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レジデントノート増刊 Vol.23 No.17 あらゆる場面のClinical Prediction Ruleを使いこなす 〜診断・治療方針が決まる、予後を予測できる!

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2022年1月
  • 電子版発売日 : 2022年1月21日
5,170
(税込)
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商品情報

内容

症状・徴候・検査などを点数化し結果を診断や治療方針の決定,予後の予測に活用するClinical Prediction Ruleを100以上掲載,作成背景から適切な活用法まで解説!日常診療の効率アップ!

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
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序文


「診断はどれくらい正しいか?」,「この患者の予後はどれくらいか?」,「CTを撮った方がいいのか?」,「手術に耐えることができるのか?」…これらの問題は日々診療を行っていくうえで生じる問題であり,われわれは日々これらを予想し,見当をつけて対応しています.このような問題に正確に答えることができれば,質の高い,費用対効果の高い診療を行うことが可能となります.従来われわれは,こういった予想を個人的経験をもとに行ってきました.しかし,個人的な経験だけでは時に誤診につながることがあります.人は新しく,珍しく,興味深いことに惹かれがちで,一貫して,体系的に,バイアスなく客観的に診続けることは苦手になりやすいです.1 つの「悪い転帰」を迎えた例外的な経験にその後の診療が影響を受けがちであり,逆に新しい薬で治療がうまくいったときには,その「よい転帰」により,他の患者にも同薬剤を使用しがちです.個人的な経験は限られていますし,それだけでは「道」に迷ってしまいかねません.経験が浅いと「道」に迷ってしまう深い臨床の森のなかで,迷わないような光を与えてくれ,ガイドになってくれるのが集団的経験であり,先人の叡知です.その先人の叡智を具現化したものの1 つがclinical prediction rule(CPR)です.

論語のなかに「温故知新」という言葉があります.訓読みで「故ふるきを温たずねて新あたらしきを知しる」と読み,「昔の出来事を明らかにして未来のことを予測する」という意味です.ヒポクラテスから連綿と続く医学の発展は,まさに先人の叡智をもとにした「温故知新」で発展を遂げてきました.ここで取り上げるclinical prediction rule は,「温故知新」でいう先人の叡智の1 つであります.われわれが医学のなかで判断していく際に,clinical prediction rule は非常に有用な「道しるべ」となります.

clinical prediction rule の使用によって,診断の正確性を上げることができ,無駄な検査を減らすことができ,効率的に診療を行うことが可能となります.私自身が研修医のときに,clinical prediction rule を使用して,無駄なく効率よく診断して治療を行う救急医の姿がcool にうつり,あこがれの対象でもありました.

ただしclinical prediction rule は有用な反面,使い方を誤るとかえって正しい判断ができなくなり,患者の安全を脅かすことにもなりかねません.目の前の患者と異なった対象から生まれたclinical prediction rule は,その患者に適用できないかもしれません.そこで本号では,clinical prediction rule を正しく使用できるよう,背景となる論文をとりあげて,およそ100 のclinical prediction rule を適用するシチュエーションとともに紹介しています.

clinical prediction rule の長所,短所を押さえて使用していけば「鬼に金棒」,非常に有用な武器となります.例えるならば,われわれは「鬼」として「病気」を倒していきます.「金棒の正しい使い方」,つまりclinical prediction rule を「金棒」とするのならば,その正しい使い方を押さえていけば,「鬼に金棒」として「病気」を倒しやすくなります.しかし,正しい使い方を知らないとかえって「金棒」に体が振り回されてしまいます.個人的経験値の低い医療者,つまり「弱い鬼」であっても「強固な金棒」を武器として正しく使うことができれば,強い敵とも戦いやすくなります.個人的経験を積んで,診断の事前確率も上げられるようになり,「強い鬼」となればまさに「鬼に金棒」,敵はいなくなるかもしれません.

本号では疾患別および救急外来,一般外来,集中治療,一般病棟での多数の疾患,さまざまなシチュエーションで使用できるclinical prediction rule を多数紹介しています.それぞれの疾患に出会ったとき,clinical prediction rule を正しく使用して,診療の意思決定をしていくことの一助になればと願います.


2021年12月

編者を代表して
聖マリアンナ医科大学病院救命救急センター
森川大樹

目次

序【森川大樹】

Color Atlas

執筆者一覧

第1章 CPRを使ううえでの注意点

1.CPRとは? CPR論文のつくり方【森川大樹】

2.CPR論文の読み方と使い方【高田俊彦】

第2章 臓器・診療科ごとのCPR

① 神経・脳外科疾患

1.脳卒中【藤井修一】

2.くも膜下出血(SAH)【藤井修一】

3.脳梗塞【伊佐早健司】

② 循環器・心臓血管外科疾患

1 急性冠症候群(ACS)【小島俊輔】

2.肺塞栓【飯尾純一郎】

3.心房細動【黄 世捷,中島育太郎】

4.心不全【平松由布季】

5.心臓血管外科【鍋島正慶】

③ 呼吸器疾患

1.肺炎【濵田 治】

2.喀血【山田万里央】

④ 消化器疾患

1.上部消化管出血のトリアージ【吉岡 翼】

2.虫垂炎の診断【藤岡健人】

3.急性膵炎の重症度予測【高崎哲郎】

4.肝硬変の予後・肝移植【佐々木昭典】

⑤ 腎臓・泌尿器

1.尿管結石【遠藤慶太】

⑥ 感染症

1.壊死性軟部組織感染症【堀内正夫】

第3章 シチュエーションごとのCPR

① 救急外来

1.外傷① 外傷重症度評価【小原隼斗,舩越 拓】

2.外傷②:軽症頭部外傷への頭部CT適応【大槻拓矢,森川大樹】

3.外傷③:軽症鈍的外傷への頸部画像撮影適用【田邊翔太】

4.外傷④:外傷に対する大量輸血【田邊翔太】

5.外傷⑤:膝外傷Ottawa膝外傷ルール,Pittsburgh knee rules【水野晴貴】

6.外傷⑥:足外傷Ottawa足外傷ルール【水野晴貴】

7.院外心停止【北野夕佳】

8.出血性ショック【宮㟢岳大】

9.失神【松尾裕一郎】

10.めまい【森田智也】

11.Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死融解症【井桁龍平】

12.自殺企図のリスク【有吉 慧,石上雄一郎】

② 一般外来

1.咽頭炎【横山和久】

③ ICU

1.敗血症【島田侑祐,片岡 惇】

2.心停止蘇生後の神経学的予後評価【三反田拓志】

3.挿管困難 ~MACOCHA score【森田智也】

④ 病棟

1.アルコール依存症・アルコール離脱症状【橘 茉莉花,家 研也】

⑤ 小児診療

1.低月齢発熱【加久翔太朗,清水直樹】

2.小児の呼吸障害【杉浦健太】

3.小児頭部外傷への CT撮影適用【野澤正寛】

4.虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)のCPR【栗原八千代,清水直樹】

⑥ 高齢者診療

1.認知症【山田悠史】

2.高齢者の再入院率・死亡率【光本貴一,玉井杏奈】

3.予後①:高齢者の予後~ePrognosis【玉井杏奈】

4.予後②:癌患者の予後~PaPスコア,PPI【玉井杏奈】

5.予後③:目の前の患者が心停止したときの予後【吉野かえで】

6.予後④:心不全患者の予後【吉野かえで】

7.予後⑤:COPD患者の予後【吉野かえで】


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書籍情報

  • ISBN:9784758116756
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2022年1月
  • 電子版発売日:2022年1月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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