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- 運動療法×学問で考えた 心臓リハビリテーション
商品情報
内容
文系・理系の視点で解き明かす心臓リハビリテーション アカデミーが開校! 包括的心臓リハビリテーションをこれまでの概念ではなく、「運動療法×学問」という新しい切り口で捉えた一冊です。
第1章「文系から見た運動療法・心臓リハビリテーション」では、歴史学、社会学、経済学、心理学、教育学、哲学の6つの項目を、第2章「理系から見た運動療法・心臓リハビリテーション」では、工学、生理学・病態生理学、物理学、予防医学、感染症学、脳科学、薬理学、東洋医学、解剖学、加齢学、栄養学、時間学、デジタルヘルス学、遠隔医療学の14の項目を収録。
これまでの心臓リハビリテーションの教科書的な解説とは異なる、「運動療法×学問」の視点から、心臓リハビリテーションの奥の広さや新たな魅力を感じられ、現場で活かせる知識が詰まっています。
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序文
はじめに
本邦の超高齢社会に伴い、高齢者の循環器疾患も増加傾向であり、心臓リハビリテーションも運動療法のみならず、多職種による包括的心臓リハビリテーションへ役割が大きく変化し、新しい価値観も重要視されています。
これまで心臓リハビリテーションに関する書籍も数多く出版され、ある意味での教科書的なもので、私もそれらの書籍とともに育ってきました。今回の書籍は全く異なる、包括的心臓リハビリテーションをこれまでの概念ではなく、あえて心臓リハビリテーション×学問ではなく、運動療法×学問という新しい切り口で考えてみました。学問ということで、文系と理系に分けて、項目を組み立ててみましたが、心臓リハビリテーションのある意味、守備範囲の広さ、奥の深さを改めて感じました。一方で、心臓リハビリテーションではなく、切り口を運動療法にしたことで、ぼんやりしていたものが、スッキリしたのではないかと感じています。
文系に関して、歴史学、社会学、経済学、心理学、教育学、哲学の6つにしてみました。なかなかチャレンジングな内容になりましたが、これまでと違う視線で運動療法、心臓リハビリテーションを感じることができ、個人的には大変気に入っています。
そして、理系に関しては、14の項目にしました。振り返るとどの項目も非常に難しい依頼だったと思いますが、各先生が持ち味を存分に発揮していただけ、内容的にも大変素晴らしいものになりました。著者の先生も全国各地から現在、心臓リハビリテーションのリーダーとして中心的に推進されている医師、これからを期待されている若手から中堅までに依頼させていただきました。
今回は配色にもこだわり、前半の文系は温かみのある、そして個人的にも好みのオレンジで統一し、後半の理系は冷静で清潔感のある青で統一しました。
私もそうでしたが、多くの循環器内科医の若手医師は、虚血や不整脈の華々しさに憧れ、誰でもが通る道を歩みます。最近では、心エコーや心不全に興味を持つ若手の先生方が増えてきたことを実感します。次は、Aiでしょうか?
それともChatGPTでしょうか? 心臓リハビリテーションは、派手さこそありませんが、循環器疾患全般を支える非常に大きな柱の一つです。心不全の薬物治療においては、Fantastic Fourというキャッチーな言葉とともに4つの薬物治療の重要性が唱えられています。最近、その4つに加えて、心臓リハビリテーションが5本目の柱であるという論文も発表されました。循環器内科の若手医師が誰でもが通る道に、心臓リハビリテーションが常にあり、これは特定の病院だけでなく、全国のどこの研修施設でもそうあるように歩みを止めてはいけません。
『心臓リハビリテーションの新たな魅力を見つけたい!』これまで育てていただいた心臓リハビリテーションの諸先生への感謝とともに、この思いで、今回の書籍を企画、編集してきました。少しでも多くの方にこの書籍が届くことを願っています。
今回は、循環器内科医のみでの執筆をしましたが、またの機会があれば、次回は心臓リハビリテーションに関わる多くの職種のメディカルスタッフの皆さんにもお願いできたらと思います。そして、最新かつ現状の心臓リハビリテーションを伝える書籍は、多くの方に役立つのではないかと考えます。
令和5年4月
聖マリアンナ医科大学 薬理学 木田圭亮
目次
第1章 文系から見た運動療法・心臓リハビリテーション
運動療法×歴史学
①歴史から学ぶ心臓リハビリテーション
はじめに
1950年代まで:半世紀前までの認識
1950年代から1960年代:MI患者への疑問
1960年代から1970年代:心臓リハビリテーションの誕生
1980年代から1990年代:集団型心臓リハビリテーションの確立
2000年代:ライフスタイル、医療、および外科的管理の変化
2010年代:社会変革とデジタル新時代
2020年代:COVID-19パンデミックによる医療体制の変革
最後に
コラム:予防心臓病学
運動療法×社会学
②心臓リハビリテーションの実態とは?
日本の心臓リハビリテーションを取り巻く状況
世界における心臓リハビリテーションの実態
日本における新たな心臓リハビリテーションのエビデンス
令和時代における心臓リハビリテーションの到達点と課題―循環器病対策推進基本計画策定を受けて―
最後に
コラム:社会的孤立:social isolationの健康への影響
運動療法×経済学
③心臓リハビリテーションにおける医療経済とは?
心血管疾患患者における医療経済の背景
心臓リハビリテーションにかかる費用
費用対効果を知るための基礎知識
心臓リハビリテーションの費用対効果
心臓リハビリテーションの両立支援における社会経済効果
最後に
コラム:医療経済学の「Willingness to Pay」とは?
運動療法×心理学
④心臓リハビリテーションにおける行動変容
心理学を用いた行動変容
変容ステージ(Stage of Change)
決断バランス(Decisional Balance)
自己効力感と誘惑(Self-efficacy and Temptation)
変化プロセス(Processes of Change)
最後に
コラム:国民医療費と運動療法
運動療法×教育学
⑤心臓リハビリテーション指導士に求められているものとは?
はじめに
制度設立までの歴史
現在の教育プログラム
リーダーシップ
リーダーとボスの違い
最後に
コラム:チームビルディング
運動療法×哲学
⑥心臓リハビリテーション道とは?
循環器疾患と哲学:そこに介在する相違
最後に
コラム:心不全治療環境の変化
第2章 理系から見た運動療法・心臓リハビリテーション
運動療法×工学
⑦Wassermanの歯車の真髄とは?
はじめに
運動の生理学とCPXの指標
各疾患とCPXの特徴
最後に
コラム:生体のエネルギー通過、ATPに注目!
運動療法×生理学・病態生理学
⑧運動負荷心エコーと心臓リハビリテーション
心不全パンデミックとHFrEF・HFpEF
正常心の運動時の生理学的な反応とHFpEFにおける運動時の病態生理
HFpEFにおける運動負荷心エコーの役割
エルゴメーター以外の負荷心エコーについて
最後に
コラム:HFpEF患者に対する運動療法の効果
運動療法×物理学
⑨右心不全、肺高血圧症における心臓リハビリテーションとは?
肺高血圧症の定義と分類
肺高血圧症におけるCPX
IpC-PHとCpc-PHとは
運動中の肺循環・運動時肺高血圧
運動時肺高血圧の定義
左室拡張障害
運動負荷が有用な疾患・病態
肺高血圧症のリハビリテーション
最後に
コラム:運動中の肺循環の正常について知りましょう
運動療法×予防医学
⑩心臓リハビリテーションで予防は可能か?
文明の発展はヒトの長寿を叶え、新たな疾患をもたらした
運動は何を予防できるか
運動療法はなぜ心不全の予防になるのか
心不全ステージにおける運動の予防効果
現代の高齢心不全患者のほとんどがフレイルである
なかなか運動が継続できないのはなぜか
運動を継続させるにはどうしたら良いか
最後に
コラム:同調性バイアス
運動療法×感染症学
⑪COVID-19による心臓リハビリテーションの影響
未曾有の感染症は人類の生活に大きな変革をもたらした
緊急事態宣言下でも運動を継続したのはどのような人か
パンデミック下で安全に運動療法を行うには
最後に
コラム1:インフルエンザワクチンについて
コラム2:肺炎球菌ワクチンについて
運動療法×脳科学
⑫脳にとっての心臓リハビリテーションとは?
心不全は循環制御システムの不全です
交感神経による循環調節における生理学的洞察
交感神経の脳入出力関係および脳内機序による制御
運動の圧受容器反射に対する効果
運動の脳内交感神経制御システムに対する効果
最後に
コラム:頭部の軽い受動的上下動は交感神経を抑制する可能性
運動療法×薬理学
⑬心臓リハビリテーションにおける薬剤とは?
心臓リハビリテーションにおける薬剤について
リハビリテーション薬剤とは?
薬剤による心不全におけるQOLと運動耐容能の影響について
悪液質に対する薬物療法
循環器系薬剤と転倒との関連について
運動模倣薬(Exercise Mimetics、Exercise Pill)とは?
最後に
コラム:〇〇薬と〇〇剤の違い
運動療法×東洋医学
⑭ヨガ・気功・太極拳は心臓リハビリテーションに役立つのか?
はじめに
運動処方とヨガ・気功・太極拳
ヨガ・気功・太極拳の心疾患患者におけるエビデンス
臨床での実践:米国の心臓リハビリテーションの現状
最後に
コラム:東洋医学と気
運動療法×解剖学
⑮心臓リハビリテーションにおける筋肉とは?
心血管疾患における筋肉とは
心臓リハビリテーションにおける筋肉の多角的評価
骨格筋障害に対する治療戦略:運動療法を中心とした包括的心臓リハビリテーション
最後に
コラム:筋パワートレーニング
運動療法×加齢学
⑯高齢者における心臓リハビリテーションの意義とは?
はじめに
加齢における身体的変化について-サルコペニアとフレイル-
フレイル・サルコペニアをいかに発見し評価するか
高齢者に対する心リハのエビデンス
高齢者における心リハの実際と注意点
最後に
コラム:高齢心疾患患者の人生観について
運動療法×栄養学
⑰心臓リハビリテーションにおける栄養とは?
心血管疾患患者における栄養について
GLIM基準について
心臓リハビリテーションにおける栄養、必要エネルギーについて
運動と食事、栄養補給のタイミング、たんぱく質摂取について
最後に
コラム:時間運動学、時間栄養学とは?
運動療法×時間学
⑱心臓リハビリテーションの新たな時間軸
心臓リハビリテーションにおける時間軸とは?
少子超高齢時代の心臓リハビリテーションにおける新たな時間軸
心臓リハビリテーション活動における2つのシナリオ
病床機能を活用する
地域包括ケアの推進に大切なこと
最後に
コラム:“高齢化”の定義について
運動療法×デジタルヘルス学
⑲心臓リハビリテーションにAI/IoTは活用できるか?
AI/IoTの心血管患者への応用
運動療法とウェアラブルデバイス
運動療法とアプリケーション
運動療法とVR/AR
運動療法とAI
最後に
コラム:Social Robotとは?
運動療法×遠隔医療学
⑳心臓リハビリテーションにおける遠隔医療とは?
心血管疾患患者において遠隔医療が必要となった背景
遠隔心臓リハビリテーションの海外の歴史
遠隔心臓リハビリテーションの日本の歴史
汎用遠隔心臓リハビリテーションプログラムの開発
遠隔心臓リハの問題点
外来型と遠隔型のハイブリッド心臓リハビリテーション
最後に
コラム:遠隔医療学のイノベーションとは?
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書籍情報
- ISBN:9784765319591
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2023年5月
- 電子版発売日:2023年6月7日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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