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- 食品衛生学 第3版
商品情報
内容
改正食品衛生法の完全施行,そしてHACCPの実施に伴い改訂!現場で役立つ食品衛生の基礎を,わかりやすく解説!食品衛生関連の法律・制度から,食中毒の科学的な知識まで,幅広く網羅したオールカラーの1冊!
序文
第3版の序
本書は,栄養士や管理栄養士をめざす方が,食品の人への危害防止(食品の安全と衛生)に関する知識として必要不可欠な食品衛生の基礎を理解・習得するための教科書として企画・発刊された.食品衛生学は,関連法規からはじまり食品成分の変質,食中毒や食品媒介感染症とそれらの原因物質,寄生虫,添加物,残留物質,遺伝子組換え,器具容器,放射性物質,衛生管理,食品表示など,その守備範囲はきわめて広い.そのため,食品学,調理学,公衆衛生学,微生物学などの栄養士・管理栄養士が学ぶ「食べ物と健康」などの学問領域との関連項目も多い.本書では,その点を踏まえ,管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)を念頭に執筆を進めたものであるが,栄養士・管理栄養士をはじめ食品衛生の業務にかかわる現職の方々が読んでも即戦力としてその知識を役立てることができるよう作成に努めた.さて,平成30 年(2018 年)6 月13 日に「食品衛生法」などの一部を改正する法律が交付された.「食品衛生法」は飲食による健康被害の発生を防止するための法律である.前回の法改正から15 年が経過し,食を取り巻く環境の変化や国際化などに対応して食品の安全を確保するため,改正されるに至った.
2015 年の食品表示法の施行に続くこの改正により,大規模または広域に及ぶ「食中毒」への対策を強化,「HACCP(ハサップ)」または「HACCP に沿った衛生管理」の制度化(義務化),特定の食品による「健康被害情報の届出」の義務化,「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入,「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設,食品などの「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化するなど,多くの制度が新たに確立された.わが国における食品媒介感染症の発生状況をみると,新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,全国的に事件数および患者数は一時的に減少したが,近年の事件数や患者数に大きな変動は見受けられない.原因物質としてはノロウイルスやカンピロバクターによる事件数および患者数における割合は依然として多いが,アニサキスを原因物質とする事件数が最も多くなっており,近年の発生状況は変わりつつある.
食品衛生学はこれらの時代背景や社会情勢などに機敏に対応しなければならない生きた学問である.そのため,第3 版の企画・編集にあたっては,これまでの版と同様,基本的な事項とともに一定の専門性と新たな知見を重視し,専門分野をつかさどり第一線で活躍する研究者に文筆いただいた.本書については,管理栄養士国家試験を受験する学生だけでなく,食品衛生監視員,食品衛生管理者の任用資格取得をめざす方,さらには現場で働く皆様にも活用していただければ幸いである.
最後に,本書の企画・編集・出版に際して,羊土社編集部の蕪木史弦氏ならびに田頭みなみ氏にはたいへんお世話になり,この場を借りて厚く御礼申し上げる.
2024年1月
執筆者代表
田﨑 達明
目次
第1章 食品衛生と法規【田﨑達明】
1.食品衛生の概要
A 食品に起因する危害
B 食品衛生の定義
C 国際社会とのかかわり
2.わが国の法規
A 法規の成り立ち
B 食と法規
3.食品の安全性の確保
A 安全性確保のための行政方針
B 食品衛生基準行政の機能強化
C リスク分析(リスクアナリシス)
4.食品安全基本法と食品衛生法
A 食品安全基本法
B 食品衛生法
5.食品衛生に直接関連する法規
A 食品表示法
B 健康増進法
6.食品衛生に間接的に関連する法規
A 医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律
B と畜場法
C 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律
D 地域保健法
7.日本の食品衛生行政組織
A 食品安全委員会の構成と役割
B 厚生労働省など
C 地方自治体
D 食品衛生監視員などの人的制度
8.食品衛生にかかわる国際的組織およびその委員会
A 世界保健機関(WHO)
B 国際食糧農業機関(FAO)
C Codex委員会(CAC)
D その他の会議・委員会など
E 食品などにかかわるその他の国際機関
[食品衛生Case Study]食品と添加物,およびそれらを規定する法律
第2章 食品と微生物【平井昭彦】
1.微生物とは
A 微生物の概要
B 微生物の分類
C 細菌の構造
2.微生物の食品への関与
A 食品に有害な微生物
B 食品に有用な微生物
3.微生物の制御
A 細菌の増殖条件
B 微生物制御の基本
C 滅菌・消毒方法
[食品衛生Case Study]牛乳と微生物
第3章 食品の変質【井部明広(1~7),豊福 肇(1~5,7),登田美桜(6)】
1. 食品の変質とは
A 変質の定義
B 腐敗,発酵,酸化,酸敗,変敗
2.微生物による変質
A 変質にかかわる微生物
B 微生物による成分変化
3.鮮度,腐敗度の判定法
A 官能検査
B 生菌数
C 揮発性塩基窒素(VBN)
D Κ値(Κ value)
4.化学的変質
A 自己融解・自己消化
B 酵素的褐変
C 非酵素的褐変
D 油脂の酸敗
5.酸敗の判定法
A 酸価(AV)
B 過酸化物価(POV)
C 判定法の利用
6.食品の加工中に生じる有害物質
A トランス脂肪酸(トランス型不飽和脂肪酸)
B アクリルアミド
C カルバミン酸エチル
D グリシドール脂肪酸エステル
E クロロプロパノール類
F 多環芳香族炭化水素
G ヘテロサイクリックアミン
H N-ニトロソアミン
7.食品の変質防止方法
A 微生物による変質の防止
B 化学・物理的反応による変質の防止
[食品衛生Case Study]ポテトチップスからクレヨン臭
第4章 食中毒【平井昭彦】
1.食中毒とは
A 食中毒の定義
B 細菌性食中毒
C ウイルス性食中毒
D 寄生虫
E 化学物質
F 自然毒
G 食中毒予防の三原則
2.食中毒の発生状況
A 年次別食中毒発生状況
B 月別食中毒発生状況
C 病因物質別食中毒発生状況
D 病因物質別1事件あたりの患者数
E 原因施設別食中毒発生状況
F 原因食品別食中毒事件数
3.細菌性感染型食中毒
A サルモネラ属菌
B 腸炎ビブリオ
C 病原性大腸菌
D ウエルシュ菌
E エルシニア属菌
F セレウス菌(下痢型)
G カンピロバクター
H ナグビブリオ,病原ビブリオ,エロモナス,プレジオモナス
I 三類感染症起因菌(コレラ菌,赤痢菌,チフス菌,パラチフスA菌)
J リステリア・モノサイトゲネス
4.細菌性毒素型食中毒
A ぶどう球菌
B ボツリヌス菌
C セレウス菌(嘔吐型)
5.ウイルス性食中毒
A ノロウイルス
B サポウイルス
C ロタウイルス
D A型肝炎ウイルス
E E型肝炎ウイルス
6.食品と寄生虫疾患
7.魚介類から感染する寄生虫
A アニサキス
B クドア属粘液胞子虫
C 顎口虫
D 旋尾線虫
E 肺吸虫
F 肝吸虫
G 横川吸虫
H 裂頭条虫
8.肉類から感染する寄生虫
A トキソプラズマ
B サルコシスティス・フェアリー
C 犬回虫
D トリヒナ(旋毛虫)
E アジア条虫
F 無鉤条虫
G 有鉤条虫
H マンソン孤虫
9.野菜・水から感染する寄生虫
A クリプトスポリジウム
B ジアルジア
C サイクロスポーラ
D ヒト回虫
E 鞭虫
F 鉤虫
G 肝蛭
H エキノコックス
10.人獣共通感染症(人畜共通感染症)
A 概要
B 牛海綿状脳症(BSE)
11.化学物質による食中毒
A ヒスタミン
B 有害元素(水銀,カドミウム,ヒ素,PCB,鉛,スズ)
C 農薬
12.動物性自然毒
A フグ毒
B シガテラ毒
C 麻痺性貝毒
D 下痢性貝毒
E その他の動物性自然毒
13.植物・真菌性自然毒
A アルカロイド配糖体
B 青酸配糖体
C アルカロイド含有植物
D プロスタグランジンE2
E キノコ毒
14.食中毒の原因調査および統計的手法
A 食中毒の原因調査
B 統計的手法
[食品衛生Case Study]浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒からの教訓
第5章 食品中の汚染物質【笹本剛生】
1.カビ毒(マイコトキシン)
A カビ毒とは
B カビ毒の種類と汚染食品
2.化学物質
A 残留性有機汚染物質(POPs)
B 内分泌かく乱物質
3.有害元素
A ヒ素(As)
B カドミウム(Cd)
C 水銀(Hg)
D 鉛(Pb)
E スズ(Sn)
4.放射性物質
A 放射線の種類と単位
B 放射線の人体への影響
C 放射性物質による食品汚染
D 食品の放射能測定
5.異物混入
A 異物混入の概要
B 動物性異物
C 植物性異物
D 鉱物性異物
E フードディフェンス
6.アレルゲン
[食品衛生Case Study]有害化学物質と食生活
第6章 食品添加物および残留農薬など【高野伊知郎】
1.食品添加物とは
A 食品添加物の概念と定義
B 食品添加物の指定基準
C 成分規格と使用基準
2.食品添加物の安全性評価
A 安全性の考え方と評価の方法
B 食品添加物の1日摂取量調査
3.食品衛生法による食品添加物の分類
A 分類
B 種類と用途
C 各添加物の概要
D 防カビ剤の分類
E 使用を許可されていない食品添加物
4.農薬,動物用医薬品の種類と用途
A 農薬の種類と用途
B 動物用医薬品の種類と用途
C 飼料添加物の種類と用途
5.ポジティブリスト制度
6.器具および容器包装について
A 概要と定義
B 素材の特徴,用途および規格
C 廃棄とリサイクル
D 食品の包装技術
7.遺伝子組換え食品とゲノム編集食品
A 遺伝子組換え食品とは
B 遺伝子組換え食品および添加物の安全性
C 輸入食品における分別生産管理(IPハンドリング)
D ゲノム編集食品
[食品衛生Case Study]酸性飲料による金属容器の成分溶出に伴う中毒
第7章 食品衛生管理【豊福 肇,田﨑達明】
1.食品衛生管理の重要性
2.食品工場などにおける一般衛生管理とHACCP
A 一般衛生管理の概要
B HACCPシステムの概要
C 適正衛生規範(GHP)とHACCPとのかかわり
3.HACCP 7原則の適用と実施
A 対象とするハザード
B HACCP 7原則適用の準備段階
C HACCP 7原則
4.適正農業規範,適正製造規範とHACCPとのかかわり
A GAPの定義
B GAPとHACCP
C GMPとHACCP
5.日本におけるHACCPの普及推進
6.集団給食施設などにおける衛生管理
A 対象
B 調理過程における重要管理事項
C HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書
7.国際標準化機構(ISO)
A ISO
B ISO 9000シリーズ
C ISO 22000
D GFSI
[食品衛生Case Study]食品製造・加工における食中毒事件発生例
第8章 食品表示制度【栗田滋通】
1.食品表示法の概要
A 食品表示がもつ役割と機能
B 食品表示に関連する主な法律
C 食品表示法の目的と基本理念
D 食品表示基準と遵守
E 不適正な表示に対する措置
F 消費者の権利と自立支援
G 罰則(第17~23条)
2.衛生事項および品質事項に関する食品表示基準
A 食品表示基準の概要
B 食品表示の方法
C 一般用加工食品表示事項の概要
3.保健事項に関する食品表示基準
A 栄養成分の量および熱量
B 栄養成分などの表示方法
4.保健機能食品(任意表示)
A 特定保健用食品(通称:トクホ)
B 栄養機能食品
C 機能性表示食品
[食品衛生Case Study]ビタミンAの過剰摂取による健康被害
付録 関連法規および基準
付録1:食品安全基本法(抜粋)
付録2:食品衛生法(抜粋)
付録3:食品表示法(抜粋)
付録4:食品の規格基準(抜粋)
付録5:食品添加物の規格基準
付録6:Codex委員会が定める食品衛生の一般原則
付録7:大量調理施設衛生管理マニュアル(抜粋)
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書籍情報
- ISBN:9784758113724
- ページ数:288頁
- 書籍発行日:2024年2月
- 電子版発売日:2024年3月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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