PT・OTビジュアルテキスト専門基礎 運動学 第2版

  • ページ数 : 223頁
  • 書籍発行日 : 2022年2月
  • 電子版発売日 : 2022年3月18日
4,400
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商品情報

内容

運動器の構造・機能から歩行まで,セラピストに必要な運動学を凝縮.カラーのイラストや写真を多用し,運動学を学ぶ最初のテキストとして最適.「関節可動域表示ならびに測定法」改訂にも対応.

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序文


〜第2 版の発行に寄せて〜

運動学がリハビリテーションの根幹をなす科目であることは,衆目の一致するところであろう.しかし,物理学や解剖学,生理学など多岐にわたる知識が必要とされるため,苦手意識をもっている学生も多い.さらに教える側も,運動学全般にわたって精通している教員ばかりとはいい難い.「運動学」というワードが入った書籍は多々みられるし,これまでに分担執筆をさせていただいたこともある.しかしそれらをもってなお,養成校の教員と話をすると,テキストに加えて追加資料を配布している,名著ではあるがどう教えていいかわからないといった意見を耳にすることが多い.さらには,臨床現場に出てからこそ必要とされる運動学の知識であるにもかかわらず,若手セラピストには養成校で学んだ情報を確認,あるいは更新する機会がない現状を目にしてきた.このような状況であるにもかかわらず,打開策がみえず手をこまねいていた.

そのようななか,第1 版出版に向けて動き出した.運動学の最新知見を含めて実践の文脈上で語る,つまりPT・OT 養成に必要な運動学の集大成は大変だった.医学・工学を含めた広義の自然科学の発展に伴い,運動学の内容はブラッシュアップされている.しかし,PT・OT に必要な運動学の全体像を捉えられているセラピストは少ない.ここには,運動学は難しい,苦手だという思い込みも少なからず影響しているように思われる.本書の章立ては,私自身が学生向けに講義している「運動学」の内容をベースに,エッセンスを網羅することにした.これまでは他の書籍を教科書指定していたのだが,その内容のすべてを教えられたわけではない.時間的な制約はもちろん,内容が難解であることも大きな理由であった.そのため第1 版の執筆に際しては,運動器の基本から姿勢・歩行まで,運動学の重要ワードをカバーしつつも,必要以上の知識は省き,できるだけコンパクトにまとめることを意識した.また,カラーのイラストや写真を多用することで,ビジュアル面でも学びやすくなるよう工夫した.さらには解剖学書を並べて見なくても済むよう,筋の図など巻末付録も充実させた.本書は養成校での講義用テキストとしての使用を想定しているが,現職のセラピストが運動学の知識を振り返るための書籍としても有用なはずである.

さて,第1 版が発行されて2 年が経過し,第2 刷発行の予定であることを羊土社編集部より2021 年10 月末に連絡いただいた.編集部としては,すでに判明している誤植の修正確認のつもりであったと思われるが,私がやっかいな返信をしてしまったのである.というのも,2022 年4 月改訂の「関節可動域表示ならびに測定法」の内容を踏まえた修正依頼を提案したからである.

日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会(1995)による足関節および足部における運動の定義が広く使用されているが,英語圏および英語文献での定義と異なっていた.そのため,書籍・雑誌の引用や翻訳の際に混乱を招いていた.しかし今回,日本足の外科学会が作成した「足関節・足部・趾の運動に関する新たな用語案」をもとに,「関節可動域表示ならびに測定法」が改訂される運びとなった.長年使用してきた用語が変更されることに対しては,臨床に従事する医療・保健・福祉の専門職,そして教育現場の方々にとって,ショッキングなことといえる.このような背景から,「第2 刷」ではなく「第2版」として発行する運びとなったのである.

第1版執筆時には細心の注意を払ったつもりではあったが,やはり(?)誤植はあるもの.開き直るつもりはないが,この機会により学生目線で本文の修正・加筆をすることとした.またわずかではあるが,図表を追加した.現時点で可能な修正・加筆を時間の許す限り行ったつもりではあるが,まだまだ不備も散見することが予想される.手に取っていただいた方から,ご意見,ご指摘をいただければと思っている.

最後に,本書の編集にあたっては多くの方々のお力をいただいている.谷田惣亮先生,宇於崎 孝先生,高田雄一先生,そして同僚の中俣 修先生には,授業中に学生が簡単な実技を行えるように設けた「Let’s Try」,臨床医学に接続するための「臨床で重要!」の執筆協力,そして本文に対する助言,アドバイスをいただき,大変感謝している.また,私の意見に耳を傾けたうえで,適切な助言をいただいた羊土社編集部の冨塚達也氏,望月恭彰氏に深謝する.


2021年12月

山﨑 敦

目次

第1章 身体運動学の基礎

1.身体運動の捉え方

1)基本肢位

2)運動と変位

3)運動の面と軸

4)運動連鎖

2.運動力学

1)力の概念

2)力と運動

3)仕事とエネルギー

4)力と滑車

3.身体運動とモーメント

1)力のモーメント

2)重心

4.身体運動とてこ

1)3種類のてこ

2)関節モーメントと関節応力

第2章 運動器の構造と機能

1.骨の構造と機能

1)骨の役割と分類

2)骨の基本構造

3)骨質の構造

4)骨のモデリング,リモデリング

5)骨代謝

2.関節の構造と機能

1)広義の関節分類

2)関節の基本構造

3)関節包と滑液

4)関節軟骨

5)靱帯

6)滑膜性関節の分類

7)関節包内運動

3.骨格筋の構造と機能

1)骨格筋の概要

2)骨格筋の基本構造

3)骨格筋の微細構造

4)骨格筋の収縮機序

5)筋収縮のためのATP供給・生成過程

6)筋線維のタイプ

7)運動単位と筋収縮の調節

8)筋収縮による張力発生の特性

9)筋肥大と筋萎縮

10)筋の感覚受容器

11)腱の基本構造と機能

第3章 上肢帯・上肢の構造と運動

1.上肢帯と肩関節の構造と運動

1)上肢帯・肩関節の総論

2)胸鎖関節の構造と運動

3)肩鎖関節の構造と運動

4)肩甲胸郭関節の構造と運動

5)肩甲上腕関節の構造

6)肩複合体としてみた運動(肩甲上腕関節の運動を含む)

2.肘関節と前腕の構造と運動

1)肘関節と前腕の構造

2)肘関節の運動

3)前腕の運動

3.手関節の構造と運動

1)手関節の構造

2)手関節の運動

4.手の構造と運動

1)手の構造

2)手の運動

3)手固有の作用と肢位

第4章 頭部・顔面の構造と運動

1.頭部の構造

2.顎関節の構造と運動

3.正常な摂食,嚥下運動

4.表情筋および眼筋

第5章 体軸骨格・骨盤帯の構造と運動

1.脊椎・脊柱の基本構造と運動

1)脊椎の構造

2)脊柱の連結

3)脊柱の運動

2.頸椎の構造と運動

1)頸椎の構造

2)頸椎の関節と運動

3.胸郭の構造と運動

1)胸郭を構成する骨の構造

2)胸郭の関節と運動

4.腰椎の構造と運動

1)腰椎の構造

2)腰椎の関節と運動

5.骨盤帯の構造と運動

1)骨盤帯の構造

2)骨盤帯の運動

第6章 下肢帯・下肢の構造と運動

1.下肢帯と股関節の構造と運動

1)下肢帯の総論

2)股関節の構造

3)股関節の運動

2.膝関節の構造と運動

1)膝関節の構造

2)膝関節の運動

3.脛骨と腓骨の連結の構造と運動

1)脛腓関節,脛腓靱帯結合の構造

2)脛腓関節,脛腓靱帯結合の運動

4.足関節と足部の構造と運動

1)足関節と足部の構造

2)足関節と足部の運動

第7章 姿勢

1.体位と構え

2.安定性と可動性

3.ヒトの姿勢

第8章 正常歩行

1.歩行周期

1)歩行の概要

2)距離因子と時間因子

3)歩行周期の区分

4)正常歩行時の身体重心の変位

2.1歩行周期中の関節運動

1)骨盤の運動

2)股関節の運動

3)膝関節の運動

4)足関節の運動

5)胸郭・上肢の運動

3.1歩行周期中の筋活動

1)初期接地,荷重応答期の筋活動

2)立脚中期,立脚終期の筋活動

3)前遊脚期の筋活動

4)遊脚相の筋活動

巻末付録

1.各部の筋

2.筋の起始・停止,神経支配,作用

3.筋の起始・停止部

4.関節可動域表示ならびに測定法(2022年改訂版)

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書籍情報

  • ISBN:9784758102582
  • ページ数:223頁
  • 書籍発行日:2022年2月
  • 電子版発売日:2022年3月18日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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