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- 実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ リアルな相互作用を捉える近接依存性標識プロトコール
商品情報
内容
細胞内での相互作用分子を網羅的に捉える技術として,急速に普及するビオチン標識法.ノイズに惑わされない正しい同定を導く戦略やコツから,様々な生物種での応用例まで,本書さえあれば今すぐあなたも実践できる!
序文
序
細胞や生体内のタンパク質は単独で機能していることはほとんどなく,他のタンパク質と複合体を形成して機能を発揮している.例えば細胞では,核膜孔など細胞内構造体のような非常に安定な複合体もあれば,細胞膜上の受容体が一過的な複合体形成を介してリン酸化やユビキチン化を行うこともあり,タンパク質は多様な複合体形成を介して多様な機能を発揮していることが見てとれる.つまり,タンパク質の機能を理解するために,まずは細胞内や生体内で相互作用するタンパク質を同定することが非常に重要なのである.これまでも,酵母ツーハイブリッド法や免疫沈降法,プロテインアレイ等,さまざまな相互作用同定技術が開発されてきた.しかし,これらの従来法はいずれも試験管内で作られた環境での系であり,細胞内や生体内で起こっている本来の相互作用ではなく,相互作用の場が異なる間接的な相互作用を検出していた.このことは直接的な相互作用タンパク質の解析ができていないだけでなく,ホルモンや増殖因子などにより複雑に変化する相互作用を解析できないという大きな課題を残していた.
このような背景から近年,細胞内の直接的な相互作用タンパク質を検出できる技術として,近接依存性ビオチン標識法が報告された.近接依存性ビオチン標識法は,半径数十nm程度の近傍に存在するタンパク質のアミノ酸残基を,触媒反応を介してビオチン標識できることから,細胞で起こっている相互作用を直接検出・解析できる全く新しい技術である.ビオチン標識酵素は最近のゲノム編集技術により,ゲノム上の標的タンパク質の遺伝子の前後に直接組込むことができるため,これまでは不可能であった生体内の発生・分化や刺激応答により変化するリアルな相互作用解析ができるようになったのである.近接依存性ビオチン標識技術は,近接するタンパク質を高感度にビオチン標識できる技術という基本原理が理解され,幾ばくかのモデルケースが示されたのみの,技術としては発展途上であることから,今後さまざまな利用法が開発されていくと思われる.研究者の数だけ興味深いタンパク質の種類があるといわれるものの,どのタンパク質をとってもその機能・制御機構の深淵はいまだ視えず.近接依存性ビオチン標識法はそこに射す光となると信じており,あなたのタンパク質研究に本書が参考になることを期待している.
2024年8月
編者を代表して
澤崎達也
目次
序【澤崎達也】
概論―近接依存性ビオチン標識法の原理・実際・応用【小迫英尊】
原理編
1 近接依存性ビオチン標識技術の選び方と解析の注意点【澤崎達也】
2 細胞,マウス個体へのビオチンリガーゼ導入法【奥山一生,谷内一郎】
3 ビオチン化タンパク質の検出・同定法と使い分け【小迫英尊】
実践編
Ⅰ.解析フロー
1 標識酵素融合遺伝子のコンストラクション【高橋宏隆】
2 BioID酵素融合遺伝子の培養細胞への導入【山中聡士】
3 イムノブロットによるビオチン標識の確認【高橋宏隆】
4 ビオチン化タンパク質の精製と質量分析による同定【小迫英尊】
5 近接タンパク質情報のバイオインフォマティクス【土方敦司】
6 in vitroでの生化学的相互作用解析【森下 了】
Ⅱ.各生物種での解析
7 マウス生体内BioID法の実践に向けたマウス作製法とビオチン化誘導法【谷内一郎,原田淳司】
8 AirID融合タンパク質発現シロイヌナズナの作出【野澤 彰,井上晋一郎】
9 出芽酵母におけるAirIDによる相互作用因子の同定【河田美幸,関藤孝之】
10 ショウジョウバエ生体における近接依存性標識プロテオミクス【川口紘平,藤田尚信】
応用編
1 Split-BioID法とその派生技術の可能性【永本紗也佳,髙野哲也,奥山一生】
2 BioID法に用いる酵素の構造的特徴【寺脇慎一】
3 Fab抗体を用した膜タンパク質の細胞外相互作用解析【山田航大】
4 HRP標識抗体を用いた構造特異的膜タンパク質の解析【小川優樹】
5 BioID法で解き明かす生体脳の空間プロテオーム【伊藤有紀,髙野哲也】
6 短時間のPPIを解析するためのBioID酵素【山中聡士】
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書籍情報
- ISBN:9784758122740
- ページ数:174頁
- 書籍発行日:2024年9月
- 電子版発売日:2024年9月30日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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