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Medical Practice 2023年4月号(40巻4号)抗菌薬の使い方~より狭域・より短期の治療で耐性菌を抑えつつ治癒を目指す

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年3月29日
2,860
(税込)
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商品情報

内容

特集テーマは「抗菌薬の使い方―より狭域・より短期の治療で耐性菌を抑えつつ治癒を目指す」.記事として,[座談会]目の前の患者を治し,未来の患者も守るための抗菌薬適正使用,[総説]日本の多剤耐性菌の疫学的特徴,[セミナー]外来診療における抗菌薬適正使用,[トピックス]多剤耐性グラム陰性菌に対する新規抗菌薬,[One Point Advice]大は小を兼ねない,[知っておきたいこと ア・ラ・カルト]Fontan術後の肝合併症(FALD).

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序文

筆者が若手医師だった頃に指導医に言われた一言,「この患者さん,CRPがちょっと上がっているから先生の好きな抗生剤を入れといて」.病歴,診察所見,検査結果から病態を分析して治療法を選択するという内科学の基本から逸脱したこの一言は,筆者に衝撃を与えました.しかし,当時の日本では「宿主の特性や感染臓器を検討し,起因微生物を推定・確定して,最適な抗菌スペクトラムを有する抗菌薬を選択する」という臨床感染症学の基本的な考え方は浸透していなかったため,「なんとなく抗菌薬を選んで,それが効かなかったら「強い」抗菌薬に変更する」という診療スタイルは特殊なものではなかったように思います.

それから20年ほどが経過し,臨床感染症学の学びも拡がり,耐性菌対策として国レベルで抗菌薬適正使用促進の動きがみられるなど,状況は大きく変化しました.耐性菌出現抑制の観点からみた「抗菌薬適正使用」とは,「より狭域・より短期の抗菌薬治療」を指しますが,これを実践するうえでは「ほとんどの感染症は感染症を専門としない医師が治療にあたること」「診断が確定する前に治療を開始しなくてはならないという感染症の疾患特性」「感染症の除外や治癒を確実に診断できる検査が存在しないこと」「複雑な背景を有する患者には一般の患者とは異なる治療薬・治療期間が適用される場合があること」などさまざまな「壁」が存在します.しかしながら,「面倒だから今まで通りで」を乗り越えて抗菌薬適正使用を進めなければ,増え続ける耐性菌の影響で未来の患者の治療選択肢を失うことになりかねません.

本特集では,さまざまな「壁」を乗り越えて抗菌薬適正使用を進めるうえで必要な知識を各領域の知見,実践に精通している先生方にまとめていただきました.本特集が目の前の患者のみならず,耐性菌増加の影響を受けうる未来の患者をも救えるような抗菌薬適正使用を進める実地医家,抗菌薬適正使用支援チームの一助となることを願います.


原田壮平
東京大学医学部附属病院感染制御部

目次

【特 集】

扉 原田壮平

座談会 目の前の患者を治し,未来の患者も守るための抗菌薬適正使用

出席者:大澤良介・佐藤昭裕・原田壮平・小池和彦

総説 抗菌薬適正使用のために知っておくべき基礎知識

日本の多剤耐性菌の疫学的特徴 上原由紀

公衆衛生的視点から見た多剤耐性菌対策 藤友結実子

医療機関での抗菌薬適正使用支援チームの役割と相談のタイミング 今北菜津子ほか

セミナー① さまざまな臨床状況における抗菌薬適正使用の進め方

外来診療における抗菌薬適正使用 阿部泰尚

長期療養施設・在宅医療における抗菌薬の使い方 石川元直

肺炎診療における抗菌薬適正使用・肺炎患者の診療 皿谷 健

尿路感染症診療における抗菌薬適正使用 菊池航紀

胆道系感染症・腹腔内感染症診療における抗菌薬適正使用 羽山ブライアン

菌血症診療における抗菌薬適正使用 佐々木俊治

小児における抗菌薬適正使用 米田 立

術後感染予防目的での抗菌薬適正使用 森岡 悠

薬剤師が進める抗菌薬適正使用 枦 秀樹ほか

抗菌薬適正使用のための微生物検査情報の考え方 山本 剛

抗菌薬適正使用・多剤耐性菌対策のための地域連携 倉井華子

トピックス

Handshake stewardship―円滑なAST活動に必要なコミュニケーションとは?―  山口 諒

多剤耐性グラム陰性菌に対する新規抗菌薬 土井洋平

セミナー② 特殊な状況における抗菌薬の適正使用の進め方

ICU患者における抗菌薬適正使用 宮川滝彦ほか

原因不明の発熱が持続する入院患者の鑑別診断の進め方と抗菌薬適正使用 帆足公佑

血液悪性腫瘍・造血幹細胞移植後患者における抗菌薬適正使用 小倉 翔ほか

固形臓器移植後患者における抗微生物薬適正使用 岡本 耕

COVID-19患者に対する抗菌薬適正使用 細田智弘

この症例から何を学ぶか

子宮頸がん術後の広域抗菌薬に反応しないリンパ囊胞感染の1例 武田孝一ほか

Self–assessment test

【連 載】

One Point Advice

肺結核の鑑別にはtree-in-budを探せ 永井英明

免疫グロブリン遊離軽鎖κ/λ比(フリーライトチェーン) 髙松 泰

医者の言葉 瀬戸泰之

減塩・カリウム補充による降圧と脳卒中予防 森田啓行

大は小を兼ねない 大塚和朗

新型コロナウイルスワクチン接種後の血小板減少 半下石 明

COPDを画像で診断⁉ 山口泰弘

腎生検診断を含めた腎炎,ネフローゼ症候群の最新知見 鈴木 智

今月の話題

弁膜症に対する低侵襲心臓手術(MICS) 田端 実

知っておきたいこと ア・ラ・カルト

Fontan術後の肝合併症(FALD) 中塚拓馬

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書籍情報

  • ISBN:9784011304004
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年3月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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