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関節リウマチ関連リンパ増殖性疾患の診断と管理の手引き

  • ページ数 : 136頁
  • 書籍発行日 : 2022年6月
  • 電子版発売日 : 2022年7月6日
6,820
(税込)
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商品情報

内容

MTXなどの免疫抑制薬治療中のRAに発生するリンパ増殖性疾患(LPD)に適切に対応するため,関連3学会WGがまとめた本邦初の手引き.最新エビデンスをもとに,RA-LPD診断・管理の重要ポイントがわかる

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序文

序文


医原性免疫不全関連あるいは免疫抑制薬関連リンパ腫・リンパ増殖性疾患の診断と管理の手引きが刊行された.日本リウマチ学会,日本血液学会,日本病理学会の3学会合同のワーキンググループによって議論が重ねられ,ここに発刊の運びとなった.メトトレキサート(MTX)を中心とする免疫抑制薬などの治療中に関節リウマチ患者に発症するリンパ腫・リンパ増殖性疾患は,1990年代には認識されていたが,2002年フランスからのコホート研究,2006年日本からの病理学的検討などを受けて世界的にも徐々にではあるが注目されていた病態である.日本においては,1999年に関節リウマチにMTXが薬事承認されてから長期観察例の累積が進み,2011年にはMTXの投与上限が週8 mgから16 mgに引き上げられたこともあって,MTX投与中のリンパ腫・リンパ増殖性疾患の増加に関する懸念が高まっていた.このような状況のなかで,2016年MTX診療ガイドラインの改訂を受けて,次の改訂に向けた検討の必要性が叫ばれた.2017年日本リウマチ学会は,当時の山本一彦理事長のご判断で,学会としてこの課題を取り上げ,実態調査のため疫学・薬剤安全性小委員会の委員長であった針谷正祥先生のもと活発な研究調査活動が展開された.また,MTX診療ガイドライン策定小委員会の意見を踏まえ,日本リウマチ学会に加えてこの課題に直接関連する日本血液学会,日本病理学会との意見交換会を開催してコンセンサスを形成することとなった.この意見交換会の中心的メンバーとして日本リウマチ学会から東海大学の鈴木康夫先生が推薦され,粘り強く3学会のコンセンサス作りに奔走された.実に5年の歳月を要した一大事業は,ここに完成した.この活動を発足時から主導してくださった東海大学の鈴木康夫名誉教授はじめ3学会から推薦された委員の先生方のご尽力に,改めて心より感謝を申し上げたい.

個人的には,埼玉医科大学総合医療センター第2内科教授としてリウマチ・膠原病,血液疾患,感染症を診療している立場から,教室の得平道英君などとともに臨床現場で経験を重ねるなかで,リンパ腫をご専門としていた同センター病理部の田丸淳一教授,大阪大学医学部病態病理学の青笹克之教授などと,当時としては相当規模の76例の病理学的解析を行った.それから20年近い歳月の後に,この素晴らしい成果に接した喜びと感慨はとても大きい.この手引きが関節リウマチ診療の現場で活用され,患者さん,リウマチ医,そして関連する医療従事者や,行政,社会に有用な情報となることを祈念する.同時に,英語版の出版などを通して,日本からのエビデンスとしてグローバルにも情報発信していただくことを期待して刊行の言葉としたい.


2022年5月

一般社団法人日本リウマチ学会 理事長
埼玉医科大学 副学長
慶應義塾大学 名誉教授
竹内 勤

目次

発刊に寄せて

Key Message 一覧

略語一覧

編集・執筆・協力者一覧

【1】緒言 ・・・編集代表者 鈴木康夫

① はじめに

② RA治療薬開発の歴史

③ RA治療戦略の変遷

1)古典的治療戦略

2)RA治療のパラダイムシフト

④『関節リウマチ関連リンパ増殖性疾患の診断と管理の手引き』作成にあたって

1)RA治療のパラダイムシフトがもたらした光と影

2)本手引き作成にあたって

【2】リンパ腫/リンパ増殖性疾患の概念と定義 ・・・日本血液学会

【3】関節リウマチとリンパ腫/リンパ増殖性疾患 ・・・日本リウマチ学会

① 自己免疫疾患とリンパ腫

② 諸外国におけるRA患者のリンパ腫の相対リスクと罹患率

③ 本邦におけるRA関連LPDの発生状況

1)本邦の代表的RAレジストリにおけるリンパ腫の罹患率

2)リウマトレックス®適正使用情報におけるLPDの収集状況

④ RA患者におけるリンパ腫/LPDの発生要因

1)遺伝的要因

2)老化(senescence)と免疫老化(immunosenescence)

3)RAの炎症活動性と免疫異常

4)Epstein-Barrウイルス感染

5)治療薬による免疫抑制(医原性免疫不全)

疫学統計用語の解説

【4】WHO分類(病理学的分類) ・・・日本病理学会

① WHO分類の歴史,流れ

② 悪性リンパ腫の分類/診断のとらえ方

③ 悪性リンパ腫の分類

1)形態分類の基本

2)悪性リンパ腫と細胞分化

【5】関節リウマチ関連リンパ増殖性疾患の病理学的特徴と診断名 ・・・日本病理学会

① 免疫不全関連LPDの分類

② RA患者に発生したその他の医原性免疫不全関連LPDの病理組織像

1)各病理組織型の頻度

2)免疫表現型

3)RA患者にみられる代表的LPDの病理組織像

【6】関節リウマチ患者に発生するリンパ増殖性疾患の危険因子と発症前の徴候,検査異常 ・・・日本リウマチ学会

① LPD発症に関与する因子(危険因子)

1)患者特性:年齢,性

2)RA罹病期間

3)治療薬関連因子

4)遺伝学的背景(HLAリスクアリルについて)

5)合併症:Sjögren症候群など他の自己免疫疾患の合併

6)国内集積研究における多変量解析を用いたLPD危険因子の解析

② LPD発症前の徴候,検査異常

1)LPD発症前の検査値の変動

2)発症前のRA疾患活動性~関節症状,炎症反応,疾患活動性スコア

【7】関節リウマチ関連リンパ増殖性疾患の臨床的特徴 ・・・日本リウマチ学会

① 臨床症状と徴候

② 検査値異常

【8】診断手順:必要な検査,コンサルテーションのタイミング

◇❶ リウマチ医の立場から~LPDを疑ったときの初期対応 ・・・日本リウマチ学会

① RA患者におけるLPDの診断フロー

② 医療面接と身体診察~リンパ腫/LPDを疑う臨床症状

1)主訴,現病歴

2)既往歴・家族歴など

3)臨床経過

4)身体所見

③ 確定診断前に要する検査

1)臨床検査

2)画像・内視鏡検査

3)リンパ節生検

◇❷ 病理診断医の立場から~リンパ節生検,節外病変生検で何を検査するか ・・・日本病理学会

① RA関連LPDの病理組織検査の実際

1)リンパ節あるいは節外病変からの検体採取

2)検体材料の作製

3)HE染色,免疫染色,フローサイトメトリー

4)染色体解析,FISH

5)分子生物学的診断

② 組織中のEpstein-Barrウイルスの確認

【9】リンパ増殖性疾患の経過・予後と発生時の対応 ・・・日本リウマチ学会

① 自然消退例と非消退例の臨床・病理学的特徴

1)自然消退例と非消退例の比率

2)自然消退例と非消退例の患者背景

3)自然消退例と非消退例におけるMTX中止後の臨床検査値変化

4)自然消退例と非消退例におけるLPD発症前のRA治療の特徴

5)自然消退例と非消退例におけるLPDの局在と病理像の特徴

② 自然消退の時間的経過および副腎皮質ステロイドの消退過程への影響

1)自然消退の時間的経過

2)副腎皮質ステロイドの消退過程への影響

③ 血液内科および他科へのコンサルテーションのタイミング

④ 自然消退して再発しない例と再発する例の比率と再発例の患者背景

1)自然消退例の再発率と再発までの期間

2)再発例の臨床・病理学的特徴

3)自然消退後の再発時の検査値異常

⑤ 生命予後と生命予後に影響する因子

1)RA関連LPDの生命予後

2)生命予後に影響を及ぼす因子

3)死因

【10】リンパ増殖性疾患が疑われる関節リウマチ患者への血液内科医の対応と代表的病理組織型別治療 ・・・日本血液学会

① RA関連LPD患者における対応の流れ~血液内科医の立場から

1)LPD疑いの患者をみたら

2)抗リンパ腫治療開始の判断

3)MTXを含む免疫抑制薬中止後のフォローアップ

4)注意点

② RA関連LPD治療の考え方

③ 生検が行われなかったLPD疑い患者のフォローアップ

④ 各RA関連LPD亜型における治療方法

1)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)

2)古典的Hodgkinリンパ腫(CHL)

3)その他のLPD

【11】リンパ腫/リンパ増殖性疾患の消退/寛解後の関節リウマチ治療(推奨される薬剤) ・・・日本リウマチ学会

① LPD自然消退例あるいは治療後寛解に至った症例のRA疾患活動性コントロール状態とRA治療の現状

1)LPD発症後のRA疾患活動性

2)LPD発症後のRA治療状況

3)RA治療薬とLPDの再発

② LPD発症後の生物学的製剤治療

1)LPD症例における生物学的製剤の継続率

2)生物学的製剤の継続にかかわる因子

3)LPD発症後の生物学的製剤の使用

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書籍情報

  • ISBN:9784758123921
  • ページ数:136頁
  • 書籍発行日:2022年6月
  • 電子版発売日:2022年7月6日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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