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- リハに活かす!機能解剖から学ぶ脳画像の読み方
商品情報
内容
なんとなく脳画像を読んでいる方,もっと脳画像をリハに役立てたい方必見!読影に欠かせない機能解剖・機能連携を丁寧に学ぶことで,画像から得られる障害のイメージがぐっと膨らみます.初学者でもすらすら読める!
序文
序
脳って本当に不思議な臓器だと思いませんか? 形や機能は皆同じなのに,同じものを視たり聴いたりしても応答は皆違います.今この文章を読んで「本当にそうか?」などと考えているのは確かに“自分の脳”なのに,その考えに至った脳の働きをイメージしてみると,自分の脳を俯瞰しているもう1 人の脳もいる気がしてきます.有名なニーチェの「深淵」の格言を「脳」に言い換えてみると,まさに脳が自分を覗き返しているような錯覚に陥ります.
皆様は学生の頃にも臨床で働きはじめてからも,脳についてそれなりの知識を蓄えてきたはずです.脳画像上のどこが何のための場所か,ということもある程度学んできたことでしょう.しかし結局のところよくわからない方も多いのではないでしょうか.その大きな理由の1 つに,機能解剖と連携がイメージできていないという問題があると考えます.例えば失語症は「言語」機能の障害ですが,話す・書くといった活動は運動そのものです.麻痺は「運動」機能の障害ですが,随意運動に至るためには目的および情動が必要であり,入力されるさまざまな感覚情報の処理や蓄積された記憶が起点となります.ここで麻痺が出現する,ここで失語が出現するといった単発的知識しか有していなければ,その部分のみ損傷された脳画像しか判断できません.例えば麻痺は軽度なのに歩けない患者をどう治療すべきかといったことも考えられないでしょう. 「確かにそうかも」と感じながら今これを読んでいるあなたの脳の中では,腕から小脳に入力された固有感覚,指先から感覚野に伝えられた表在感覚,網膜から後頭葉に伝えられた視覚情報を頭頂葉で統合し,側頭葉に蓄積された経験から本を落とさずに適切に読むための行動をしたいと眼窩前頭前皮質が考え,補足運動野や運動前野が具体的な本の把持運動,それを安定させる網様体脊髄路活動を企画し,かつ網膜から入った文字を両側頭葉で形として認識し前頭前野に一時的に貯蔵し……と序文に書ききれないほどのことが同時進行で起きています.
やはり難しいと感じましたか? その通りであり,本著を1 回読んだところで到底理解はできないでしょう.しかし,さっと全体を読み流してから2 回目に突入すると,不思議なことにさまざまな疑問が一気に解決します.これこそが機能連携の知識の重要性であり,少しでも全体像がわかると,すべてがつながりはじめるのです.
本著が脳機能を面白いと感じる契機となり,皆様の臨床理解の一助になれば幸いです.
2024年5月
聖マリアンナ医科大学リハビリテーション医学講座
佐々木信幸
目次
序章 脳画像の評価と医学的妥当性【佐々木信幸】
1 脳画像から適切に予測できるか
2 改善≠治療成功,予後予測の重要性
3 医学的妥当性を意識する
第1章 脳の構造と働き【佐々木信幸】
1 脳全体の構造と役割の概要
2 古い脳と新しい脳
3 大脳新皮質
4 大脳基底核
5 大脳辺縁系
6 間脳
7 脳幹
8 小脳
9 脳血管と血管支配領域
10 章の最後に
第2章 左右大脳の違い【佐々木信幸】
1 手と大脳の側性化
2 大脳の側性化に関する特徴的な症状
3 その他
第3章 脳に何が起きたのか【佐々木信幸】
1 病巣とは結果の1つに過ぎない
2 脳梗塞とは
3 脳出血とは
4 くも膜下出血とは
5 発症機序のイメージと脳可塑性に作用する賦活
第4章 脳画像所見の基礎知識【山徳雅人】
① 各スライスにおける構造
1 延髄レベル
2 橋下部レベル
3 橋上部レベル
4 中脳レベル
5 第三脳室レベル
6 松果体レベル
7 大脳基底核・視床レベル
8 側脳室体部レベル
9 半卵円中心レベル
② 脳血管
1 CTAとMRA
2 脳血管の解剖
③ CT
1 脳実質内での高吸収
2 脳出血の原因を考える
3 脳実質内の低吸収
4 脳梗塞の特徴的所見
5 組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)の投与判断とCTの評価
④ MRI
1 拡散強調画像(DWI)の意義
2 MR灌流画像:DSC法とASL法
3 T2*強調画像,磁化率強調画像(SWI)の低信号とは
第5章 運動麻痺を推察する【佐々木信幸】
1 一次運動野のホムンクルス
2 一次運動野はどこにある?
3 皮質脊髄路
4 発症機序による推察
5 運動麻痺の改善
第6章 高次脳機能を理解する【渡邉 修】
① 半側空間無視
1 半側空間無視(USN)の定義
2 方向性注意の神経基盤
3 左半側空間無視の発症メカニズム
4 半側空間無視の存在を示唆する画像所見
5 半側空間無視の改善時期
② 前頭葉機能
1 前頭葉の構造
2 脳MRI上の前頭葉の位置
3 前頭葉症状
4 前頭葉と基底核,視床との連絡
5 事例提示
③ 記憶障害
1 記憶の基本分類
2 Papez回路と脳画像
3 記憶障害の評価
4 記憶障害の改善時期
④ 失語症
1 言語野の位置
2 失語症のタイプ分類
3 脳画像上の言語野の位置
4 失語症の評価
5 脳卒中による失語症
6 失語症の改善時期
7 事例提示
第7章 嚥下機能の障害【山徳雅人】
1 テント下病変
2 テント上病変
3 摂食嚥下機能障害の改善時期
4 経管栄養・胃瘻造設のタイミングは?
第8章 実症例トレーニング
① 頭頂葉皮質下出血
[症状] 右片麻痺,感覚障害,ゲルストマン症候群,観念失行,全般的認知機能低下【高橋良太】
② 中大脳動脈梗塞
[症状] 右片麻痺,失語【小野順也】
③ 被殻出血
[症状] 運動麻痺,半側空間無視【畑中康志】
④ 被殻出血
[症状] 右片麻痺,感覚障害,失語症【高橋良太】
⑤ 橋梗塞
[症状] 運動麻痺【畑中康志】
⑥ 橋梗塞
[症状] 深部感覚障害,失調,歩行障害【梅原健人】
⑦ 延髄外側梗塞
[症状] lateropulsion,左運動失調,右温痛覚障害,複視,嚥下機能障害,構音障害【小野順也】
⑧ 延髄外側梗塞
[症状] 嚥下機能障害,感覚解離,Wallenberg症候群【梅原健人】
索引
Tips
閉じ込め症候群
脳血流自動調節能
微小出血の確認
反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)
皮質網様体-網様体脊髄路
前頭葉内側面とホルモン
ゲルストマン症候群
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書籍情報
- ISBN:9784758110037
- ページ数:199頁
- 書籍発行日:2024年6月
- 電子版発売日:2024年6月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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