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- レジデントノート増刊 Vol.26 No.2 経過を追って考える 輸液の処方・調整のコツ
商品情報
内容
「この患者,いつまで輸液すればいいの?」「輸液のやめ時が分からない…」そんな疑問を抱くあなたに!輸液の開始から終了まで,症例経過を追ってしっかり解説!明日からの輸液処方がレベルアップする1冊です.
序文
序
世のなかには,輸液に関する本がいくつも存在しています.このことから,輸液が日常診療でほぼ毎日出会う一般的な医療行為であること,そして輸液をもっと知りたいと考えている医療者が非常に多くいることが容易に想像できます.一方で,人間の体はよくできているもので,多くの患者さんでは良くも悪くも適当な輸液をしても大きくは外さないのも現実です.結局のところ,輸液は分かったようで分からない,なんとなくオーダーできるようになったけどいまいち自信がもてない,そんな感覚をもつのではないでしょうか.少なくとも,私自身がそんなレジデントのひとりでした.正直に言うと,今でも自信満々で輸液ができるわけではありませんし,恥ずかしながらうまくいかないことが多々あります.それでも,分からないことばかりで不安だったレジデント時代から成長した部分があります.それは,輸液についての基礎知識が増えたこと,自分で考えた輸液を実践してはうまくいかない部分を修正することをくり返して,輸液の戦略の組立てと修正ができるようになったことだと思います.
本特集はその経験を踏まえて,輸液のはじめ方だけでなく,その後どのようにモニタリングしていくのか,どのように輸液を終わらせるのかまで含めて,はじめから終わりまで道筋を立てながら輸液の戦略を組立てられるようになることを目標にしています.そのために必要な基礎知識から,実際の症例に合わせた輸液例とその経過まで,できるだけ具体的に,かつ幅広くカバーすることをめざしました.具体的な構成としては,まず,第1章は輸液の基礎知識を学ぶことにフォーカスしました.考えるための道具がなければ,思考を組立てていくことは難しいですから,まずはここで知識を整理しましょう.そして,第2章は,症例を通して筆者の先生方がどのように輸液戦略を組立てているのか,その思考回路を自分にインストールするようなイメージで読んでみてください.第3章は,実際に輸液を投与するときに疑問に思うようなことをとり上げているので,ふとしたときに読み物的にも楽しんでいただけると思います.
この特集を読んだ後は,自分が担当している症例の輸液戦略を実際に考えてみましょう.そして,自分で考えた輸液戦略を,実際の患者さんで実践してみましょう.知識は,頭のなかに秘めているだけでは宝のもち腐れになってしまいます.本を読んで,なんとなくできるような気持ちになって終わってしまうのは,非常にもったいないことです.実践の際には上級医に相談することを忘れずに.「なんとなく」ではなく,「〇〇という理由でこの輸液をしようと思います.」とプレゼンできるレジデント,素晴らしいです! もし,自分の意見が通らなかったとしても,うまくいかなかったとしても,必要以上に落胆しなくても大丈夫です.ここまでできていれば,どうして上級医が違うプランにしたのか,どうしてうまくいかなかったのか,考えるための道具を持っているはずです.悲しかったこと,悔しかったこと,うまくいかなかったことを糧にして,ぜひご自身の道具を磨いていってください.
輸液は極めはじめると非常に奥深すぎる領域であり,本特集で輸液のすべてを網羅することは不可能です.もっと勉強したい皆さんのために,世のなかには素晴らしい輸液の本や論文がたくさんあります.本特集で学んだ皆さんなら,何が分からないかわかるようになってきた,はずです.これからもぜひ学びを深めていってください.そして,上級医になった際には,かつての私のような迷えるレジデントを救ってあげてください.私自身も多くの素晴らしい上級医に恵まれて今があります.今回このような形でレジデントの皆さんにかかわることができたことで,これまで私を導いてくださった先生方に,少しでも恩返しができたのではないかと感じています.
最後に,今回の特集にあたり,臨床経験に則した知識を簡潔にまとめつつ,惜しみなく共有してくださった筆者の先生方に,改めて感謝申し上げます.私自身もレジデントだった頃を思い出しながら勉強させていただきました.読者の皆様にとって,何か1 つでも今日からの輸液診療を支える礎になるようなメッセージがお伝えできていれば本望です.また,よろしければ今回の特集をお読みになって感じたご感想・ご意見などをお寄せいただけるととても嬉しいです.
2024年2月
Brigham and Women’s Hospital Transplant Research Center/聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
寺下真帆
目次
第1章 輸液療法のエッセンス
1.輸液に必要な体液の考え方【山口 真】
2.体液量と輸液反応性の評価方法【廣瀬知人】
3.輸液製剤【普久原智里】
4.輸液のはじめ方と終わり方【寺下真帆】
5.輸液の投与ルート 〜末梢静脈or中心静脈【立枩良崇】
6.栄養輸液【町田慎治】
7.輸液の弊害 〜過ぎたるは及ばざるが如し【吉留 愛,谷澤雅彦】
第2章 病態・疾患ごとの輸液の処方・調整・終了
1.敗血症への輸液【森田吉則】
2.心不全の輸液【鈴木 翔】
3.呼吸不全の輸液【片岡 惇】
4.高血糖緊急症の輸液【尾上剛史】
5.急性膵炎の輸液【増井伸高】
6.腸閉塞の輸液【山家 豊,龍華章裕,服部正嗣】
7.急性腎障害の輸液【宮内隆政】
8.低ナトリウム血症の輸液【緒方聖友,冨永直人】
9.高ナトリウム血症の輸液【志水英明】
10.低カリウム血症の輸液【藤丸拓也】
11.腫瘍崩壊症候群の輸液【耒田善彦】
12.周術期の輸液【谷井梨美】
13.心機能障害がある患者への輸液【正印恭子】
14.慢性腎臓病および末期腎不全患者への輸液【工藤祐樹,座間味 亮】
15.肝硬変がある患者への輸液【中野弘康】
16.高齢者の輸液【鈴木 航,家 研也】
17.小児への輸液【佐藤泰征】
18.終末期の輸液【原田真梨子,小杉和博】
第3章 研修医からよくある輸液の質問
1.ルートは何本必要? 〜単独投与が必要な薬剤や配合変化【前田幹広】
2.リンゲル液に違いはあるの? 〜乳酸,酢酸,重炭酸リンゲル液の違い【藤田陽子】
3.造影剤投与前後の輸液はどうする?【藤田陽子】
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書籍情報
- ISBN:9784758127141
- ページ数:237頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年4月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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