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- 目でみる 斜視検査の進めかた
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序文
はじめに
斜視や小児眼科の診療は,眼科のほかの診療に比べてとっつきにくい,と言われます。独特な専門用語が多く,感覚状態を表す用語が多いためかもしれません。
スタートでつまずいてしまうと,「斜視はわからない」「カルテを見ても内容がわからない」「視能訓練士さんの言っている言葉の意味がわからない」ということになってしまいます。また,それぞれの施設ごとに独特の用語を用いていたり,検査方法,治療方法を行っていたりするために,教科書のどこを見ていいのかわからない,ということもあるでしょう。細隙灯顕微鏡検査や眼底検査,その他の最新の機器を使った眼科検査に比べると,斜視の検査方法は全く異なっています。ですから,一般的な眼科検査方法を勉強するのに費やすのと同じくらいの時間と努力が必要になります。それに比べると,受診してくる患者さんの数は白内障や糖尿病,緑内障に比べて圧倒的に少ないので,実際の症例に出会う機会が少ないのが特徴です。
外国語を勉強するときには,まず簡単な会話を丸暗記することから入る方法がしばしばとられます。そこで,外国語を習うときと同じように,まず,用語を覚えてしまうことと,実際の患者さんを繰り返し見ることをおすすめします。患者さんは必ずしも斜視の患者さんでなくても結構です。眼位や両眼視機能を検査してみてください。まず,正常を知ることが異常を発見するための第一歩だからです。
繰り返していくうちに,だんだん慣れてきます。もし,眼球運動に異常を感じたら,漫画のような絵にしてみてください。あるいは,デジタルカメラで眼位の写真を撮影してみてください。カメラは最新の高解像度のものでなくて結構です。後から見てみると,診察時には気づかなかったような異常がわかることがあります。
第一歩を踏み込むことができれば,だんだんわからないこととわかることがはっきりしてきます。詳しく調べたくなれば,専門的な書籍を読むこともできます。
この本では,その第一歩の手助けをしたいと思います。
最初に,とりあえず斜視の診察のための基本的な方法を書いています。ここからスタートしてください。そのあと,徐々に後ろに進んでいってください。なお,本書の内容は,浜松医科大学眼科視能訓練士の稲垣理佐子,鷲山愛,長谷岡宗,新井慎司の各氏からの多大なるご協力をいただきました。
一人でも多くの眼科医および視能訓練士が眼球運動や両眼視機能に関心をもって,斜視の患者さんの力になってくださることを望みます。
最後になりますが,本書の発行にあたり,私を推薦してくださり,また筆の遅い私を最後まで辛抱強く待ってくださいました所敬先生,金原出版の井上様に深謝いたします。
平成26年10月
佐藤美保
目次
略語一覧
1 正常な眼球の発育と両眼視機能の発達
A 眼の正常な発育
B 正常な両眼視機能と発達
2 異常両眼視
A 斜視とは
B 斜視の症状
C 斜視の分類
D 斜視の原因
3 斜視検査の進めかた
A 斜視検査の流れ
B 眼位検査に必要な器具
C 視力検査に必要な器具
D 屈折検査に必要な器具
E 眼鏡処方に必要な器具
F 眼位・眼球運動検査
G AC/A比
H 両眼視機能検査
I 眼科一般検査
J 視野検査
K 画像検査
4 斜視検査と治療の進めかた
A 眼鏡処方
B 二重焦点レンズ,累進屈折力レンズの処方
C プリズム処方
D 視能訓練
E 手術のための検査
F 手術後の検査
5 小児の斜視
A 小児内斜視
B 小児外斜視
C 先天性上斜筋麻痺
D その他の小児斜視
6 成人斜視の診断と治療
A 後天内斜視
B 後天外斜視
C 後天上下斜視
D 複視
7 特殊な斜視の検査の進めかた
A 心因性視覚障害に伴う斜視
B 強度近視と斜視
C 重症筋無力症
D 白内障術後複視
E 網膜剥離術後複視
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書籍情報
- ISBN:9784307351584
- ページ数:112頁
- 書籍発行日:2014年11月
- 電子版発売日:2023年6月9日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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