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- 在宅医療の排尿管理と排泄ケア
商品情報
内容
在宅でも尿路カテーテル使用は多く,時には腎瘻,膀胱瘻の管理まで必要になることがある.さらに,尿漏れ・頻尿などの排泄トラブルは,在宅生活を続けられるかを左右する重要課題である.本書では,在宅で遭遇する尿路・排泄トラブルに対する知識と技術をまとめた.相談されたとき,薬の調整以外にも多様なアプローチができるようになる一冊.
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序文
まえがき
排泄トラブルで困っている在宅患者さんのために何かできることがないか?
これは私が10数年前に思ったことです.その当時在宅医療を始めたばかりの私はこの問題に対して様々な書籍を購入しました.しかし泌尿器系の書籍では尿失禁について病院でできる検査や治療について詳細に語られるだけで,在宅医療の現場で適用するには難しいものばかりでした.その後看護系の書籍を通読しているとおむつの使い方の記事を読みました.この時私には「尿漏れがあるならおむつの使用法を見直せば解決する」という安易な発想しかありませんでした.この発想は「熱があるなら解熱薬を使う」というレベルの発想です.熱の時には患者さんの状態,既往歴,今まで使用した薬など様々なことを考えるのに,排泄トラブルの時には思考停止していたのです.その後おむつフィッター研修や実践を重ねるうちに,排泄トラブルを解決するには,医学的な知識とともに介護の知識など様々な面からのアプローチが必要なことを学びました(図1-1参照).本書はその視点を学べるように前半では医療面を,後半はケアの面を紹介しました.
在宅医療では食べることは生きることに直結する大事な項目です.そして排泄は「ひとの尊厳」を保つために重要な項目です.とかく医療者は「排泄トラブルは介護の問題」とみなしてしまう傾向にありますが,本書を手に取っていただけた読者の皆さんはその第一歩を乗り越え,私が以前抱いた疑問に真摯に取り組みたいと思った方であると思います.本書はそのような方に対して,医師であれば普段聞きなれない介護の部分を,看護・介護職であれば医療と生活の両面について知識を得られる構成としました.
この書籍を通じて一人でも多くの方が排泄トラブルに真摯に取り組み,在宅患者さんが生きること,その尊厳が尊重される在宅生活につながることを祈念します.
最後になりましたが共同編者として難しい作業に尽力いただいた浜田先生,編集にあたりご協力いただいた南山堂佃さん,伊藤さんにはこの場を借りてお礼を申し上げます.
2018年3月
島﨑 亮司
目次
Ⅰ はじめに
1 在宅医療こそ生きるを支える排泄ケアを―衣・食・住・医から考える―
A 排泄ケアには医療的側面と生活的側面が必要
B 在宅医療の目的とアプローチ
C 在宅医療が尿路管理・排泄ケアに優位な理由
2 在宅の事例から
Ⅱ 排泄管理に関する知識と技術
3 在宅医療で遭遇する尿路管理・排泄トラブル
A 尿路管理・排泄管理の現状
B 排泄の意思尊重と介護負担
C 在宅医療でみるべきポイント
D 尿路排泄管理の効果
4 尿カテーテルの基礎と管理
A 尿カテーテルの種類と特性
B 長期尿道留置カテーテル
C 尿カテーテルの交換頻度や操作方法
D 尿カテーテルのトラブル
E カテーテルの必要性,抜去方法
F 自己導尿の方法,適用
5 胃瘻の基礎と管理
A 胃瘻の基本事項
B 在宅医療での管理方法
C トラブル時の対応
6 膀胱瘻の基礎と管理
A 膀胱瘻の基本事項
B 在宅医療での管理方法
C トラブル時の対応
7 在宅における排泄困難・尿閉管理
A 排尿機能とその経時的変化
B 前立腺肥大症
C 過活動膀胱
D 神経因性膀胱
E 尿閉管理
F 在宅排尿管理の新しい試み
8 在宅医療における夜間頻尿への対策
A 夜間頻尿の基礎
B 夜間頻尿の検査・アセスメント
C 夜間頻尿の治療(生活指導と薬物治療)
D 在宅医療だからできる対応(多職種連携)
9 在宅における尿路感染症
A 高齢者で生じやすい尿路感染症
B 在宅における尿路感染症治療
C 重症化した尿路感染症に対する外科的処置
D 在宅における尿路感染症予防法
E 在宅医療における尿路感染症の現状
10 悪性腫瘍の尿路管理
A 腎癌における在宅医療
B 膀胱癌における在宅医療
C 前立腺癌における在宅医療
D その他の悪性腫瘍に伴う尿路管理
11 在宅医療における終末期患者の排泄管理
A 終末期にみられる泌尿器症状
B 終末期の排泄に対する支援
C 終末期患者における意思尊重
12 在宅医療における薬と排泄管理
A 在宅で遭遇しやすい疾患と尿路に関わる薬
B 主な疾患の薬物療法
C 在宅だからできるポリファマシー対策
13 在宅医療における排便ケア
A 排便の成り立ち
B なぜブリストルスケールが重要か
C 排便管理における下剤の位置付け
D 下剤の効果と便の性状
E チャートを用いたブリストルスケールの使い方
F 下剤投与をどこまで待てるか
G 下痢に対するアプローチと対処法
H 食事や経管栄養の工夫
I 優しい摘便のコツ
14 尿路管理と多職種連携
A 訪問看護師・訪問リハビリテーションとの連携
B 薬剤師との連携
C 介護職との連携
D 地域の泌尿器科医との連携
E 病院泌尿器科との連携
F 排泄ケアの専門職
Ⅲ 排泄ケアに関する知識と技術
15 いのちを守る医療とケア
A なぜこの患者はおむつ使用なのか
B 適切な福祉用具の選択
C おむつは姿勢や動作に大きく影響するモノ
D 回復につながる心地よい身体
E 事例から考察した医療と介護
16 排泄を助ける環境作り―居室ベッド周りを中心とした排泄ケア―
A 本人および家族や支援者全ての生活環境を整える
B ベッドを中心とした排泄ケアにおける姿勢・移乗・移動動作と福祉用具
C 排泄ケアに関わる用具
17 ベッド上での排泄
A 尿器
B 採尿器
C 差し込み便器
D 自動採尿器
E 自動排泄処理装置
F 導尿
G その他留意すべきポイント
18 おむつの選択や適切なあて方は患者の身体を大きく変える
A 杜撰なおむつ使用が身体を損なう
B 「尿漏れを起こさない」「姿勢を崩さない」「動きを制限しない」「褥瘡につながらない」おむつの選択
19 おむつと皮膚トラブル ―そのためのスキンケア
A 皮膚トラブルは発見が大切
B 間違った陰部洗浄が皮膚障害を招く
C 在宅介助とスキンケア
20 認知症の方への排泄ケア
事例1 脳血管認知症 下着の上げ下げがうまくできず失禁ととらえられていたFさん
事例2 アルツハイマー型認知症 汚れた紙パンツを脱いで回っている洗濯機に入れる
事例3 前頭側頭葉型認知症 排泄行為を繰り返し終わらない
事例4 レビー小体型認知症 トイレから何か出てくるので失禁につながってしまう
あとがき
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書籍情報
- ISBN:9784525351212
- ページ数:225頁
- 書籍発行日:2018年5月
- 電子版発売日:2019年4月12日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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