対話で学ぶ 腎不全と透析療法の知識 第4版

  • ページ数 : 284頁
  • 書籍発行日 : 2014年6月
  • 電子版発売日 : 2019年6月21日
4,950
(税込)
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商品情報

内容

腎不全と透析療法について,対話とエピソードでわかりやすく記述、覚えておきたい知識が満載!

今回の改訂に当たって,本書の特徴は初心者に腎不全・透析療法の基礎的な知識を学んでもらうのが目的であり,対話による内容はそのままとして,新しい概念や最新の情報に関しては書き改めることにした.あくまでもCKD/AKIに沿った内容であり,読みやすさをモットーにして改訂されている
CKD,AKIなどの概念にも触れ,実地で透析に携わっている方にオススメの一冊.

序文

改訂4版の序

2002年に米国腎臓財団により慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が提唱され,瞬く間に世界中に波及し,わが国も日本腎臓学会が中心となり,CKDの意義とその対策の重要性が社会的に認知されてきている.以前より慢性の腎臓疾患については,学校検尿を初めとして健康診断や検診において尿検査の重要性が認識され,専門医と開業医との病診連携がうまく機能していたのであるが,さらに腎臓病専門医以外の医師にも一般的にも腎臓病について理解してもらい,早期発見と早期治療により,その進行を阻止することが重要になっている.

この理由は世界的にCKDの終末像である末期腎不全・尿毒症から透析治療に移行する症例が増加していること,しかも末期腎不全に至る以前に,心血管系の合併症による死亡が注目されていること,さらに透析治療においては患者のQOLやADLが不良であることに加えて国家として医療経済の負担が過大であることである.このような理由からCKD対策が国家的な規模で取り組まれることになっている.特に近年ではCKDをきたす原因として,いわゆる慢性腎炎以外に生活習慣に関係した糖尿病や高血圧・高齢化に伴った腎硬化症が目立っていることが特徴になっている.

このCKDに加えて,急性腎不全といわれた急激な腎機能の低下を生じる疾患群は,急性腎臓傷害(acute kidney injury:AKI)と称されるようになり,今までの急性腎不全の概念をより包括的にとらえた内容になっている.

今回の本書の改訂に当たって,CKDおよびAKIという概念を中心にする必要が生じた.このことは既刊の本書の内容がすべて陳腐となったわけではなく,基本的な部分は何も変わらないのであるが,CKDの普及により種々のガイドラインが示され,これにより腎臓病専門医以外の一般人を含めて,その内容が平易に理解でき,ガイドに従って診療することが可能になったのである.ただし,CKDの疑念は世界共通のものであるため,概念や用語ならびに診療方針が年々改訂されつつある.新規の内容が提唱されることは,これも学問の進歩と考えて納得するしか無いようである.

今回の改訂に当たって,本書の特徴は初心者に腎不全・透析療法の基礎的な知識を学んでもらうのが目的であり,対話による内容はそのままとして,新しい概念や最新の情報に関しては書き改めることにした.あくまでもCKD/AKIに沿った内容であり,読みやすさをモットーにして改訂したということである.


2014年4月

北岡 建樹

目次

1 保存期腎不全の診かたと治療

ある紹介患者とのであい

腎疾患における問診

腎機能検査

腎臓のはたらきとは?

タンパク尿の原因?

画像診断検査

CKDの病期分類

腎疾患の進行と障害因子

慢性腎不全と食事療法

腎不全の食事療法を受ける

保存期腎不全の薬物療法

memo

腎疾患の診療のすすめ方 CKDによる診療法

糸球体濾過値の求め方

腎機能検査の種類

腎臓の構造とそのはたらき

タンパク尿の分類

タンパク尿の検査

血尿の意義と原因

高血圧の原因と分類

腎疾患と画像検査

腎生検の意義

CKDの重症度分類とSeldin分類

尿毒症の症候

尿毒症毒素の概念

血清尿素窒素値の解釈

血清クレアチニン濃度の解釈

慢性腎不全の原因疾患

腎疾患の進行度 血清クレアチニン濃度の逆数による予測

腎不全の食事療法の考え方

食事療法の意義

腎不全の栄養状態の把握

低タンパク治療用食品

腎不全に使用される降圧薬

腎不全に使用される利尿薬

保存期腎不全に使用される薬物療法

2 CKDの原因疾患

医師会での講演会

 病理組織学的分類/慢性腎炎の概念

IgA 腎症

ネフローゼ症候群

微小変化型/巣状分節性糸球体硬化症/膜性増殖性糸球体腎炎/膜性腎症

質疑応答

memo

慢性腎炎の進行度の予測

WHO による糸球体腎炎の分類

腎炎の進行を予防する薬剤

ANCA 関連腎炎

3 全身性疾患による慢性腎不全

二次性の糸球体腎炎

糖尿病性腎症と糖尿病による腎障害

ループス腎炎

SLE以外の膠原病による腎障害

高血圧による腎障害

痛風による腎障害

memo

糖尿病性腎症の病変

糖尿病性腎症の病期分類

ループス腎炎の病因

高血圧と腎障害

痛風腎に対する治療

多発性骨髄腫による腎障害

4 透析療法の基礎知識

透析治療の原理

ダイアライザ(透析器)

ダイアライザの種類

透析の効率

 限外濾過率/透析膜の種類

透析液

 多人数用供給装置と個人用供給装置

ナトリウム

カリウム

カルシウム

マグネシウム

アルカリ化剤

重曹用透析液使用の問題点

ブドウ糖濃度の意義

希釈水

memo

物質移動の原理

拡散に影響する因子

除去量の概念

水分除去量の設定法

透析膜の種類

透析液の K 濃度について

透析液の至適 Ca 濃度とは

透析液の Mg 濃度について

粉末透析液(顆粒型透析液)

透析液の処理水の問題

エンドトキシンとは

5 バスキュラーアクセスの方法と抗凝固法

バスキュラーアクセスとは

外シャント

内シャント

抗凝固法

memo

シャントの合併症

内シャントの合併症と対策

抗凝固薬の種類と特徴

6 長期透析患者の主要な合併症

腎性貧血

エリスロポエチン/EPO の副作用

心血管系の合併症

心不全の成因/ドライウエイトの設定法/動脈硬化症/高血圧の原因と対策

脳・神経系の合併症

不均衡症候群

末梢神経障害

腎性骨症

骨のリモデリング/副甲状腺機能低下症/CKD-MBDの対策

透析アミロイドーシス

透析アミロイドーシスの対策

感染症と免疫不全

悪性腫瘍

後天性腎嚢胞(多嚢胞腎)

memo

鉄欠乏性貧血の原因と対策

新しい EPO 製剤・ESAの種類

ドライウエイト(基準体重)の設定

動脈硬化症と心血管系の障害

透析患者の低血圧

透析患者の中枢神経障害

腎性骨症の画像検査

腎性骨症の病型

腎性骨症・二次性副甲状腺機能亢進症の対策

PTXの適応

透析患者の免疫関連細胞と感染症

透析患者と不明熱

透析患者と悪性腫瘍

多発性嚢胞腎と後天性嚢胞腎

7 透析療法の適応と必要な検査項目

透析開始の基準

透析療法における検査

導入期・安定期の定期検査

合併症に対する検査

長期透析患者の検査

memo

透析療法の導入にあたって

特殊な事情の透析開始時期

透析による検査の目標値

適正透析とは

維持透析患者の検査について

8 透析中の偶発症と事故

透析困難症

透析期の血圧低下の原因

透析期の血圧上昇

筋痙攣の原因と対策

そう痒症の原因

透析中の事故

透析液濃度異常

透析膜破損(リーク)

凝血・残血

空気誤入

memo

透析中の血圧低下の原因

地震・停電などの事故とその対策

9 透析法の選択とその実際

透析の諸条件の決め方

ダイアライザの選択

透析の条件設定

透析効率の問題

透析液の選択

抗凝固薬の選択

血液流量の考え方

QBの設定法

透析時間の設定法

透析治療法の開始時の注意

一般状態の確認/透析開始時の操作/圧設定の方法

透析中のチェック項目

返血時の注意事項

穿刺部位の消毒

透析終了後の注意

memo

血液浄化法の種類

ダイアライザの使用に関して

QBとクリアランスの関係

透析の操作の実際について

10 透析期腎不全の食事療法

透析期食事療法の意義

繊維食の意義

食事調査の意義

透析導入期の食事療法

食事調査の評価上の問題点

塩分摂取の注意

水分摂取量について

タンパク質の摂取量

カリウムの摂取

リンの摂取

自由食という意味

memo

透析患者の食事療法の意義

糖尿病を合併した腎不全の食事

食事から摂取できる塩分量

塩分摂取量

水分の摂取量について

カロリーとタンパク質について

カリウム摂取量について

11 急性腎不全・急性腎障害

急性腎不全の分類

腎前性急性腎不全/腎性急性腎不全/腎後性急性腎不全

乏尿性急性腎不全の病期区分

急性腎不全の鑑別診断

腎毒性薬物・薬剤による急性腎不全

特殊な急性腎不全

横紋筋融解症による腎障害/播種性血管内凝固症候群

急性腎不全の治療方針

フロセミド試験

急性腎不全の透析導入基準

透析治療の基本方針

治療成績と予後

血液浄化法の選択

血液濾過法/持続的血液濾過法/血液灌流法とプラスマフェレーシス

透析治療の継続と中止の時期

救急の処置

栄養管理

memo

腎虚血に対する腎臓の反応

NSAIDsによる腎障害

O-157による溶血性尿毒症症候群

急性腎不全における透析療法の開始基準

急性腎不全における透析治療の目標と対策

CAVHについて

12 持続的外来腹膜透析法と腎移植

持続的外来腹膜透析

 家庭透析〜在宅透析

CAPDの適応患者の選択

CAPD 用透析液

CAPD の合併症

カテーテルの管理

 注液・排液における注意とトラブルの原因/操作上の注意観察事項

腹膜炎

 透析の効率/腹膜平衡試験

腎移植

 透析療法と腎移植の選択/腎移植数

治療成績と拒絶反応

 拒絶反応の型/拒絶反応に対する治療法/生体腎移植と献腎移植/献腎移植の問題点

memo

CAPDの原理と特徴

CAPD の合併症

被嚢性腹膜硬化症

腎移植における感染症

ABO式の血液型不適合移植

再生医療と腎移植

13 透析療法の進歩と新しい知識

アミロイドーシスとエンドトキシン

 適正透析

memo

透析液とエンドトキシン

サイトカイン

サイトカイン(モノカイン)仮説

透析による尿素窒素濃度の変動 urea kinetics

タンパク異化率について

標準化透析量

MIA症候群

14 糖尿病性腎症による透析治療の問題点とその対策

保存期腎不全の治療の指針

糖尿病性腎症の食事療法/糖尿病性腎症による末期腎不全治療の困難さ

透析治療への導入指針

透析療法の問題点と予後

血糖管理/二次性副甲状腺機能低下症/神経・筋障害

血管系の合併症

糖尿病性眼合併症

糖尿病の消化器系合併症

診療上のチェックポイント

血糖コントロールの目標/低血糖発作の防止と治療/透析困難症の対策

memo

糖尿病性腎症に対する薬物療法

15 高齢透析患者の合併症と日常生活の注意点

高齢者の特徴

体液の変化/高齢者の身体的特徴/高齢者の精神的特徴/高齢透析患者の診療の注意事項

透析治療における注意点

体重管理の重要性

ADLを阻害する合併症

腎性貧血の対策/腎性骨症の対策/不眠,そう痒症

食事療法と栄養の評価

食事療法の工夫

精神・心理的な問題

精神・心理的な障害に対する工夫

日常生活の質の向上をめざして

日常生活の工夫/要介護透析患者の増加

memo

透析医療の将来は

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書籍情報

  • ISBN:9784525258146
  • ページ数:284頁
  • 書籍発行日:2014年6月
  • 電子版発売日:2019年6月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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