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序文
はじめに
4年前だったか。ある学会(神経科学会だと思う)で疲れたので座りヒマそうにしていたら、知り合いの出版社の編集者に声をかけられた。教育のことなど世間話をしていたなかで、「最近、神経科学のことをざっと知るための入門書がないかなあと言う声を、学生さん達からよく聞くんですよねー(ちら)」みたいな感じで振られた。その場では「一人で書くのはなあ」とか返事をしたのだが、当時は京都大学やコロンビア大学で解剖や神経解剖の教育のお手伝いをしていて、学生さん達とのつきあいもあり、わかりやすく神経科学のおもしろさを伝えられるような方法がないかなあと感じていた。カンデルの本とか、スタンフォードの本とか、少し古いけどベアーの本とか、学部生向けの“ ちゃんとした” 神経科学の本は沢山あるけれど、どれもかなり厚くて読み切ろうと思うと心が折れる。病気に関係することについては『病みえ』のような(陰の?)名著もあるけれど、必ずしも病気に関わらない人達が神経科学の全体像をざっと捉えるのに適した入門書ではない。ちょうど同じ頃、大学院で医学部卒以外の方に医学を教えるようなことにも関与し、さらに中高生向けに『脳科学オリンピック』のお手伝いをするような機会もあり、「それじゃあやってみるか」と、エライ先生達に非難されるのは承知の上で、持ち前の図々しさで執筆を引き受けることにした。
この本はChapter 0 〜8 の9 章からなり、ヒトの脳を様々な角度からざっと説明することを目指しているが、細かいことはかなりはしょってある。どちらかというと、原則とか原理とかそういったことを意識しながらまとめてみた。対象は医学、生物学、あるいは心理学の側面から神経科学に興味がある学部生、大学院生。さらに情報科学、工学への応用のため神経系の情報処理のメカニズムに興味のある人。神経科学でハードルが高い解剖のところはChapter 5 と6 の2 章にわけて書いてある。特にChapter 6 は自分なりに凝ってまとめてある。解剖は名前とつながりがネックになるのだけど、進化や発生から考えてみるとわかりやすくなるという信念(妄想といってもいいかもしれない)のもと、そういった知識が情報処理の原理の理解につながらないかという感じで書いてある。この意図が成功してるかどうかは読者の方々の判断に任せる。
最後に、図も含めて編集に根気よくたずさわってくれた知り合いの出版社の編集者=羊土社の間馬さん、原稿を読んでくれ励ましてくれた京都大学医学部の学生さん達に感謝したい。
2020年8月
櫻井 武
目次
はじめに
Chapter0 予備知識
0 - 1 神経系とは
0 - 2 脳神経科学とは
0 - 3 脳神経科学の全体像をざっとつかむために
0 - 4 中枢神経系と末梢神経系
0 - 5 体性神経系と自律神経系
0 - 6 脳
0 - 7 脊髄
0 - 8 言葉の使い方
Chapter1 細胞生物学・生化学
1 - 1 神経系をつくる細胞
1 - 2 ニューロン(神経細胞)
1 - 3 グリア細胞
1 - 4 伝導と伝達
1 - 5 ミエリン鞘
1 - 6 シナプス
1 - 7 細胞内小器官
1 - 8 発現調節
1 - 9 脳をつくる化学物質
1 - 10 脳の代謝
1 - 11 血液脳関門(BBB)とトランスポーター
Chapter2 神経生理学
2 - 1 ニューロンと電気信号
2 - 2 興奮性膜とチャネル
2 - 3 活動電位の伝導
2 - 4 シナプス伝達
2 - 5 シナプス後電位
2 - 6 神経調節とレセプター
2 - 7 シナプス可塑性
2 - 8 臨界期
2 - 9 筋収縮
2-9-1 骨格筋の場合
2-9-2 平滑筋の場合
2 - 10 感覚受容
2 - 11 感覚情報の処理
Chapter3 神経発生学
3 - 1 中枢神経系の発生
3-1-1 胚の中に神経系になる領域(外胚葉)ができる
3-1-2 まず管(神経管)ができる
3-1-3 くり返し構造ができる(A-Pパターン形成)
3-1-4 背側と腹側で違いができてくる(D-Vパターン形成)
3-1-5 脳室形成
3-1-6 flexture形成
3 - 2 細胞の増殖・分化・移送
3-2-1 幹細胞からニューロン・グリア細胞が分化する
3-2-2 ニューロン・グリア細胞は働くべき場所に向かう
3-2-3 層形成
3 - 3 ニューロンどうしのつながり
3-3-1 軸索伸長
3-3-2 軸索ガイダンス
3-3-3 標的認識
3-3-4 シナプス形成
3-3-5 使われるシナプスは大きくなり、使われないシナプスは除去される(活動依存性シナプス成熟・シナプス除去)
3-3-6 局所回路形成
3 - 4 神経新生
3 - 5 神経変性と再生
Chapter4 神経組織学
4 - 1 皮質構造・核構造
4 - 2 経路/髄質
4 - 3 白質/灰白質
4 - 4 入力、出力、受容器、効果器
4 - 5 神経節
4 - 6 ミエリン鞘
4 - 7 ノード、パラノード、インターノード
4 - 8 シナプス、神経筋接合部(NMJ)
Chapter5 神経解剖学
5 - 1 末梢神経系の分類
5 - 2 脊髄神経
5-2-1 デルマトームとマイオトーム
5-2-2 脊髄神経の基本型
5-2-3 脊髄神経の情報の流れ
5 - 3 自律神経系
5-3-1 自律神経系の基本
5-3-2 腸管神経系という概念について
5 - 4 脊髄神経の分類
5 - 5 脳神経の分類
5 - 6 末梢神経系の発生
5-6-1 神経堤細胞由来の構造
5-6-2 プラコード由来の構造
5-6-3 脊髄神経(体節由来の構造を支配する)について
5-6-4 脳神経(体節由来の構造を支配する)について
5-6-5 脳神経(鰓弓由来の構造を支配する)について
5-6-6 頭部の自律神経系について
5-6-7 頭蓋内の知覚について
5 - 7 中枢神経系
5-7-1 外表構造
5-7-2 内部構造
5-7-3 血管支配
5-7-4 脳の神経核と経路
5-7-5 脊髄を通り上がる/降りる経路
5-7-6 交叉経路と非交叉経路
Chapter6 中枢神経系の情報処理と機能
6 - 1 基本ルールを理解しよう
6 - 2 入力-情報処理-出力のセットで考えてみよう
6-2-1 まず反射系
6-2-2 視覚、聴覚、体性感覚について
6-2-3 味覚について
6-2-4 嗅覚は視床を介さない
6-2-5 小脳について
6-2-6 視床下部
6-2-7 脳幹網様体
6 - 3 神経調節系を考えよう
6 - 4 大脳(終脳)の基本ルールをみてみよう
6-4-1 大脳の基本型と入出力
6-4-2 大脳皮質での情報処理
6-4-3 大脳辺縁系の情報処理
6-4-4 海馬での情報処理
6-4-5 扁桃体での情報処理
6-4-6 大脳新皮質での情報処理
6 - 5 感覚情報の基本ルールをみてみよう
6-5-1 視覚路
6-5-2 感覚情報の伝達と処理のルール
6-5-3 「なんだ情報」と「どこだ情報」
6-5-4 注意
6-5-5 視覚認知について
6 - 6 運動調節の基本ルールをみてみよう
6-6-1 感覚情報をもとに運動指令へ
6-6-2 大脳皮質への経路、大脳皮質からの経路
6-6-3 運動のプランニング
6-6-4 小脳の局所回路について
6-6-5 小脳の運動制御と運動学習への関与
6-6-6 小脳症状
6-6-7 基底核の局所回路について
6-6-8 基底核症状
6-6-9 下行運動調節系
6 - 7 意識とは
6-7-1 意識がない状態とは
6-7-2 意識がない状態の脳とは
6-7-3 意識がある状態
6-7-4 意思決定とは
6-7-5 思考とは
6-7-6 意識、無意識にする行動、意識の後付けについて
6 - 8 情動とは
6 - 9 認知機能とは
6 - 10 記憶、学習とは
6-10-1 記憶とは
6-10-2 4つの脳部位と記憶
6-10-3 ニューロンと記憶
6-10-4 記憶の形成・貯蔵・想起
6-10-5 学習とは
6 - 11 高次機能とは
6-11-1 高次機能とは
6-11-2 失語
6-11-3 失認
6-11-4 失読、失書、失算
6-11-5 失行
6-11-6 認知機能の障害
Chapter7 神経化学・薬理学
7 - 1 神経伝達物質とレセプター
7 - 2 神経伝達物質の合成と代謝
7 - 3 レセプターの種類と動態
7 - 4 CNSへの薬物送達経路
7 - 5 神経伝達物質各論
7-5-1 アミノ酸からカルボキシル基を外したアミン(モノアミン)
7-5-2 アセチルコリン
7-5-3 アミノ酸そのもの
7-5-4 神経ペプチド
7-5-5 脂質、エイコサノイド、エンドカンナビノイド
7-5-6 神経伝達物質とそのレセプター、レセプターを標的にした薬について
7 - 6 中枢神経系作用薬
7-6-1 神経伝達を標的にする薬
7-6-2 全身麻酔薬
7-6-3 鎮痛薬
7-6-4 神経変性疾患の薬
7-6-5 精神系に使われる薬
7-6-6 睡眠薬
7-6-7 抗精神薬
7-6-8 その他の研究中の薬
7 - 7 末梢神経系作用薬
7-7-1 筋弛緩薬
7-7-2 局所麻酔薬
7-7-3 筋弛緩の抑制に用いられる薬
7 - 8 神経毒
7 - 9 取締対象の薬と作用、薬物依存
7-9-1 薬物依存の回路
7-9-2 向精神薬
7-9-3 アルコール、タバコ
Chapter8 神経免疫学
8 - 1 神経系に免疫はあるのか? ないのか?
8-1-1 ある…けれど違う
8-1-2 神経系への異物の侵入と排除
8 - 2 血液、CSF、組織液、リンパ
8-2-1 血液、CSF、リンパの流れと炎症・免疫反応の場
8-2-2 血液成分とCSF成分
8 - 3 中枢神経系の免疫系細胞と免疫系分子
8-3-1 免疫系細胞
8-3-2 免疫系分子
8-3-3 間質、ECM、線維化、グリオーシス
8-3-4 免疫反応の様式
8-3-5 脳実質での免疫反応
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書籍情報
- ISBN:9784758120982
- ページ数:292頁
- 書籍発行日:2020年9月
- 電子版発売日:2020年9月15日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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