せん妄診療実践マニュアル 改訂新版

  • ページ数 : 278頁
  • 書籍発行日 : 2022年9月
  • 電子版発売日 : 2022年9月28日
3,850
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商品情報

内容

岡山大学病院精神科リエゾンチームのノウハウがここに

せん妄診療の定番書が,「ハイリスク患者ケア加算」に合わせて内容を刷新!現場に即した診療フローと豊富な図表を用いた解説で,効果的・効率的なせん妄対策のために「いま,何をすべきか?」がすぐわかる!

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序文

改訂にあたって


この「せん妄診療実践マニュアル」は,2019年10月に初版を発行し,これまで多くの方からさまざまな反響をいただきました.この場をお借りして,深く御礼申し上げます.

初版の発行後,せん妄をめぐって大きな動きがあり,2020年度の診療報酬改定において,「せん妄ハイリスク患者ケア加算」が新設されました.この加算を契機に,各病院には組織としてせん妄の予防に取り組むことが求められるようになった一方,現場の医療者はきわめて多忙であるという実情を踏まえると,より効果的・効率的な介入が大きな課題と考えられます.

そこで,初版からまだ3年ほどしか経っておりませんが,この度「せん妄ハイリスク患者ケア加算」算定の流れに沿って,予防的介入のフローチャートを全面的に改編しました.また,特にご好評いただいていた「せん妄の薬物療法」の内容をより充実させ,新しい睡眠薬( オレキシン受容体拮抗薬) の使い分けなどについても,丁寧に解説しました.さらには,コラムの数を増やし,せん妄対策における重要なポイントを具体的に示したほか,応用編では新たな知見も踏まえて,十分な加筆を行いました.

このように,本書は初版にはなかった内容や構成となっており,全体的なアップデートのみならず,できるだけ多くの工夫やエッセンスを詰め込み,新しく生まれ変わったのが,この改訂新版の特徴です.

実臨床で効果的・効率的なせん妄対策を行うには,本書さえあれば十分と自負しています.せん妄対策にかかわる多くの方にとって,初版以上にお役立ていただけることを願ってやみません.


2022年9月

井上 真一郎

目次

改訂にあたって

はじめに(初版の序)

基礎編

せん妄対策の基礎知識

 ①せん妄対策とは

 ②「せん妄」とは

 ③「せん妄の3 因子」について

 ④「3 因子」で考えるせん妄Q&A

 ⑤せん妄対策は「リスクの引き算」と考える

実践編

1章 せん妄に対する予防的介入

STEP1 せん妄のリスク因子の有無を確認する

 ①高齢(70 歳以上)

 ②脳器質的障害(脳梗塞,脳出血,脳腫瘍,頭部外傷など)

 ③認知症

 ④アルコール多飲

 ⑤せん妄の既往

 ⑥リスクとなる薬剤(特にベンゾジアゼピン受容体作動薬)の使用

 ⑦全身麻酔を要する手術後またはその予定があること

STEP2 せん妄の予防対策を行う

 ①パンフレットや動画を用いて患者および家族にせん妄の説明を行う

 ②せん妄ハイリスクを考慮した不眠時・不穏時指示を出しておく

 ③内服中のせん妄ハイリスク薬(特にBZ 受容体作動薬)を減量・中止し,新たにせん妄ハイリスク薬を入れない

 ④せん妄予防のための身体管理や環境調整を行う

STEP3 せん妄の早期発見につとめる

 ①ツールを用いてせん妄の早期発見を行う

 ②臨床的な評価でせん妄の早期発見を行う

 ③他疾患との鑑別を行う

2章 せん妄に対する治療的介入

STEP4−① 原因療法

 ①身体疾患の精査・治療,原因薬剤の中止

 ②特に注意すべき直接因子

 ③低活動型せん妄

STEP4−② 薬物療法

 ①薬剤を選択する

 ②用量を決める

 ③投与時間を決める

 ④評価する

 ⑤処方内容を再調整する

STEP4−③ 非薬物療法

 ①意識障害・注意障害を考慮した対応

 ②急性発症・日内変動を考慮した対応

 ③記憶障害・見当識障害・視空間認知障害・幻覚を考慮した対応

 ④睡眠・覚醒リズム障害を考慮した対応

 ⑤感情の障害を考慮した対応

 ⑥その他

せん妄への対応のメリット・デメリットを考える

 ①対応のメリット・デメリット

 ②身体拘束の実状

応用編

1章 術後せん妄(ICU におけるせん妄)

はじめに

STEP1 せん妄のリスク因子の有無を確認する

 ①術後せん妄の既往の有無を確認

STEP2 せん妄の予防対策を行う

 ②術後に薬が内服できない場合の薬剤指示

 ③術後を想定したケア

STEP3 せん妄の早期発見につとめる

 ④CAM-ICUまたはICDSCを用いた評価

STEP4 せん妄の治療を行う

 ⑤ICUではDEXを中心とした薬物療法

 ⑥複数重なる促進因子を除去

術後の注意点

2章 アルコール離脱せん妄

はじめに

STEP1 せん妄のリスク因子の有無を確認する

 ①アルコール依存症(可能性含む)の有無を確認

【アルコール依存症がほぼ確実の場合】

STEP2 せん妄の予防対策を行う

 ②ベンゾジアゼピン受容体作動薬の予防投与

 ③ビタミンの補充

STEP3 せん妄の早期発見につとめる

 ④小離脱の評価

STEP4 せん妄の治療を行う

 ⑤ ベンゾジアゼピン受容体作動薬を中心とした薬物療法

【アルコール依存症の可能性がある場合】

STEP2 せん妄の予防対策を行う

 ②小離脱が出現した場合の薬剤指示

 ③ビタミンの補充

STEP3 せん妄の早期発見につとめる

 ④小離脱の評価

STEP4 せん妄の治療を行う

 ⑤ベンゾジアゼピン受容体作動薬を中心とした薬物療法

アルコール依存症の治療

3章 緩和医療におけるせん妄

はじめに

STEP1 せん妄のリスク因子の有無を確認する

 ①身体的重症度が高い場合は「せん妄ハイリスク」

STEP2 せん妄の予防対策を行う

 ②痛みに対するケア

STEP3 せん妄の早期発見につとめる

 ③低活動型せん妄の評価

STEP4 せん妄の治療を行う

 ④直接因子を用いてせん妄の治療可能性を評価

 ⑤-1 可逆性せん妄へのアプローチ

 ⑤-2 不可逆性せん妄へのアプローチ

巻末資料

 せん妄ハイリスク患者ケア加算に係るチェックリスト/Confusion Assessment Method(CAM)/ Delirium Screening Tool(DST)/ Confusion Assessment Method in the ICU(CAM-ICU)/ Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)/資料リスト


薬剤リスト

索引


column

* せん妄のデメリットとは

* ベンゾジアゼピン系薬剤と非ベンゾジアゼピン系薬剤について

* レビー小体型認知症について

* EPS(Extra-Pyramidal Symptoms:錐体外路症状)とは

* せん妄の患者さんに服薬を拒否された場合

* せん妄に関するカンファレンスのヒント

* 岡山大学病院せん妄対策チームの取り組み

* 「がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版」について

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書籍情報

  • ISBN:9784758123952
  • ページ数:278頁
  • 書籍発行日:2022年9月
  • 電子版発売日:2022年9月28日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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