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- すべての臨床医が知っておきたいIBDの診かた
商品情報
内容
薬剤の種類が多い,病態が多様など悩ましいIBD.疑うべき症状から,病態・疾患活動性と結びつけた治療の考え方・実際の処方まで最新知見をふまえ解説.合併症や高齢・小児・がん患者等でおさえるべきこともわかる
序文
序
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は比較的稀な疾患と考えられてきました.しかしながら,現在,患者数は増加の一途をたどっています.2014年度末の医療受給者証および登録者証交付件数から,患者数は潰瘍性大腸炎(ulcerativecolitis:UC)では18万人以上,クローン病(Crohn’s disease:CD)では約4万人とされていました.両疾患合わせて,一時期22万人を超えたことになります.したがって,消化器内科医であれば日常診療で出会う重要な疾患の1つであり,内科医のだれもが診療する時代となってきたことを認識しないといけません.
一方,IBDの病態解明が進むにつれて,それに基づくさまざまな治療も開発されてきました.血球成分除去療法,免疫調節薬および生物学的製剤など,この10年で私たち臨床医は多くの薬物治療がIBD患者に対して行えるようになりました.
このように多くの内科治療のオプションが増えたことは,患者にとっては福音です.しかしながら,IBDの基本治療を認識したうえで,個々の患者にどの薬剤が適切であるのか,病態を考えながら治療を進めていく必要があります.
このような新規治療の開発に伴い,治療効果判定のモニタリング,特に内視鏡による粘膜評価の重要性が注目されています.以前は疾患活動性の評価には,症状の改善が指標とされていましたが,現在IBDにおけるtreat to targetは,粘膜治癒の達成とされています.また,粘膜治癒の評価には,Mayoスコアが簡易なため一般に使用されてきましたが,UCEISなどの新しい内視鏡評価方法も報告されています.いずれも主観的な要素が高く,今後はAIを用いた客観性のある評価システムの作製・開発が期待されています.内視鏡に関しては,カプセルおよびバルーン内視鏡の普及は,IBDのなかでもCDの小腸病変の精査に大きく貢献してきました.加えて,ダブルバルーン内視鏡検査,さらに高解像度の内視鏡機器の登場によりIBD診療は進歩してきました.内視鏡だけではなく,腹部エコー,MRIなどさまざまな画像診断機器はIBD患者の病態把握に,必要不可欠なモダリティとなりつつあります.
また,カルプロテクチン,便潜血などのバイオマーカーがIBD活動性評価法として注目され,これらバイオマーカーによる病勢評価も,早期再燃の検出に期待されています.私が医師になったときと比べて,本当にIBD診療は変わってきました.正直,びっくりしています.
このように,診断・治療法などが日々進歩するなかで,増え続けるIBD患者さんに対する診療のため,多くの先生方にIBDの基本診療を知っていただきたいという願いから,今回,この本の執筆をはじめました.でも,やっぱり病態を理解せねば,IBD診療は成り立たないと考え,病態の部分(特に免疫の部分)に力をいれました.
「敵を知り,己を知れば,百戦して殆あやうからず」(孫子)の心情です! そして,病態と治療法を結びつけて考えられるよう解説しました.
さて,本書を完成させるにあたって,羊土社のスタッフの皆様には大変お世話になりました.小生のわがままを,たくさん!たくさん!聞いていただき,すばらしいものが完成したと自負しています.この場をお借りしてお礼をのべさせていただきます.本当にありがとうございました.
この本が,多くのIBD患者さんの診療に役立つことを期待しています.
2023年8月
札幌医科大学医学部消化器内科学講座
仲瀬裕志
目次
・序
第1章 IBDの知っておくべき基礎知識
1)IBDとは~どのような疾患なのか?
2)歴史~いつ報告されたのか?
3)疫学~海外・日本の動向とは?
column
・Crohn先生も驚いている!?
第2章 IBDの病因・病態
1)IBD発症に関連する因子~遺伝的素因・環境因子・腸内細菌の重要性
2)免疫異常がもたらす複雑な病態~腸管上皮細胞・免疫細胞・サイトカインからIBDをみる
column
・FMT 治療はIBD にも有効?
・細菌の分類と学名についておさらいしよう
・Tfh細胞とは
・pTreg のなかにも種類がある
・IBD 治療薬によるB 細胞への影響はある?
第3章 IBDの診断
1)どのような場合にIBDを疑って診断を進めていくか?
2)診断基準と鑑別~厚生労働省診断基準
column
・IBD の情報を入手しよう
第4章 IBDにおける画像検査
1)画像検査をどのように活用するか?
2)各検査の特徴
第5章 IBDの治療
1 治療の基本
1)治療概念の変遷
2)UC治療の基本アルゴリズム
3)CD治療の基本アルゴリズム
4)専門施設へ紹介すべきタイミング
2 内科治療と副作用
1)5-ASA製剤
2)ステロイド
3)チオプリン製剤(免疫調節薬)
4)カルシニューリン阻害薬(免疫抑制薬)
5)血球成分除去療法
6)抗TNF-α抗体製剤(生物学的製剤)
7)抗IL-12/23p40抗体製剤(生物学的製剤)
8)インテグリン阻害薬(生物学的製剤)
9)JAK阻害薬(低分子化合物)
10)抗IL-23p19抗体製剤(生物学的製剤)
3 最新治療
1)GLP-2 アナログ(テデュクルチド)
2) MSC療法
4 IBDの外科治療
1)UCの外科治療
2)CDの外科治療
column
・アドヒアランス向上をめざした投与法における課題
・5-ASAのdrug delivery systemに少しふれてみよう
・新規ステロイドが使用可能に!
・TPMT活性ってなに?
・タクロリムスはmade in Japan
・CAPで治療の選択肢が広がる!
・抗TNF-α抗体製剤をどう選択する?
・S1P 受容体モジュレーター
・脂肪組織由来幹細胞は移植できる
第6章 IBDの合併症
1)知っておくべき腸管外症状
2)関節炎
3)感染症
4)血栓症
5)炎症性発がん
6)骨粗鬆症,サルコペニア
7)原発性硬化性胆管炎(PSC)
8)皮膚病変
column
・CMV感染診断は難しい?
・GDH抗原検査とは?
・CD関連直腸肛門管がん
・CD関連小腸がん
・dysplasiaの診断基準について,勉強しよう
第7章 IBDのspecial situation
1)高齢IBD患者
2)小児IBD患者の治療・管理
3)がん患者のIBD管理
4)IBD患者における妊娠
5)IBDとSARS-CoV-2感染
column
・日本IBD COVID-19患者登録コホート(J-COSMOS)の最終解析
Advanced
これからのIBD治療に向けて~OmicsパネルのIBD病態解明・治療への応用
column
・AIを用いた粘膜治癒評価
・索引
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書籍情報
- ISBN:9784758110808
- ページ数:220頁
- 書籍発行日:2023年9月
- 電子版発売日:2023年9月26日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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