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- PT・OTビジュアルテキスト専門基礎 精神医学
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序文
序
本書はリハビリテーション医療関係者あるいは理学療法士や作業療法士を志す学生がイメージし理解しやすいよう,イラストや図表を多くとりいれた精神医学テキストです.人間の参加と活動に携わるリハビリテーションの現場では,しばしば精神疾患への対応と精神科的な素養が求められます.よいリハビリテーション治療を展開するには,併存あるいは潜在する精神科疾患の理解と対応技術の習得が不可欠です.さらに,精神状態と身体的な活動と参加は密接に関連しています.作業療法士のみならず理学療法士にとっても精神科領域での活躍の場は広がりをみせ,基本的動作の維持回復を通して身体社会的適応能力の向上に尽力することが期待されています.
他の先進国と比較して日本の精神医療は,人口当たり精神科病床の多さ,医療法人(私立)病院病床の多さ,平均在院日数の長さで群を抜いています.2004年に精神保健医療福祉の改革ビジョンにて「入院医療中心から地域生活中心へ」との基本方策が政府より示されました.受け入れ条件が整えば退院可能な社会的入院者7万人を10年間で地域生活に戻そうというものでした.この改革ビジョンが当初の目標通り進まなかった理由がいくつか指摘されています.精神障害の特徴として疾患と障害が併存している,障害の状態が変化する,偏見と差別が解消されていない,などの他に,身体的な活動と参加の広がりがままならなかったことがあげられています.グループホームなど地域で生活するためには,体力と基本的動作の確実性がなによりもまず必要です.
本書の作成にあたって,二つの点に苦労しました.一つ目は診断や病気の概念を教育カリキュラムの通りICD-10に準拠するとしながらも現在の臨床にどう近づけるか,というものです.WHOよりICD-11が2018年6月に公式発表され(ただし2022年8月現在まだ日本語訳が公開されていません),1990年に登場したICD-10は公的な診断書や統計に用いられてはいるものの,臨床の現場ではDSM-5を使用しています.二つ目は,学生が使用する標準的な教科書としての記載に,筆者らが経験しているリハビリテーション医療におけるさまざまな精神科的出来事をどう盛り込むか,というものです.これらについては,教育カリキュラムに則る標準的な教科書を志向しました.現場の専門職にとって物足りない部分がありましたら,筆者らの他の出版物を読んでいただけると幸いです.最後に,羊土社編集部で本書担当の金子葵さん(理学療法士)に深謝いたします.
2022年8月
先崎 章
目次
第1章 精神医学とは
1 精神医学総論【先崎 章,仙波浩幸,香山明美】
1 精神医学の特徴
1)精神医学の立ち位置と心理学との違い
2)正常と異常の判別
3)操作的診断と従来診断の関係
4)精神医学の歴史
5)精神医学とリハビリテーション医学の相違点と共通点
6)精神障害(精神科)リハビリテーションと精神医学,リハビリテーション医学
7)精神医学をリハビリテーション医療に利用するためには
8)精神症状にみえる脳損傷による神経心理学的症状
9)精神科病棟がないリハビリテーション病院
2 精神医療と理学療法
1)精神障害者の現状と理学療法の必要性
2)理学療法の概念と目的
3)日本における精神科領域の理学療法の歴史
4)精神科領域の理学療法の実践
3 精神医療と作業療法
1)作業療法の定義
2)作業療法の歴史
3)近年の精神医療保健福祉施策の動向と作業療法士の役割
4)精神科領域で働く作業療法士数の変遷
5)作業療法の目的と役割
6)作業療法実践のプロセス
7)心理社会的支援(リハビリテーション)の発展と作業療法
8)多職種連携と作業療法
2 精神疾患の成因と分類【仙波浩幸】
1 精神障害の成因による3分類
2 精神医学診断分類の標準化
1)国際疾病分類(ICD)
2)精神疾患の診断/統計マニュアル(DSM)
3)ICD-10とDSM-5の違い
4)本書の構成
3 精神障害の症状【奥原孝幸】
1 精神症状とは
1)主観的症状と客観的症状
2)陽性症状と陰性症状
3)精神状態
4)病識と病感
2 意識の障害
1)正常な意識状態
2)意識の障害
3 思考の障害
1)思路の障害
2)思考体験の障害
3)思考内容の障害
4 感情の障害
5 知覚の障害
6 自我意識の障害
7 記憶の障害
1)記憶の分類
2)記憶の障害
8 知能の障害
9 欲動,行動の障害
10 認知機能の障害
4 精神科面接法と評価【奥原孝幸】
1 精神症状のとらえ方
1)主観的症状と客観的症状
2)観察
3)面接
2 精神科面接法
1)目的
2)構造
3)進め方
4)留意すべき点
3 面接と観察による精神機能に関する評価尺度
4 PT・OTにとって面接や評価における重要な視点
1)リカバリー,ストレングス,エンパワメントの支援
2)総合的,全人的にその人を理解するためのICF
3)環境と個人の相互作用
4)関与しながらの観察と治療的自己の活用
5)回復過程に沿った変化を見据えた視点
6)エリクソンのライフサイクル論
第2章 精神障害各論
1 症状性を含む器質性精神障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 臨床症状
3 認知症総論
1)概念・定義
2)認知症の分類
3)臨床症状
4)認知症の診断基準・評価
5)認知症の社会施策
6)主な認知症
7)治療・対応
4 症状性精神障害
1)ビタミン不足による障害
2)人工透析関連障害
3)膠原病による障害
4)内分泌疾患と関連する障害
5)生殖機能と関連する障害
6)身体治療薬による精神症状
5 てんかん総論
1)概念・定義
2)分類
3)臨床症状
4)治療・対応
6 せん妄
2 精神作用物質使用による精神および行動の障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 臨床症状
1)依存
2)離脱
3)アルコール摂取による生体反応
4)アルコールによる精神疾患
5)アルコール依存症候群の治療
3 その他の精神作用物質
1)概要
2)違法薬物
3)医薬品
4)嗜好品
5)嗜癖行為症
3 統合失調症およびその関連疾患【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 歴史
3 病因・病態
4 疫学
5 分類
6 精神症状
1)知覚の異常(幻覚)
2)思考の異常
3)意欲・行動の障害
4)感情障害
5)病識の障害
7 経過
8 診断基準
9 治療
10 統合失調症様の疾患
4 気分障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 歴史
3 疫学
1)うつ病
2)躁うつ病
4 病因・病態
5 うつ病
1)臨床症状
2)診断
3)治療・対応
4)経過・予後
6 躁うつ病
1)臨床症状(躁病エピソード;躁病相)
2)診断
3)治療・対応
4)経過・予後
7 持続性気分障害
8 女性に生じる気分障害
5 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 歴史
3 不安症
1)全般性不安障害(DSM-5:全般不安症)
2)パニック障害(DSM-5:パニック症)
3)恐怖を中心とする不安症
4 強迫性障害(DSM-5:強迫症)
5 重度ストレス反応および適応障害
1)急性期のストレス障害-急性ストレス反応(DSM-5:急性ストレス障害)
2)心的外傷後ストレス障害(PTSD)
3)適応障害
6 解離性障害(DSM-5:解離症)
7 身体症状を訴える疾患
1)身体表現性障害(DSM-5:身体症状症)
2)心気障害(DSM-5:病気不安症)
6 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 食行動障害および摂食障害群
1)神経性無食欲症(DSM-5:神経性やせ症)
2)神経性過食症(DSM-5:神経性大食症)
2 睡眠覚醒障害
1)不眠症
2)中枢性過眠症群
3)概日リズム睡眠-覚醒障害群
4)睡眠時随伴症群
5)睡眠関連呼吸障害群:睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)
6)睡眠関連運動障害群
7 パーソナリティ障害と行動の障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 概念・定義
2 パーソナリティ障害の類型
1)A群:社会から孤立しひきこもるタイプ
2)B群:情緒が不安定で,攻撃的で安定した関係が築けないタイプ
3)C群:不安や神経症的な様子がみられるタイプ
3 行動(習慣および衝動)の障害
4 性行動の障害(性関連性障害)
8 児童・青年期の精神障害【仙波浩幸,香山明美,先崎 章】
1 精神遅滞(知的能力障害)
2 特異的発達障害
1)会話および言語の特異的発達障害(ICD-10)
2)学習能力の特異的発達障害(ICD-10)
3)運動機能の特異的発達障害(ICD-10)
3 広汎性発達障害,自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(DSM-5)
1)小児自閉症(ICD-10)
2)アスペルガー症候群
3)高機能自閉スペクトラム症(高機能広汎性発達障害)
4 多動性障害,注意欠如・多動症 / 注意欠如・多動性障害(DSM-5)
5 行為障害(素行障害)
6 情緒障害
7 社会的機能の障害
8 チック障害(チック症)
9 その他の行動および情緒の障害
9 ライフサイクルにおける精神医学【加賀野井聖二】
1 人間の発達とエリクソンの心理社会的発達理論
1)発達の概念
2)エリクソンの心理社会的発達理論によるライフサイクルモデル
2 個人のライフサイクルと関連する精神疾患
1)妊娠・出産期
2)乳児期(0~1歳)
3)幼児前期(1歳~3歳)
4)幼児後期(3歳~5歳)
5)学童期(5歳~12歳)
6)青年期(12歳~18歳)
7)成人期(18歳~40歳)
8)壮年期(40歳~65歳)
9)老年期(65歳以上)
3 個人ライフサイクルと家族世代間の相互関連
発展:各世代の相互関連の具体例
1)妊娠・出産期~幼児後期の相互関連
2)学童期~青年期の相互関連
3)成人期の相互関連
4)壮年期の相互関連
5)老年期の相互関連
6)PT・OTが留意すべきこと
第3章 精神疾患の治療・関連した知識
1 精神疾患の治療【辻野尚久】
1 精神疾患の治療とは
2 精神療法
1)積極的傾聴
2)主な精神療法の手法
3 身体療法(薬物療法を除く)
1)電気けいれん療法(ECT)
2)経頭蓋磁気刺激療法(TMS)
3)高照度光療法
4 薬物療法
1)抗精神病薬
2)抗うつ薬
3)気分安定薬
4)抗不安薬
5)睡眠薬
6)精神刺激薬
7)抗認知症薬
8)抗てんかん薬
2 精神科リハビリテーションと関連法規【新村秀人】
1 精神科リハビリテーションとは
1)精神障害と精神科リハビリテーション
2)精神科リハビリテーションの考え方
3)コンサルテーション・リエゾン精神医学
2 退院支援と包括的地域ケア
1)包括型地域生活支援プログラム(ACT)
2)統合型地域精神科治療プログラム(OTP)
3)地域包括ケアシステム
3 機能障害への精神科リハビリテーション
4 生活障害への精神科リハビリテーション
1)脆弱性ぜいじゃくせい-ストレスモデル
2)精神科リハビリテーションの手法
3)診療報酬で行うもの
4)根拠に基づく実践(EBP:evidence-based practice)
5 社会障害への精神科リハビリテーション / 支援
1)グループホーム
2)ホームヘルパー
3)地域活動支援センター
4)就労支援
5)当事者・家族の集まり
6 社会参加のための福祉:法律・制度
1)精神科医療制度の変遷
2)精神保健福祉法
3)医療観察法
4)障害者総合支援法
5)その他の精神障害者が受けられる公的サービス
7 早期介入
8 社会精神医学
・確認問題・国家試験練習問題 正答
・事例検討① せん妄の治療
・事例検討② うつに対する治療
・事例検討③ 身体的リハビリテーションが実質的に精神科的治療の役割も果たしうる例
・事例検討④ 家族との相互関連を考えなくてはならない例
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書籍情報
- ISBN:9784758102612
- ページ数:248頁
- 書籍発行日:2022年10月
- 電子版発売日:2022年10月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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