理解を深めよう 視力検査 屈折検査

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2009年2月
  • 電子版発売日 : 2023年5月31日
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商品情報

内容

近年の眼科学、特に光学機器の発展にはめざましいものがあります。屈折値を検査する手段は今やオートレフラクトメータだけではなく、波面収差解析装置や角膜形状解析装置、PSFアナライザーなど、眼球光学系の高次収差に至る詳細な解析ができるほど開発が進みました。初期型オートレフラクトメータは巨大で不正確なデータしか検出できず、スキアスコピーや赤外線レフラクトメータによる他覚的屈折検査に基づいて自覚的屈折検査を行っていた当時と比べると隔世の感があります。
現在でも眼科臨床において「矯正視力値」は診断の入り口であるとともに基本であり、病態把握や経過観察の重要な指標となっています。また、眼鏡処方においては自覚的な屈折値が最も重要ですが、近年の光学機器の発展により、自覚的な屈折矯正技術は軽んじられ粗雑になっていることは否めず問題です。
そこで、この度、理論に基づいた視力検査・屈折検査を理解するために、レンズ光学、視力の視覚生理学、自覚的屈折検査を詳細に説明し、また高次収差に至るまで深く理解すべく『理解を深めよう視力検査 屈折検査』の出版を企画致しました。本書の特徴は、臨床で役立つ内容になるよう、眼科医・光学専門家・視能訓練士が協力して、それぞれの深い知識を執筆致しました。
第I章と第III章では視力を理解するための視覚生理学について、第II章では光学専門家によってレンズの知識について詳細に記述されています。第IV章は自覚的屈折検査において理論と実際を並行して記述し、ひとつひとつの手技がすべて理論に基づいて行われるよう説明されています。また不正乱視を取り上げ、眼の高次収差について知っておくべき知識も記載されています。理論や検査方法を理解し、臨床の症例に応じて信頼性の高い検査結果を得られるように組み立てられています。
第V章では、小児の視力屈折検査の進め方における注意点や、弱視、心因性視力障害について、第IV章では光学系に影響する眼疾患、角膜、水晶体、屈折矯正手術における症例の応用的な視力検査、屈折検査について、専門の眼科医と視能訓練士が執筆しています。
第VII章と第VIII章では、光学系の専門用語や専門機器に関して最新の情報がわかりやすく解説されています。
眼科診療において視力・屈折・光学の知識は必要不可欠なもので、今後、QOV重視の面から益々この傾向は加速するものと思われます。理論に基づいた質の高い検査を行うことができるよう、この本をご使用いただければと願っております。(「はじめに」より)

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序文

はじめに


近年の眼科学,特に光学機器の発展にはめざましいものがあります。屈折値を検査する手段は今やオートレフラクトメータだけではなく,波面収差解析装置や角膜形状解析装置,PSFアナライザーなど,眼球光学系の高次収差に至る詳細な解析ができるほど開発が進みました。初期型オートレフラクトメータは巨大で不正確なデータしか検出できず,スキアスコピーや赤外線レフラクトメータによる他覚的屈折検査に基づいて自覚的屈折検査を行っていた当時と比べると隔世の感があります。現在でも眼科臨床において「矯正視力値」は診断の入り口であるとともに基本であり,病態把握や経過観察の重要な指標となっています。また,眼鏡処方においては自覚的な屈折値が最も重要ですが,近年の光学機器の発展により,自覚的な屈折矯正技術は軽んじられ粗雑になっていることは否めず問題です。

そこで,この度,理論に基づいた視力検査・屈折検査を理解するために,レンズ光学,視力の視覚生理学,自覚的屈折検査を詳細に説明し,また高次収差に至るまで深く理解すべく『理解を深めよう視力検査 屈折検査』の出版を企画致しました。本書の特徴は,臨床で役立つ内容になるよう,眼科医・光学専門家・視能訓練士が協力して,それぞれの深い知識を執筆致しました。

第Ⅰ章と第Ⅲ章では視力を理解するための視覚生理学について,第Ⅱ章では光学専門家によってレンズの知識について詳細に記述されています。第Ⅳ章では自覚的屈折検査において理論と実際を並行して記述し,ひとつひとつの手技がすべて理論に基づいて行われるよう説明されています。また不正乱視を取り上げ,眼の高次収差について知っておくべき知識も記載されています。理論や検査方法を理解し,臨床の症例に応じて信頼性の高い検査結果を得られるように組み立てられています。第Ⅴ章では,小児の視力屈折検査の進め方における注意点や,弱視,心因性視力障害について,第Ⅵ章では光学系に影響する眼疾患,角膜,水晶体,屈折矯正手術における症例の応用的な視力検査,屈折検査について,専門の眼科医と視能訓練士が執筆しています。第Ⅶ章と第Ⅷ章では,光学系の専門用語や専門機器に関して最新の情報がわかりやすく解説されています。

眼科診療において視力・屈折・光学の知識は必要不可欠なもので,今後,QOV重視の面から益々この傾向は加速するものと思われます。また本書と同時に刊行されます『理解を深めよう視野検査』も併せて,質の高い検査を行うことができるようご使用いただければと願っております。

本書の出版にご尽力いただいた金原出版㈱編集部の金原秀明氏にお礼申し上げます。


2009年1月

編集者一同

目次

I. 視力について

1. 視力を理解するための視覚生理学

1 視力の生理機構

2 視覚機能と視力

3 閾値測定

2. 視力の表示法

1. ランドルト環

2. 文字視標

3. コントラスト感度、MTF

4. 測定距離と視力

5. 視力値の系列

II. 屈折・調節について

1. 眼球光学系

1 屈折の法則

2 面屈折

3 眼球光学系

2. 屈折異常

1 遠点と近点

2 屈折異常の種類

3 屈折異常の成因

4 屈折異常の程度

5 屈折異常を矯正するレンズ

3. 調節

1 調節の手がかり

2 調節の機序

3 加齢と調節力

4 調節域

5 調節力の測定

6 調節誤差

III. 視力検査の実際

1. 視力検査の条件

1 視力表

2 検査室の環境

2. 視力検査の流れ

1 視力検査の流れ

2 視力検査の注意点

3 視力に影響する因子

IV. 屈折検査の実際と必要な知識

1. 他覚的屈折検査

1 オートレフラクトメータ

2 検影法のコツ

2. 瞳孔間距離測定

1 遠見瞳孔間距離測定

2 近見瞳孔間距離測定

3. 自覚的屈折検査

1 用意すべき器具

2 自覚的屈折検査の流れ

3 乱視の検査

4 不正乱視の屈折状態と測定方法

5 近見視力検査

V. 小児の視力・屈折検査の進め方

1. 調節麻痺薬

1 小児の視力・屈折検査の特徴

2 調節麻痺薬の役割

3 調節麻痺薬の種類と作用・副作用

4 調節麻痺薬の使い方

2. 弱視がない場合

1 他覚的屈折検査

2 視力検査

3 屈折異常の種類による留意点

3. 弱視がある場合

1 弱視

2 屈折検査

3 固視検査

4 検査の留意点

4. 心因性視力障害の測定方法

1 心因性視力障害のタイプ

2 検査の留意点

VI. 眼疾患のある症例で注意すべき視力・屈折検査の進め方

1. 角膜疾患

1 角膜の光学系しての特徴

2 角膜疾患と乱視

3 角膜の形状解析検査

4 視力・屈折検査の留意点

5 フーリエ解析や波面収差解析を利用した矯正

2. 水晶体疾患

1 水晶体の構造

2 白内障

3 水晶体位置異常

3. 屈折矯正手術

1 屈折矯正手術の現状とその理論

2 屈折矯正手術の適応

3 屈折矯正手術前の視力検査

4 屈折矯正手術前の他覚的屈折検査

5 屈折矯正手術前の自覚的屈折検査

6 屈折正手術前の矯正度数の決定

7 屈折矯正手術後の視力検査・屈折検査

8 再手術

VII. 専門用語とその解説

1. 非球面レンズ

1 眼鏡レンズに使用される非球面とその形状

2 非球面レンズの特徴

3 非球面レンズの種類、最適化レンズ

2. 累進屈折力レンズ

1 累進面とは、その概念

2 累進レンズの光学特性

3 累進レンズの種類と選択

4 新しい累進レンズ −累進面の配置とカスタマイズ

3. 身体障害者手帳における視力検査など

1 身体障害者手帳

2 障害程度等級表(視力障害)解説

3 身体障害者診断書・意見書の作成について

4 視覚障害の状況および所見について

5 障害程度の認定について

VIII. 専門機器とその解説

1. 角膜形状解析検査

1 角膜トポグラファーの構造の種類と特徴

2 各装置の特徴と測定のコツ

2. 波面センサー

1 波面センサーの構造の種類と特徴

2 各装置の特と測定のコツ

3. 眼科臨床における補償光学

1 補償光学とは

2 補償光学を用いた眼底カメラの特徴

3 補償光学眼底カメラの基本原理

4 補償光学眼底カメラの臨床応用

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書籍情報

  • ISBN:9784307351324
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2009年2月
  • 電子版発売日:2023年5月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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