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- レジデントノート増刊 Vol.26 No.8 ここからはじめる感染症診療 研修医が最初に悩むFever work-up教えます。
商品情報
内容
急性の発熱の原因で最多なのは感染症.この1冊で,よく出合う感染症を症状別にスッキリ整理し,原因微生物の推定・抗菌薬の選択までできるようになる!さあ,感染症診療はここからはじめよう!
序文
序
発熱は救急外来や病棟管理を行うなかで,研修医の先生方が遭遇することの多い代表的な症状の1 つです.そして,急性の熱性疾患の原因のなかで圧倒的多数を占めるものが感染症ですが,その対応・マネジメントに関して包括的な指導を受ける機会は限られているのが現状です.
良き総合内科医・感染症医から直接指導を受けられない場合,発熱に遭遇→原因がわからない/ 何をすればいいかわからない→でも抗菌薬をはじめないといけないプレッシャーを感じる→そもそもたくさんある抗菌薬の違いがよくわからない,といったジレンマに陥ることがあり,感染症診療に苦手意識(fever phobia)を生み出す一因になっていると考えます.
発熱は症状であり,診断名ではありません.抗菌薬は解熱剤ではないため,発熱患者に対し最初に行わないといけないことは,「熱が下がりそうな」抗菌薬を選ぶことではなく,「何を治療しているのか」を言語化することです.具体的には,患者背景,臓器,原因微生物を明確化し,感染症のアセスメントを立てていく過程が必須となります.私が研修医のときに,指導医が,“no assessment, no antibiotics”と,口を酸っぱくして言っていたのを覚えています.発熱している患者さんのアセスメントを立てるために行わないといけない,病歴聴取,身体診察,検査等を総称して,Fever work-up といいます.発熱に対して,行わなければいけないFever work-up が明瞭に頭にイメージできていれば,感染症診療への苦手意識は消失していくでしょう.
感染症は,原則として局在・進行する疾患です.例えば,2 日前からの咳嗽,1 日前からの発熱,本日からの呼吸苦で,肺への症状の局在と日の単位での進行から細菌性肺炎を考える…というイメージです.加えて,患者背景が鑑別診断に影響を与えることも多く,高齢者,小児,化学療法中,術後といった状況において,考えるべき可能性が変化します.先ほどの例に,脳梗塞後,右不全麻痺,嚥下機能障害という要素を加えると,誤嚥性肺炎が危惧されますし,急性骨髄性白血病の化学療法で長期の顆粒球減少が続いている患者であれば,真菌(糸状菌)感染が鑑別に加わります.
本書では,さまざまな臨床シチュエーションのなかで,遭遇する頻度の高いものを厳選し,普段から研修医教育に携わっている百戦錬磨の指導医の先生方に執筆を依頼しました.第1 章の総論では,感染症診療の原則,具体的なFever work-up の方法,グラム染色や各種培養の解釈,代表的な抗菌薬の概要をまとめ,第2 章の各論にて,発熱+αといった症状に対し,代表的な疾患とその対応,加えて,ピットフォール,クリニカルパールをまとめるといった形で,初期研修医の先生にとって現場がイメージしやすく使い勝手のよい内容をめざしております.網羅的な内容ではなく,これだけ知っておけば一般的なシチュエーションの80 ~ 90 %はカバーできるといった形を意図しています.加えて,第3 章では,実際の症例検討会2 件の内容を収録させていただきました.『レジデントのための感染症診療マニュアル』の執筆や,研修医教育で高名な感染症コンサルタントの青木眞先生に,研修医が,実際の症例をプレゼンテーションし,そのディスカッションの内容をまとめています.症例としては,症状の局在がはっきりしない熱,特殊な患者といった,研修医の先生が明日遭遇するかもしれない悩ましい要素を付加した状態で,指導医の先生がどのような思考回路で患者診断にたどり着くのか, Feverwork-up の頭の動かし方を追体験できるような企画としております.
くり返しになりますが,発熱を主訴とする患者に必要なものは,適切なアセスメントです.
本書の内容を通読することにより,Fever work-up がイメージできるようになり,研修医の先生方のfever phobia を少しでも軽減できる一冊となれば幸いです.
2024年6月
杏林大学医学部付属病院 感染症科
嶋崎鉄兵
目次
第1章 発熱への初期対応,病歴聴取,診察,検査から治療薬まで
1.感染症診療の原則:抗菌薬は解熱薬ではない【嶋崎鉄兵】
2.救急外来でのFever work-up【小菅顕大,山口 裕】
3.病棟でのFever work-up【筒泉貴彦】
4.発熱患者の身体診察 〜これだけは見逃さない【Joel Branch,嶋崎鉄兵(訳)】
5.明日からできる喀痰・尿・創部膿のグラム染色の実践【谷口智宏】
6.コンタミ? 真の菌血症? もう悩まない血液培養の解釈【織田錬太郎】
7.発熱患者の画像検査 〜これだけは知っておきたい【山田直樹,岩岡日々】
8.研修医がマスターしておきたい抗菌薬10選【小田川誠治,羽田野義郎】
column
研修医のための感染症診療自己学習ツール【野木真将】
第2章 症状・患者ごとの感染症診療 シチュエーション別の対応
1.発熱+上気道症状【岸田直樹】
2.発熱+下気道症状【高江洲壮,喜舎場朝雄】
3.発熱+中枢神経症状【杉田陽一郎】
4.発熱+皮膚症状【松永直久】
5.発熱+尿路症状【兒島裕樹】
6.発熱+消化器症状【林 俊誠】
7.発熱のみの場合【大津晃康】
8.小児の発熱【堀越裕歩】
9.高齢者の発熱【狩野惠彦】
10.がん薬物療法中の患者の発熱【鎗水 彰,武田孝一】
11.術後の発熱【古谷賢人,伊東直哉】
第3章 レジェンド感染症医の思考を理解する
Case1.発熱+多臓器不全+皮疹【解説:青木 眞,症例提示:内間 耕,司会:嶋崎鉄兵】
Case2.発熱+倦怠感+下痢【解説:青木 眞,症例提示:今村尭昭,司会:嶋崎鉄兵】
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書籍情報
- ISBN:9784758127202
- ページ数:245頁
- 書籍発行日:2024年7月
- 電子版発売日:2024年7月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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