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プライマリ・ケア看護学 小児期から成人期への移行支援 家族をケアユニットとした看護

  • ページ数 : 228頁
  • 書籍発行日 : 2023年4月
  • 電子版発売日 : 2023年3月31日
3,960
(税込)
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商品情報

内容

移行支援を実践する! プライマリ・ケア看護師必携のテキスト

近年の医療の進展に伴い,小児期発症の慢性疾患患者の入院期間は短縮傾向にあり,多くの子どもたちが外来通院を継続しながら地域社会で生活するようになった.本書は,小児期発症の慢性疾患に関する理解を深め,小児期から成人期への移行支援を実践できる能力を身につける,「プライマリ・ケア看護師」向けテキストである.

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序文

プライマリ・ケア看護の視点から

本書の企画は,「増加する小児期発症疾患を有する人々の地域への移行支援を学びたい」という日本プライマリ・ケア連合学会の看護師のニーズから持ち上がりました.これまで日本小児科学会を始め,各診療科学会がすでに移行期医療のガイドラインを作成しており,実践も進んでいます.医療の具体はそこから学べばよいと考えました.ならば,「私たちがフォーカスするところはどこなのか?」と考えました.日本家族看護学会は,学術の社会貢献に向け強みを発揮する場所の拡大を検討していました.

Illness is a family matter. 移行ケアにおいては家族を一つのケアユニットとして捉え支援することは重要な視点と考えます.そうして,この本のテーマが決まりました.しかし,本を作成しようにもプライマリ・ケア側に執筆者が見つかりません.まだ知見が蓄積されていないのです.そこで,この領域を開拓,リードしてこられた思春期看護研究会の力を借りることにしました.遺伝看護を専門とする看護研究者や実践家も大きく貢献してくださいました.この本を読んでいただくとその高い専門性がよくわかります.登場するどの疾患も希少で複雑ですが,ケアのポイントの多くは共通することがわかります.プライマリ・ケア側が本書を活用して小児期発症疾患を有する患者/児の理解を深め,実際のケアの一助にしていただけたらと願っております.


2023年2月

森山美知子


移行支援の視点から

15歳未満に発症する慢性疾患患者を「小児慢性特定疾病」の登録者から推定すると,毎年約10万人前後となります.成人の慢性疾患患者の数と比較して著しく少ない上,16疾患群788疾病にわたる希少疾患を持つ人々の集まりといえます.医療の進展により,このような希少な慢性疾患患者の平均余命は著しく延長したものの,成人以後の医療ニーズも複雑高度化・多様化しています.諸外国では,このような若者を“Youth with Special Health Care Needs” 特別なヘルスケアニーズを持つ若者と呼び,小児・成人に分断された医療・保健・社会福祉サービスシステムの整備を進めていますが,日本ではまだその途上にあり,さまざまな課題が明らかになっています.そのような状況の中心的な課題として取り上げられてきた「小児科から成人科への医療の場の移行の有り方」については,小児医療の専門職を中心とした議論が続いていました.そのため,本書の企画について初めてお話をいただいた際に,プライマリ・ケアの専門職の方々がこの問題に関心を寄せられているということを知り,驚きとともに,移行医療が転換点を迎えていることを実感しました.お誘いをいただきました森山美知子先生のご慧眼に感服すると共に,この場をお借りして感謝申し上げます.

10代から20代の患者への看護には,本人の自律性・主体性を育むための生活全般にわたる支援が中心となります.複雑高度な家族の問題を抱える10代患者に携わってきた専門職にとっては,「ケアユニット」という言葉が入った本書のタイトルは,やや違和感を持たれる方もいるかもしれません.成人移行期においては,保護者やきょうだいも含め,家族の問題も共に解決に向けて支援する必要があることから,ケアユニットという言葉で支援の対象者を明確化したとご理解いただければ幸いです.一方,成人医療を中心としたプライマリ・ケアで看護経験を積まれた看護師にとって本書の各論部分は,初めて目にするような希少な難病が取り上げられているように読めるかもしれません.このような疾患を持つ患者に対しては,かつては予防接種から健康診断まで専門診療科が担う時代もありました.しかし近年は発症期より地域でかかりつけ医を持つことが,患者のセルフマネジメント力を高め,自律性を育むことにつながるといわれるようになっています.筆者の個人的な看護体験からは,小児医療機関の中で,常に「病気の○○ちゃん」という対応をされてきた若者が,プライマリ・ケアの場で,「普通の」10代・20代としての健康教育を受け,ケアされることに大きな意味があると感じています.本書の読者がプライマリ・ケアと家族看護の視点から看護を提供することにより,患者家族のQOL向上のみならず,既存の移行医療に新たな視点をもたらすことを期待しています.

末筆となりましたが,ご執筆いただきました思春期看護研究会の皆様,示唆に富むお原稿を通して改めて家族をケアユニットとして見ることの重要性をご教示いただきました日本家族看護学会の先生方,学会・研究会間をつなぐ働きもしてくださいました編集部の伊藤毅様に感謝申し上げます.


2023年2月

丸 光惠

目次

Ⅰ 移行支援におけるプライマリ・ケアの役割

1 移行支援とは

2 移行支援を支える診療体制

3 移行支援にかかわる制度・政策と課題

4 病院の果たす役割

5 プライマリ・ケア看護師の役割

Ⅱ 移行支援の対象の理解と看護

1 思春期・青年期の成長発達課題

2 小児期発症慢性疾患患者の発達課題

3 疾病に関する教育と症状マネジメント─遺伝医療と成育医療の視点から─

4 小児期発症慢性疾患を有する子どもと家族への看護

Ⅲ 小児期発症慢性疾患患者と家族の特徴

1 小児期発症慢性疾患患者と家族のファミリーライフサイクルとその課題

2 家族志向の移行支援の重要性

3 家族を1 つのケアユニットとして捉えたアプローチ

4 家族の構造に対するアセスメントツール

5 活用できる社会資源

6 成人移行期のピアサポートプログラム

Ⅳ プライマリ・ケアにおける移行支援が必要な疾患とその影響と看護の展開

1a 染色体異常

1b 染色体異常(事例)

2a 膠原病リウマチ

2b 膠原病リウマチ(事例)

3a 1型糖尿病

3b 1型糖尿病(事例)

4a アトピー性皮膚炎

4b アトピー性皮膚炎(事例)

5a 先天性心疾患

5b 先天性心疾患(事例)

6a 発達障害

6b 発達障害(事例)

7a 小児がん

7b 小児がん(事例)

8a 腎疾患

8b 腎疾患(事例)

9a 神経性無食欲症

9b 神経性無食欲症(事例)

10a 小児外科系疾患

10b 小児外科系疾患(事例)

Ⅴ これからの移行支援の課題

1 在宅で暮らす重症心身障がい児の課題

2 難病・デュシェンヌ型筋ジストロフィー


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書籍情報

  • ISBN:9784525504618
  • ページ数:228頁
  • 書籍発行日:2023年4月
  • 電子版発売日:2023年3月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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