Medical Practice 2020年臨時増刊号 実践的輸液ガイド

  • ページ数 : 364頁
  • 書籍発行日 : 2020年6月
  • 電子版発売日 : 2020年7月29日
8,250
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商品情報

内容

第一線で活躍する臨床医を執筆陣に迎えた,輸液療法実践のための必携書.

第1~3章で電解質輸液や栄養輸液の基礎知識と基本手技について明快にまとめ,第4章では「ベッドサイドで役に立つ輸液療法とその管理の実際」と題し,さまざまな病態における輸液とその管理について実践的な内容で解説.各項目ではポイントをEssenceとして冒頭に箇条書きでまとめ,臨床の現場で迅速に対応できるよう配慮するほか,Mini Columnで最新の話題を提供する.

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序文

序 文
─わかりやすく,すぐに役立つ輸液療法実践の必携版を目指して─


電解質輸液の歴史は18世紀のヨーロッパに遡ります.当時,蔓延するコレラの病因はまだ明らかではありませんでしたが,イギリスの医師Brooke O’Shaughnessyが患者の血液を分析し,顕著な体液喪失とアシドーシスが病態の本質であること,そして輸液が有用である可能性を報告しました.この報告に基づき,コレラ患者に輸液治療を実践したのがThomas Lattaで,経過の詳細は1832年,Lancet誌に報告されました.当時の資料から,輸液の組成はNa 58mEq/L, Cl 49 mEq/L, HCO3 9mEq/Lであったと推定されています(Cosnett JE,Lancet 1989).

約50年後の1883年には,リンゲル液の考案者としてその名をとどめるSydney Ringerが,電解質輸液の組成にカリウムと微量のカルシウムが重要であることを見出しました.その後,Hartmannによる乳酸リンゲル液の考案,さらにはアミノ酸輸液や脂肪乳剤の開発などを経て,輸液療法は現代の医療に欠かすことのできない治療へと発展しています.しかしながら,多分野にまたがって行われる治療であるがゆえに,その実践となると必ずしも単純ではないのが実情と思われます.

本書は,これまでご好評を頂いた「輸液ガイド」(1990年),「輸液実践ガイド」(2000年),「第一線医師・研修医・コメディカルのための新・輸液ガイド」(2006年),さらには「病態生理と症例から学ぶ輸液ガイド」(2015年)を土台として,第一線で活躍する臨床医の先生方に内容を全面改訂して頂きました.御多忙の中,執筆の労を賜った多くの先生方に,この場を借りて感謝申し上げます.

構成としては,まず第1章〜第3章で電解質輸液や栄養輸液の基礎知識と基本手技について,わかりやすくまとめて頂きました.また本書の大半を占める第4章では,「ベッドサイドで役に立つ輸液療法とその管理の実際」と題し,さまざまな病態における輸液と管理について,実践的な内容で解説して頂きました.各項目では,本文のポイントをEssenceとして冒頭に箇条書きにまとめ,具体的な処方を色囲みで示すことで,臨床の現場で迅速に対応できるように配慮しています.またMini Columnでは,関連領域の昨今の話題や最新の知見をまとめて頂いております.

執筆を頂いた先生方のご尽力により,これまでの輸液シリーズの「ベッドサイドでの輸液の実践」というフィロソフィーを大切にしつつ,臨床医学の進歩を反映した内容となったものと考えております.本書が少しでも実地医家の先生方のお役に立てば大変幸いです.


2020年4月

編集者を代表して
柴田 茂
帝京大学医学部内科学講座

目次

第1章 知っておきたい水・電解質輸液の基礎知識

1.体液生理学の基礎知識─水・電解質の分布とバランス─

2.輸液を理解し実践するための基礎知識─酸塩基平衡とその異常─

3.輸液の原理と基本

4.輸液の必要な患者とその診断法─輸液に関する臨床検査とその読み方─

5.薬剤・医原性の水・電解質異常とその臨床

第2章 身につけておきたい水・電解質輸液の基本手技

1.輸液製剤─特徴,選びかた,使いかた─

2.水・電解質の欠乏量の推定法と輸液による是正法

3.輸液ルートの選択・確保法・投与速度とバランスシートの取りかた

4.基本的輸液の進めかた─輸液計算法の実際─

5.緊急・救急輸液法の行いかた

6.輸液療法の管理とモニタリングの実際

7.輸液の効果判定と計画の修正法

8.輸液療法でよく起きる過誤

9.注射薬の混合調製方法と注意点

10.輸液における栄養管理の理論と実際

11.経口補水療法の実際

第3章 栄養輸液に必要な基礎知識と手技

1.栄養輸液療法の対象,種類と選びかた

2.末梢静脈からの可及的高カロリー輸液

3.高カロリー輸液製剤─特徴と選択─

4.高カロリー輸液の処方と組み立てかた─開始時輸液と維持輸液─

5.高カロリー輸液の実際と効果の判定

6.高カロリー輸液の配合禁忌,合併症,副作用とその予防,対策

7.末梢静脈栄養の実際

8.周期的高カロリー輸液の目的と実際

9.在宅中心静脈栄養法の実際

10.経腸栄養法の実際

第4章 ベッドサイドで役に立つ輸液療法とその管理の実際

1.脱水症の輸液療法と溢水の対策

2.ショック患者の輸液療法

3.低ナトリウム血症と高ナトリウム血症の是正法と輸液管理

4.低カリウム血症と高カリウム血症の是正法と輸液管理

5.低カルシウム血症と高カルシウム血症の是正法と輸液管理

6.低クロール血症と高クロール血症の是正法と輸液管理

7.低リン血症と高リン血症の是正法と輸液管理

8.低マグネシウム血症と高マグネシウム血症の是正法と輸液管理

9.ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖状態の輸液療法

10.乳酸アシドーシスの輸液療法

11.代謝性アルカローシスの輸液療法

12.浮腫・腹水のある患者への輸液法

13.低蛋白血症および低栄養状態にある患者の輸液法

14.急性腎障害患者への輸液法

15.慢性腎炎,ネフローゼ患者の輸液法

16.慢性腎臓病患者の輸液法

17.血液透析患者と腹膜透析患者の輸液法

18.急性肝炎,急性肝不全患者の輸液法

19.慢性肝炎,肝硬変,慢性肝不全患者の輸液法1

20.下痢,嘔吐,腸閉塞患者の輸液法

21.呼吸不全患者の輸液法

22.脳血管障害患者の輸液法

23.脳浮腫・頭蓋内圧亢進の是正輸液法

24.糖尿病患者の輸液法

25.尿崩症,SIADH患者の輸液療法

26.急性心筋梗塞患者の輸液法

27.心不全患者の輸液法

28.精神疾患患者の水電解質異常と輸液管理

29.がん患者の輸液法と栄養法

30.終末期がん患者の輸液療法と栄養管理

31.救急患者および出血患者の輸液法

32.熱傷患者の急性期輸液療法

33.外傷患者の輸液・輸血とダメージコントロール蘇生(DCR)

34.敗血症・多臓器不全患者の輸液栄養管理

35.中毒患者の輸液と強制利尿法

36.熱中症患者の輸液療法

37.高齢者の輸液法と注意点

38.小児の輸液法と注意点

39.新生児の輸液法

40.妊産婦,妊娠高血圧症候群患者の輸液法

41.術前,術中,術後患者の輸液法

42.在宅医療における輸液管理

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書籍情報

  • ISBN:9784011303700
  • ページ数:364頁
  • 書籍発行日:2020年6月
  • 電子版発売日:2020年7月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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