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- PT・OTビジュアルテキスト専門基礎 生理学
商品情報
内容
PT・OTに必要な生理学の基礎から,理学療法につながるメカノバイオロジーとメカノセラピーまで丁寧に解説.全身の機能を多彩な図で視覚的に学習でき,国試に基づいた章末の練習問題で,知識の定着を確認できる!
序文
序
私たちは日々,生きてゆくためにからだのさまざまな機能を働かせている.寝ているときでも,からだを構成している部品である細胞は働くことをやめず,絶えずエネルギーを使って活動を続けている.からだが生存していくために働かせている機能について学ぶのが生理学である.自動車が動くためのエンジンやトランスミッションのしくみについて知らなくても,自動車を運転することはできる(自動運転ならなおさら簡単だ).同じようにからだを働かせている機能について,そのしくみを知らなくても生きてゆくことはできる.しかし,いざ,自動車が動かなくなってしまったときに,そのしくみを知らないとちゃんとした修理をすることはできないように,からだのしくみを理解できていないと,からだの故障(病気やけがなど)が起こったときにしっかり治すことはできない.生理学とは私たちが生きてゆくためのからだのしくみを理解しようとする学問,知恵といえる.
生理学は,よく解剖学と比較される.それは,どちらも人体を理解するうえで最も基本となる学問であり,解剖学がからだの構造を中心に学ぶのに対して,生理学は機能を中心に学び,お互いを補完しているからである.例えば,自転車が置かれていて,ハンドル,ペダル,サドルの名前が言えても,実際に動かしてみないと自転車の役目を理解することはできない.臓器が特定の形をもっているのは,特定の機能を果たすためであり,形の違いが生み出している機能を学ぶのが生理学といえる.さらに私たちのからだは,内部と外部の環境変化に対応して,からだの各臓器の働きを調整して,いつも同じように動けるようにからだを維持している.生理学では,このようなからだを調整するしくみを理解することもとても重要である.
生理学は適切な理学・作業療法を行ううえでのきわめて基礎的な情報を提供している.しかし,その広範な領域や複雑な生命現象に圧倒されて,学生にとって難解でとっつきにくい学問に感じるかもしれない.そこで本書ではできるだけわかりやすい表現とイラストを用いて,人体の巧妙さ,不思議さを楽しんで,全体として人体の生理機能が理解できるように心がけた.さらに理学・作業療法士国家試験に必要な知識も得られるように配慮した.理学・作業療法士をめざす学生向けに編集しているが,広く医療系の学生も活用できる内容になっている.本書で生理学を学ぶ楽しさの一端に触れていただければ,筆者一同,望外の幸せである.
2024年11月
南沢 享
目次
第1章 からだの働きのしくみを学ぼう(総論)【南沢 享】
1 はじめに
2 人体の階層構造―細胞,組織,器官,器官系
1)細胞 2)組織 3)器官(臓器) 4)器官系
3 細胞の構造と機能
1)細胞膜 2)核 3)細胞小器官
4 膜輸送とシグナル伝達系
1)細胞内外の物質や情報のやりとり 2)チャネル 3)輸送体(担体) 4)ポンプ 5)受容体
5 恒常性
1)ネガティブフィードバック 2)発達・成長・老化など時間変化
6 生理学の理解に必要な化学や物理学の基礎知識
1)細胞を構成する物質 2)同位体 3)pH(水素イオン指数) 4)タンパク質の構造と性質 5)酵素による化学反応の促進 6)物質移動の原則 7)代謝とエネルギー 8)酸化還元反応 9)サーファクタント(界面活性剤)
第2章 からだを活動させる電気的な興奮(神経細胞,筋細胞,感覚受容細胞)【南沢 享】
1 興奮性細胞とは何か
2 静止膜電位の発生のしくみ
3 活動電位の発生のしくみ
4 受容器電位
5 興奮の伝導と伝達
1)興奮の伝導 2)興奮の伝達
第3章 からだが感じる(感覚)【志牟田 美佐】
1 物理的・化学的刺激を感じるしくみ
2 感覚の分類
1)体性感覚(表在感覚,深部感覚) 2)内臓感覚(臓器感覚,内臓痛) 3)特殊感覚(視覚,聴覚,平衡感覚,味覚,嗅覚)
第4章 からだを動かす・支える(筋肉・骨・関節)【谷端 淳】
1 筋肉の種類と働き
1)骨格筋 2)心筋 3)平滑筋
2 骨格筋の構造
1)収縮装置としての骨格筋 2)ミオシンフィラメントとアクチンフィラメント(筋原線維)の構造
3 筋収縮の分子機構
1)筋収縮のしくみ(クロスブリッジサイクル) 2)筋弛緩のしくみ
4 筋肉への情報伝達
1)運動ニューロンによる筋線維支配 2)運動ニューロンから筋線維への興奮(筋収縮情報)の伝達 3)筋線維の興奮から収縮まで(興奮収縮連関)
5 骨格筋収縮の種類と特性
1)骨格筋収縮の種類 2)力発生の調節 3)等尺性収縮と等張性収縮 4)骨格筋の長さ―張力関係
6 骨格筋を構成する筋線維の種類と代謝特性
1)筋線維の種類 2)筋へのエネルギー補充
7 骨格筋の肥大・萎縮に関与する分子制御機構
1)骨格筋の肥大・萎縮 2)骨格筋再生にかかわる細胞
8 不随意筋の収縮の特徴
1)心筋の収縮 2)心筋収縮の特徴 3)心筋の収縮性 4)平滑筋の収縮
9 骨の働きと形成
1)骨の働き 2)骨の分類 3)骨の構造 4)骨の細胞とその役割 5)骨代謝 6)骨とカルシウム代謝
10 関節の構造と動き
1)関節の構造 2)関節運動の障害 3)不動関節
第5章 からだの中の情報を伝える(神経細胞・自律神経以外の末梢神経)【志牟田 美佐】
1 神経系の構成
2 末梢神経系の機能的分類
3 神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア細胞)
1)神経細胞(ニューロン)の形態 2)神経膠細胞(グリア細胞) 3)神経線維の分類
4 脊髄神経と脳神経
1)脊髄神経 2)脊髄神経の走行 3)脳神経 4)脳神経の線維の構成
第6章 からだとこころの司令塔(中枢神経系)【志牟田 美佐】
1 髄膜
2 髄液
3 血液脳関門
4 脳循環
5 脳と脊髄の構造
1)脊髄の構造と機能 2)脳幹(中脳,橋,延髄)の構造と機能 3)小脳の構造と機能 4)間脳(視床,視床上部,視床下部)の構造と機能 5)大脳の構造と機能
第7章 からだのバランスを保つ(自律神経系)【志牟田 美佐】
1 ニューロンの交代
2 拮抗的二重支配
1)自律神経による生体機能の調節 2)自律神経の神経伝達物質と受容体 3)交感神経系の構造 4)副交感神経系の構造
3 不随意的(自律的)支配
4 緊張性支配
第8章 からだに酸素を取り込む(呼吸器)【谷端 淳】
1 呼吸のしくみ
1)呼吸の概要 2)吸気・呼気・血液のガス分圧 3)肺におけるガス交換 4)呼吸ガスの運搬
2 呼吸に必要な器官の構造と機能
1)気道 2)吸気時と嚥下時の上気道の動き 3)気道の機能 4)下気道の名称と分岐 5)気管支の構造 6)肺胞の構造
3 肺気量分画と気流速度
1)肺気量分画 2)気流速度
4 呼吸運動のしくみ
1)胸郭 2)呼吸筋 3)呼吸運動
5 肺循環
1)肺の血流と血圧 2)換気血流比不均等の調節
6 呼吸の調節機能
1)呼吸の中枢 2)化学受容器 3)肺の伸展受容器 4)呼吸運動は酸塩基平衡を調節する 5)呼吸運動の異常
7 呼吸の病態生理
1)換気障害 2)呼吸不全
第9章 からだ中に血液をめぐらせる(循環器)【谷端 淳】
1 循環器系の役割
1)循環器系の構成 2)血管の構造と機能 3)心臓の構造
2 心臓のポンプ作用と心周期
1)血流量 2)血圧 3)心臓にかかる負荷 4)フランク・スターリングの法則 5)静脈還流量 6)中心静脈圧 7)心臓の収縮力とカルシウムイオン 8)心周期 9)心音
3 心臓の電気的興奮
1)固有心筋細胞の興奮と収縮 2)活動電位の発生と心臓の収縮 3)心臓の自動性と歩調とり 4)興奮の伝搬 5)心筋の収縮リズム(心拍数)の変化と潜在的歩調とり 6)心電図
4 心臓の循環(冠循環)
1)冠状血管系 2)冠状循環 3)心臓の機能不全
5 各臓器における循環の特性
1)脳循環 2)内臓循環 3)肺循環 4)骨格筋循環
第10章 からだ中をめぐって,からだを守る(血液)【谷端 淳】
1 血液の組成と機能
1)血漿 2)細胞成分
2 造血のしくみ
1)骨髄における造血 2)造血幹細胞から血球への分化 3)赤血球の新生 4)造血幹細胞の増殖・分化にかかわるサイトカイン
3 赤血球
1)赤血球の役割 2)ヘモグロビンの構造と機能 3)酸素解離曲線 4)赤血球の破壊 5)血液型
4 白血球
1)白血球の役割 2)顆粒球 3)リンパ球 4)単球
5 血小板
1)血小板の役割 2)止血のメカニズム
6 血液凝固と線維素溶解
1)血餅・血清 2)血液凝固 3)線維素溶解(線溶)
第11章 からだの液体成分を調節する(泌尿器)【南沢 享】
1 体液
1)体液の区分 2)からだの水分の出入り 3)浸透圧とは 4)血漿浸透圧とその調節 5)血漿膠質浸透圧とは
2 腎臓の機能と構造
1)腎臓の機能的特徴 2)腎臓の解剖学的特徴 3)腎小体(糸球体とボーマン嚢)の機能 4)尿細管と集合管の機能 5)腎盂(腎盤),尿管の機能
3 水や電解質の分泌と再吸収
1)水の再吸収 2)Na+,Cl-の再吸収 3)K+の再吸収と分泌 4)Ca2+とリン酸(PO43-)の再吸収
4 栄養素の再吸収
1)グルコースの再吸収 2)アミノ酸の再吸収
5 老廃物の排出
6 酸塩基平衡
1)体液のpH維持 2)HCO3-の再吸収 3)H+の分泌
7 腎臓の機能評価
8 腎臓の内分泌機能
1)レニン 2)エリスロポエチン(EPO) 3)活性型ビタミンD3
9 排尿
1)尿の性状 2)蓄尿・排尿の神経調節
第12章 もうひとりのからだをつくる(生殖器)【南沢 享】
1 性の分化
1)生殖腺の性分化 2)減数分裂
2 男性生殖器
1)男性生殖器の構造と機能 2)精子形成
3 女性生殖器
1)女性生殖器の構造と機能 2)性周期 3)卵子形成
4 妊娠・分娩
1)受精 2)妊娠 3)胎盤の形成と機能 4)分娩 5)乳汁の産生と分泌
5 発生・発達・成長・加齢・老化
1)受精卵から胎児,新生児への変化 2)成長と発達 3)加齢と老化
第13章 からだの働きを調節する(内分泌器)【南沢 享】
1 内分泌とホルモン
1)内分泌と外分泌 2)ホルモンの特徴 3)ホルモンの構造と受容体 4)ホルモンの分泌調節
2 視床下部ホルモン
1)副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH) 2)甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH) 3)成長ホルモン放出ホルモン(GHRH) 4)性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) 5)成長ホルモン抑制ホルモン(GHIH),ソマトスタチン 6)プロラクチン抑制ホルモン(PIH),ドパミン 7)プロラクチン放出ホルモン(PRH)
3 下垂体ホルモン
1)下垂体前葉ホルモン 2)下垂体後葉ホルモン
4 甲状腺ホルモンとカルシトニン
1)甲状腺ホルモン 2)カルシトニン
5 副甲状腺ホルモン
6 副腎皮質ホルモン
1)副腎皮質
7 副腎髄質ホルモン
8 性ホルモン
9 ホルモンによるグルコースの調節
10 ホルモンによるカルシウムの調節
第14章 からだにエネルギーを取り込み,代謝する(消化器)【谷端 淳】
1 消化と吸収のしくみ
1)消化器系の構成 2)食物の消化 3)食物の吸収 4)消化管の運動
2 消化管の構造と機能
1)口腔と食道の働き 2)胃の働き 3)十二指腸の働き 4)空腸・回腸の働き 5)大腸の働き
3 消化管に付属する器官の構造と機能
1)膵臓の働き 2)肝臓の働き 3)胆嚢・胆汁の働き
4 栄養素の種類と役割
1)栄養素が必要な理由 2)活動エネルギーとなる三大栄養素 3)ビタミン,ミネラルの働き 4)炭水化物の消化と吸収 5)タンパク質の消化と吸収 6)脂質の代謝 7)エネルギーの変換とATP産生
第15章 からだの熱を保つ(体温)【谷端 淳】
1 体温とは
1)核心温度と外殻温度 2)体温の測定法 3)体温の生理的変動
2 熱の出納
1)熱産生 2)熱放散
3 体温の調節
1)温度受容器 2)体温調節中枢
4 発熱
5 高体温と低体温
1)高体温(うつ熱) 2)熱中症 3)低体温
第16章 メカノバイオロジーとメカノセラピー【南沢 享】
1 細胞力覚
1)メカノセンサー 2)機械受容チャネル 3)接着関連タンパク質 4)アクチン細胞骨格系
2 骨格筋のメカノバイオロジー
1)重力の影響 2)骨格筋のメカノセンサー 3)筋紡錘
3 骨と連結組織のメカノバイオロジー
1)骨への機械的刺激の影響 2)骨のメカノセンサー 3)関節や腱・靭帯への機械的刺激の影響
4 皮膚のメカノバイオロジー
5 メカノセラピー
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書籍情報
- ISBN:9784758114400
- ページ数:335頁
- 書籍発行日:2024年12月
- 電子版発売日:2024年12月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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