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- Ph.D.SAWADAの処方せん鑑査ラボ
商品情報
内容
本書はそのツールの1つとして重要度の高い事例を厳選し,処方・解説内容を最新の医薬品情報により解説.また,処方せん鑑査の基本となる“処方せんの読み方”をまとめた.
薬学生や臨床経験の浅い薬剤師にお薦めの一冊!
序文
2010年1月,厚生労働省より「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」が公表された.医療安全の観点から,内服薬処方せんの記載の在るべき姿が取りまとめられ,短期的・長期的方策および移行期間における対応が示されている.薬のスペシャリストである薬剤師はこの新しいルールを正確に理解し,①医師をはじめとした処方せんを扱う医療スタッフへ標準的な記載方法を周知すること,②処方せんによる情報伝達エラーを回避・防止することが求められていると考える.
薬剤師による業務は,処方せん受付から発注・充填に至るまで複雑な流れとなっているが,そのなかでも「処方せん鑑査」は調剤の最初に位置するきわめて重要なチェック業務である.今後,処方せんの記載が在るべき姿という終着点に辿り着いたとしても重要な業務であることに変わりはない.この業務を経たのち,処方内容の確認,薬歴・お薬手帳での確認,服薬指導・薬歴記載の場面から疑義照会に至り,医師への確認を行い,再度同じプロセスで流れていく.ここでとくに問題がなければ,薬剤情報提供に至り薬剤が交付されることとなる.
この処方せん鑑査・疑義照会のプロセスで薬剤師は,明らかに間違っている処方を訂正することはもちろん,とくに問題はないが,最新のエビデンスから考えて,より良い,さらには最良の処方に変更してもらえるよう努力する必要がある.十分な処方せん鑑査・疑義照会が行われずにミスをおかした事例がマスコミにも紹介されるようになっており,また不十分な鑑査に対して裁判で薬剤師の責任が問われた判例も出てきている.医薬分業率が60%を超えた現在,薬物治療のゲートキーパーという重要な使命が課せられた薬剤師は,処方せん鑑査に関する研鑽は欠かすことができない重要課題である.
さらに,上述の医療安全の観点からまとめられた報告書において,医師,歯科医師,看護師,薬剤師の養成機関に内服薬処方せんの標準的な記載方法について教育を徹底するよう明記されている.薬剤師が担うべき安全な医薬品使用の実践へ向けた教育として,記載方法のみならず,処方せんの読み方までを徹底して教育する必要があることは言うまでもない.
本書は,処方せん鑑査・疑義照会のノウハウを処方せんチェックのポイント別に事例をあげまとめたRp.レシピ臨時増刊号「処方せん鑑査・疑義照会実践トレーニング」4巻分の内容から,初学者にとって重要度の高い事例を厳選し,最新の医薬品情報に基づきアップデートしたものである.また,処方せん鑑査の基本となる"処方せんの読み方"を上述報告書に基づき解説を加え,臨床薬剤師のみならず,基礎教育の段階より活用できるよう工夫した.
処方せん鑑査業務の技能を研鑽するために体系的な理解がもっとも能率的と考え企図した本書が,患者さんのためにより良い,さらには最良の処方せん鑑査を実践するために,少しでもお役に立てば著者にとって望外の喜びである.
2011年 秋
澤田 康文
目次
本書の使い方
第1章 処方せんの読み方
1.保険調剤の業務内容
2.処方せんの全体像
3.処方せんの構成要素
処方せんの構成要素とチェック項目
処方せんの記載内容
第2章 処方せん鑑査実践トレーニング
1.販売名・一般名-処方された薬の名前が不明確で特定できない!!
1. 薬名の記載が不十分で調剤薬を特定できない処方
2. 複数の適用がある外用薬の使用方法が特定できない処方
2.組成・性状・有効成分・製剤・包装-処方された薬には問題はないが製剤・包装に問題がある!!
1. 医師の薬剤・製剤に対する認識不足が考えられる処方
2. 製剤の不適切な加工・調製が指示されている処方
3.効能および効果―処方された薬が疾患の治療目的には不適当である!!
1. 調剤薬から病名を推定して選択ミスと判断される処方
2. 初回使用時に条件が規定されている薬剤の処方
3. 薬剤選択に患者取り違えの可能性が疑われる処方
4. 病名と薬剤との乖離から間違いが疑われる処方
5. 病名と薬剤との乖離から適応外使用が疑われる処方
6. 同一薬効群ではあるが,適応がない薬剤の処方
7. 処方頻度のきわめて低い薬剤の処方
8. 診療科や医師の専門領域にそぐわない薬剤の処方
9. 他剤との併用が規定されている薬剤の単独処方
10. 必要な検査が実施されていない処方
11. 漫然と投与されている処方
12. 効能・効果の条件に一致しない薬剤の処方
13. 削除された効能・効果に基づく処方
14. 一般的に女性(男性)に処方する薬剤の異性への処方
15. 第1選択薬となっていない処方
16. 一般的に閉経後の女性に処方される薬剤の若年者への処方
17. 同一医薬品ではあるが,適応がない薬剤の処方
4.用法および用量―処方された薬の投与法・投与量が不適当である!!
1. 薬剤の服用時期に疑問がある処方
2. 分量が主薬(成分)量か製剤量かの判断が困難な処方
3. 頓服に関する指示に疑問がある処方
4. 制限量を超えた処方あるいは過少量の処方
5. 病名の違いにより異なる投与量が考慮されていない処方
6. 投与期間を確認することが望ましい処方
7. 小児の年齢・体重に対し用法・用量が適切でない処方
8. 期間限定の漸増・漸減が守られていない処方
9. 休薬期間が守られていない処方
10. 過量あるいは過少量投与からミスが疑われる別物処方
11. 高齢者に対し用法・用量が適切でない処方
12. 腎機能障害に対する用法・用量として適切でない処方
13. 肝機能障害に対する用法・用量として適切でない処方
14. 服薬回数の種類が多くコンプライアンス低下が危惧される処方
15. のみ忘れあるいは服用量を誤ったときの用法・用量調整
16. 連用されていた薬剤が突然中止となっていた処方
17. 他の薬剤への切り替え方法に問題がある処方
18. 同種薬であるが製剤変更に問題がある処方
19. 病名により異なる投与回数・期間が認識されていない処方
20. 規定された低投与量から開始されていない処方
21. 特殊な用法・用量により誤解を生む処方
22. 女性に対する用法・用量として適切でない処方
23. 過量投与から適応外使用が考えられる処方
24. 急激な増量からミスが疑われる処方
25. 過少量投与から適応外使用が考えられる処方
5.禁忌・慎重投与①―処方された薬が疾患に不適当である!!
1. 呼吸器系疾患・喘息に禁忌・注意薬剤の処方
2. 手術・抜歯前の休薬期間が不十分な処方
3. 心血管系疾患に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
4. てんかん・けいれんに禁忌・慎重投与である薬剤の処方
5. 肝障害患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
6. 腎障害患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
7. 前立腺肥大患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
8. 消化性潰瘍患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
9. 胆石患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
10. 糖尿病患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
11. 耳鼻科疾患に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
12. うつ病,自殺念慮・企図などの精神状態に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
13. 片頭痛に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
14. 甲状腺機能亢進症・低下症に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
15. 緑内障に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
16. インフルエンザに禁忌・慎重投与である薬剤の処方
17. 高血圧に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
18. 熱のある小児に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
19. 皮膚疾患に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
6.禁忌・慎重投与②―処方された薬が生理的状態に不適当である!!
1. 高齢者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
2. 小児に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
3. 妊婦,妊娠を希望する患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
4. 特別な仕事に従事する患者に禁忌・慎重投与である薬剤の処方
5. 食物アレルギーに禁忌・慎重投与である薬剤の処方
6. アレルギー歴のある薬剤の処方
7. 授乳を希望している患者への処方
8. 18歳未満の患者に不適切な薬剤の処方
9. 薬剤の味に敏感な患者への処方
10. 特定の宗教に不適な薬剤の処方
7.禁忌・慎重投与③―処方された薬ののみ合わせが不適当である!!
1. 吸収過程が問題となる併用処方
2. 代謝過程・阻害が問題となる併用処方
3. 代謝過程・促進が問題となる併用処方
4. 腎排泄過程が問題となる併用処方
5. 同効薬の併用により作用増強・減弱が予想される処方
6. 同じ副作用症状を有する薬剤の併用処方
7. 併用により効果が相殺され効果が減弱する処方
8. 併用により効果と副作用が相殺され作用が減弱する処方
9. 併用により効果と副作用が相乗され作用が増強する処方
10. 食生活が問題となり作用が増強する処方
11. 食生活が問題となり作用が減弱する処方
12. 薬剤と食の成分が類似していて集積している処方
8.副作用―処方された薬の副作用が出た!!
1. 心血管系への副作用が考えられる処方
2. 筋肉への副作用が考えられる処方
3. 腎臓への副作用が考えられる処方
4. 肝臓への副作用が考えられる処方
5. 中枢神経系への副作用が考えられる処方
6. 皮膚への副作用が考えられる処方
7. 呼吸器への副作用が考えられる処方
8. 血糖値への影響が考えられる処方
9. 感覚器への副作用が考えられる処方
10. 消化器系への副作用が考えられる処方
11. 甲状腺への副作用が考えられる処方
12. 浮腫が考えられる処方
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書籍情報
- ISBN:9784525781910
- ページ数:308頁
- 書籍発行日:2011年12月
- 電子版発売日:2019年7月10日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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