基礎研究の最前線《新連載》
連載にあたって……田中伸哉 他
病理学基礎研究の最前線[1]
生体内初期化技術を応用したがん・老化研究……山田洋介 他
【今月の話題】
冠動脈瘤のはなし……髙橋 啓
【Information】
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書籍情報
- ISBN:9784011204209
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2024年8月
- 電子版発売日:2024年8月30日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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