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- 論文執筆のための学び直し英文法・英語表現
商品情報
内容
本書では、論文執筆のバイブル『必ずアクセプトされる医学英語論文 完全攻略50の鉄則』で一部を解説していた英文法と英語表現の手法に焦点を絞り、豊富な例文と解説で「論文の書き方に特化した英語の学び直し」を目指した。
論文執筆に必要な英語スキルを身につけるための、最短の道がここにある。
序文
はじめに
本書『必ず書けるようになる 論文執筆のための学び直し英文法・英語表現』を手に取っていただき,ありがとうございます。皆さんのなかには,英語で論文を書く必要に迫られている,あるいは近い将来にその可能性がある方々も多くいらっしゃるでしょう。皆さんの多くは,日本の中学・高校で英語を学び,大学入試で英語の試験を受けた経験があると思います。多くの方々にとって,人生で最も懸命に英語の読み書きを勉強したのは,高校3 年(あるいは浪人中)の受験生の頃ではないでしょうか。大学でも英語の授業はあるものの,たいていの大学生は受験の頃に比べれば英語の読み書きを学ぶ時間がめっきり減ります。大学卒業後は,自分から能動的に英語を学習し続けない限り,英単語が脳みそから溶け出し,英語の読み書きの知識は衰える一方です。
医学生の場合,卒後に医師免許を取得し,臨床研修を経て,その後も臨床経験を積む方が多いでしょう。その過程で,医学研究にチャレンジする人もいます。医学研究に専念できる時間を確保するために,医学系の大学院に進学する人もいます。研究の成果は,英語論文にまとめて医学専門誌に投稿することが推奨されます。そこで若手の医学研究者は,医学英語論文執筆という壁にぶち当たります。
筆者はこれまで,若手研究者の論文執筆指導を数多く実践してきました。多くの若手研究者が,卒後数年間(あるいは十数年間)英語の読み書きにあまり触れていない期間を経て,英語に対する苦手意識を抱えてしまっています。何とか英語論文を読むことはできる,しかし自身で英語論文を書くとなるとなかなかうまく書けない,と感じておられる方々が少なくありません(これはおそらく,医学分野の若手研究者に限ったことではないでしょう)。筆者は,そういう方々を対象とする英語の再教育の必要性を長年感じてきました。
「英語の再教育」といっても,大学受験英語を学び直すことは,あまり効率的とはいえません。英語論文の書き方に特化した英語再教育が必要です。科学論文は,分野によって多少異なるものの,ほぼ様式が決まっています。定番の表現が多く,論文特有の表現もあります。逆に,論文には使われない用語や用法もあります。これらについて,必要最小限の知識さえ身につければ,論文英語の綴り方は決して難しくありません。
一般に,投稿論文の査読者の役割は,論文の独創性や研究の質について評価することです。英語表現の良し悪しは,それだけで論文の採否を決定づける要因にはなりません。しかし,論文中に文法の誤り,曖昧・冗長な表現があると,査読者にとっては計り知れない不満と苛立ちの種になるかもしれません。意味不明な文章,ぎこちない文章構成は,査読者の心証を損ねます。内容そのものに科学的貢献の可能性がある場合でも,却下(reject)の推奨に傾いてしまう恐れもあります。せっかく価値ある研究成果を挙げたのに,英語表現がまずくて論文が却下されてしまう悲劇だけは何としても避けたいものです。
本書は,主に日本語を第一言語とする研究者を対象に,英語論文に頻出の表現や論文執筆に特化した英語の書き方に焦点を当てて,読者が最短時間で英語を学び直し,論文執筆に必要な英語のスキルを身につけられるように指南することが目的です。本書では随所に,論文執筆に必須となる英文法の基礎知識を解説しています。受験英語のおさらいのような内容も多く含まれます。受験から数年ないし十数年(数十年?)を過ぎて,だいぶ忘れてしまっていた,と感じられる方も多いと思います。英語論文執筆において最も重要なことは,fool-proof English を用いた表現に徹することです。Fool-proof English とは「誤りのない無難な英語」を意味します。英語が母国語ではない研究者が英語論文執筆にトライするには,①文法的な誤りを無くすこと,②冗長(redundant)・曖昧(ambiguous)な文章を避けること,③論文全体の論理(logic)と構成(organization)を整えること,の3 つが重要です。本書は,特に上記 ①,②について解説します。なお③については,本書をマスターした後に,拙書『必ずアクセプトされる医学英語論文 改訂版』(金原出版/ 2021 年)をご参照ください。なお本書は,医療従事者向け総合医療情報サイトm 3 .com に2023 年4~11 月に連載された「論文執筆のための英語学び直し講座」の内容を基に,大幅に加筆修正したものです。
連載中に絶えず細やかなご支援をいただいたm 3 .comの軸丸靖子氏,本書執筆から出版に至るまでご助言と手厚いご支援をいただいた金原出版編集者・須之内和也氏に心からお礼を申し上げます。
2024年7月
康永秀生
目次
第1章 冠詞
―何となく使って意図と異なる文章になっていないか?
1.冠詞の基礎知識
(1)可算名詞と不可算名詞
(2)不定冠詞と定冠詞
2.論文における冠詞
(1)論文における可算・不可算名詞の区別
(2)ネイティブチェックに引っかかった冠詞の誤用例
練習問題
第2章 主語と動詞
―読み手の思考の流れを意識しているか?
1.文章の構造
2.読み手の思考の流れを円滑化する
(1)主語と動詞を文の前の方に配置する
(2)中心となる単語を先頭に配置する
(3)動詞の名詞形を避ける
(4)代名詞の位置に注意
(5)動作・状態の主体を明示する
3.冗長な文章の修正例
(1)無駄な単語を削除する
(2)複雑な文章構造を是正する
4.動詞を制する者、作文を制す
(1)実施する、達成する
(2)調べる
(3)示す、表す
(4)明らかにする
(5)説明する
(6)示唆する
(7)強調する
(8)仮定する
(9)推論する、推計する、推測する
(10)評価する
(11)関連する
(12)起因する
(13)引き起こす
(14)受ける
(15)対処する
(16)影響する
(17)可能にする
(18)含む
(19)分割する、割り当てる
(20)特定する
(21)その他
練習問題
第3章 能動態と受動態
―受動態の方が適しているのはどんな場合か?
1.能動態と受動態の基礎知識
(1)受動態に変換できない文章
(2)目的語がthat節の場合
(3)句動詞を用いた文章の受動態
(4)第4 文型の受動態
2.論文における能動態と受動態
(1)能動態を原則とする
(2)受動態を用いてもよい場合
第4章 関係詞
―不適切に使って逆に読みにくい文章になっていないか?
1.関係詞の基礎知識
(1)制限用法と非制限用法
(2)前置詞+関係代名詞
(3)関係副詞
2.論文における関係詞
(1)先行詞は関係詞と隣接させる
(2)関係詞を用いない方が簡潔に書けるケース
第5章 形容詞・副詞
―感情表現を示す単語を使っていないか?
1.形容詞・副詞の基礎知識
(1)形容詞の位置
(2)数量形容詞
(3)副詞の位置
(4)比較級・最上級
2.論文における形容詞・副詞
(1)論文では感情表現を用いない
(2)論文に頻出する形容詞・副詞
練習問題
第6章 接続詞
―文章と文章を適切につなげられているか?
1.接続詞の基礎知識
(1)接続詞の分類
(2)注意すべき接続詞の用法
2.論文における接続詞
(1)従位接続詞を用いる表現
(2)接続副詞
練習問題
第7章 前置詞
―多様な意味を理解して正しく使い分けているか?
1.前置詞の基礎知識
(1)前置詞の意味別一覧
(2)場所・空間を表す主な前置詞
(3)時間を表す主な前置詞
(4)その他の意味をもつ前置詞
2.論文における前置詞
(1)前置詞の使い分け
(2)前置詞を含む成句
練習問題
第8章 確からしさを示す表現
―強さの違いを意識して使い分けられているか?
1.助動詞の基礎知識
(1)can, could
(2)may, might
(3)must, have to
2.論文における助動詞
3.確からしさの程度を示す形容詞・副詞
第9章 否定表現
―否定語を用いない否定表現とは?
1.否定表現の基礎知識
(1)準否定
(2)部分否定
(3)二重否定
2.論文における否定表現
(1)否定語は文中のなるべく前の方に置く
(2)否定語を用いない否定的表現
(3)否定の意味を添える接頭語
練習問題
第10章 論文では用いない方がよい文法
―分詞構文や仮定法を使ってもよいケースとは?
1.分詞構文
(1)分詞構文の基礎知識
(2)論文で例外的に用いられる分詞構文
2.仮定法
(1)仮定法の基礎知識
(2)論文で例外的に用いられる仮定法
第11章 コロン、セミコロン、ハイフン、ダッシュ
―意味を正しく理解しないまま誤用していないか?
1.コロンとセミコロン
(1)コロンはイコール、セミコロンは補足説明
(2)区切る力
2.ハイフンとダッシュ
(1)2つ以上の単語をつなぐハイフン
(2)接頭辞をつなぐハイフン
(3)エヌダッシュ、エムダッシュの用法
(4)エヌダッシュとエムダッシュの入力方法
(5)名詞の数珠つなぎ
付録 英文をブラッシュアップしてみよう
索引
コラム
Big Benにはなぜtheをつけないか?
ダーウィンの「種の起源」
ネイティブによる英文校正に期待できること
「誰がために鐘は鳴る」
論文執筆におけるAIツールの活用
プレプリント論文とは?
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書籍情報
- ISBN:9784307004947
- ページ数:196頁
- 書籍発行日:2024年8月
- 電子版発売日:2024年8月27日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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