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Medical Practice 2021年9月号(38巻9号) 内科医が知っておきたい栄養食事療法~栄養状態の最適化が治療効果・QOLを向上させる

  • ページ数 : 170頁
  • 書籍発行日 : 2021年9月
  • 電子版発売日 : 2021年10月1日
2,860
(税込)
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商品情報

内容

特集テーマは「内科医が知っておきたい栄養食事療法~栄養状態の最適化が治療効果・QOLを向上させる」.記事として,[座談会]イートロスを防いで,胎内から百寿までの健康社会を実現する栄養食事療法, [この症例から何を学ぶか]サルコペニアを合併した低栄養状態の高齢2型糖尿病患者の一例,[One Point Advice]怖い腰痛を知ってる?,[今月の話題],[知っておきたいこと ア・ラ・カルト],[心電図のコツと落とし穴] 他を掲載.

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序文

今月のテーマ
内科医が知っておきたい栄養食事療法


栄養状態の最適化が治療効果・QOL を向上させる

わが国は2018 年に高齢化率が28%を超え,超・超高齢社会に突入しました.豊かな人生100年時代の健康長寿の実現のためには,内臓脂肪蓄積を低減させると同時に,貯“筋”することが最重要となります.レジスタンス運動やバランス運動に加え,栄養食事療法も極めて重要ということになります.

「食べる」ことは人が生きていくうえで根源的に必要不可欠です.超・超高齢社会を迎え,「食べられない」人が増え,食べられない状態が続くこと(=イートロス:東京大学の星 和人先生,米永一理先生らによって命名)による結果として生じる低栄養,さらにはその先にあるカヘキシア(悪液質)は今後増加し,その対応は喫緊の課題です.ERCRC(European Palliative Care ResearchCollaborative)では,人の苦痛の3 重点課題として,疼痛,うつと並んで「食べられない」状態が続くカヘキシアを挙げています.カヘキシアは慢性炎症をベースとした栄養失調により衰弱した状態であり,疾患に罹患することで摂食嚥下が障害され,「食べられない」状態が続くことで,最終的には死に直結します.また食欲は,睡眠欲,排泄欲とともに人の3 大欲求の一つであり,身体機能が低下した際に,唯一他者による介助がないと満たすことができないものです.したがって,イートロスは本人に計り知れない苦痛をもたらすのみならず,社会全体にも大きな影響を及ぼすこととなります.将来的に日本では,2040 年に約1, 000 万人がこの状態に陥ると推計されており,イートロスを防ぐ取組は極めて重要です.

日本人の食事摂取基準は当初,健康を維持するために各栄養素の必要量を提示する目的に作成され,5 年ごとに改訂されてきました.2005 年からメタボリックシンドロームを撲滅することを見据えて,上限値も記載されるようになりましたが,2020 年版は高齢者の低栄養予防やフレイル予防も念頭において,各個人ごとの年齢や社会環境を考慮して,目指すべき健康的な体重として,目標体重の考え方が導入されています.

2型糖尿病や肥満症,高血圧症や脂質異常症,心不全や腎不全などの所謂NCDs(noncommunicablediseases)に対する栄養食事指導が極めて重要である一方,入院診療では少なくとも1/3から1/2 の患者に栄養障害が存在することが示唆されています.患者が入院してくると受持ち医が管理栄養士,看護師とともに1 次スクリーニングを行い,特別な栄養管理の必要性の有無を入院診療計画書に受持ち医が記載する必要があります.栄養障害ありの場合にはNST(NutritionSupport Team)と連携して栄養管理計画を作成することが求められます.豊かで人間らしい人生100 年時代を住み慣れた地域で全うするチャレンジに向けて,地域包括ケアシステムをはじめとする自立と共生を持続可能とする医療介護体制の構築が図られています.在宅患者の栄養状態把握と改善はADL やQOL の低下予防に最重要であり,国際標準化された栄養ケアプロセス(NCP)を用いて実践できることが,往診医に求められています.

本特集が患者の栄養状態の最適化につながり,治療効果とQOL の向上にお役立ていただければ誠に幸いです.


山内 敏正
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科学

目次

【特集】

〈扉〉山内敏正

〈座談会〉

イートロスを防いで,胎内から百寿までの健康社会を実現する栄養食事療法/出席者:山内敏正・石井好二郎・秦健一郎・星 和人

〈総説/超高齢社会における究極の個別化栄養食事指導に向けて〉

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」改訂の概要─糖尿病を中心に─/宇都宮一典

コンセンサスステートメント2020「糖尿病患者の栄養食事指導」の概要/神谷英紀

〈セミナー/入院から在宅までシームレスな栄養状態の最適化に向けて〉

栄養スクリーニングと栄養アセスメント─主観的包括的評価と客観的栄養評価─/伊地知秀明

栄養ケア(管理)プロセスを用いた在宅患者の栄養状態の評価/田中弥生

サルコペニア,フレイルの評価とタンパク質,アミノ酸投与の適用判断/鷲澤尚宏

ビタミン・微量元素不足が生じやすい状況と補充で期待される効果/竹谷 豊ほか

内科医が知っておきたい摂食・嚥下機能評価と誤嚥性肺炎患者の栄養摂取に対する包括的アプローチ/海老原孝枝

内科医が知っておきたい褥瘡の予防・管理と栄養ケア/幣憲一郎

人工的水分・栄養補給法(AHN)の導入とルートの選択─高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン─/伊藤明彦

内科医が知っておきたい摂食障害患者の評価と対応/山中結加里ほか

各学会ガイドライン内容を整合性を持って遵守するに適合した食材の工夫/関根里恵

NCDs(noncommunicable diseases)に対する栄養食事指導/林 高則ほか

〈トピックス〉

時間栄養学/香川靖雄

イートロス/米永一理

〈治療/治療効果・QOLを向上させる栄養食事療法〉

静脈経腸栄養/髙𣘺一哉ほか

病態別経腸栄養剤/利光久美子

栄養障害患者に対する脂肪製剤投与/合志 聡

周術期患者の栄養療法/勝部隆男ほか

炎症性腸疾患の栄養療法─難治性炎症性腸管障害に関する調査研究─/辻川知之

液体栄養剤症候群を防止する半固形化栄養材短時間注入法/合田文則

〈この症例から何を学ぶか〉

サルコペニアを合併した低栄養状態の高齢2型糖尿病患者の一例/澤田実佳ほか

〈Self-assessment test〉

【連載】

〈One Point Advice〉

乳癌患者のタモキシフェン起因性NAFLD治療で大切なこと/小野正文

たかが脂肪肝,されど脂肪肝/正木尚彦

「新しい日常」下の学会開催/和田健彦

尿蛋白定量(g/gCr)の深い意味/守矢英和

怖い腰痛を知ってる?/本村小百合

HIVを忘れずに/吉野友祐

新型コロナウイルス(COVID-19)流行下の吸入支援/駒瀬裕子

適量ってどのくらい?─低リスク飲酒の推進と純アルコール摂取量の把握─/小松知己

妊娠中&妊活中&ピル内服中のCOVID-19ワクチン/柴田綾子

重症喘息に対する生物学的製剤の使い方 /岩永賢司

正常TG血症の脂肪肝にご注意を!/中牟田誠

複雑な患者を診る/濱崎敬文

〈今月の話題〉

進行肝細胞癌に対する全身化学療法の進歩/藤田尚人ほか

〈知っておきたいこと ア・ラ・カルト〉

心臓リハビリテーション/中山敦子

〈心電図のコツと落とし穴(第18回)〉

急性冠症候群との鑑別疾患(2)/小菅雅美

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書籍情報

  • ISBN:9784011303809
  • ページ数:170頁
  • 書籍発行日:2021年9月
  • 電子版発売日:2021年10月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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