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- エビデンスから学ぶ! ルーティン上部消化管内視鏡実践ガイド
商品情報
内容
本書は,内視鏡初学者が上部消化管内視鏡ルーティン検査の基本を効率的に学ぶことができるよう,20項目のClinical questionに対して科学的根拠に基づく推奨文と実践のポイントを,さらにビギナーの疑問に指導医が答える形での「Q&A」をまとめた,日本医科大学消化器・肝臓内科オリジナルの内視鏡トレーニングブックです.豊富な写真と多くの文献を掲載!中堅・ベテラン内視鏡医が知識・エビデンスを再確認するときや,内視鏡指導を行うときのテキストとしても最適な1冊.
序文
巻頭言
日本医科大学付属病院消化器・肝臓内科では2022年7月,消化管内視鏡を専門とする医局員が中心となり,専修医が上部消化管内視鏡検査の基本を学ぶための指南書「エビデンスに基づくルーティン上部消化管内視鏡ガイドブック」を作成しました.本書はこのガイドブックをさらにバージョンアップさせたものであり,内視鏡初学者にとって科学的根拠に基づいた上部消化管内視鏡検査を誰でも効率的に学べる内容となっています.また,初学者のみならず中堅,ベテランの内視鏡医にとっても自身の知識を再確認できる内容であり,一読の価値があると思います.さらに,上級医が本書を参考にしつつ指導を行うことで,内視鏡初学者が統一された指導内容を平等に受けることが可能になり,より均てん化された内視鏡診療が患者さんに提供できるのではないかと考えます.
わが国の保険診療制度においては,あらゆる医療現場で効率的な教育システムの体制確立が重要となっています.本書が内視鏡診療における効率的な教育システム構築のための一助となれば望外の喜びであり,内視鏡を始めたばかりの先生方が本書に記載されている内容に従ってトレーニングに励むことで,研修が終了する頃には標準的な内視鏡技術が自然と獲得できていることを大いに期待しております.
最後に,作成委員長として本書の企画からコンセンサス会議の開催,原稿の取りまとめまで尽力した後藤修日本医科大学付属病院内視鏡センター長をはじめ,作成委員および評価委員の先生方,書籍化をご提案くださった株式会社文光堂に謝意を表します.
2023年10月吉日
日本医科大学大学院消化器内科学分野 大学院教授
日本医科大学付属病院消化器・肝臓内科 部長
岩切勝彦
はじめに
本書は,適切なルーティン上部消化管内視鏡検査を行うべく提示された20項目のClinical questionに対して,科学的根拠に基づき系統的な手法により作成された推奨文を編纂した当科オリジナルの「エビデンスに基づくルーティン上部消化管内視鏡ガイドブック」に,内視鏡初学者の疑問に指導医が答える「Q&A」を加えた上部消化管内視鏡トレーニングブックです.
上部消化管内視鏡は,いわゆる「胃カメラ」から端を発し,ファイバースコープを経てビデオスコープへと進化を遂げ,今や上部消化管疾患診療の根幹をなすものとして欠かせないツールとなっています.症状を有する患者さんの診断はもとより,さまざまな良・悪性疾患に対する治療にも広く使用され,近年では胃癌の早期発見を目的とした対策型検診にも活躍の場を広げています.
欧米における上部消化管内視鏡検査と異なり,わが国では特定の臓器や部位のみを観察するのではなく,1回の検査で観察可能な範囲をすべて網羅的に走査するのが一般的です.しかし,その観察法は施設ごとあるいは施行医ごとに異なります.必要な観察および撮影を行って病変を検出し,しかるべき診断が行えればその役割を十分に果たしていると考えられますが,複数の指導医がいる施設においては,特に内視鏡初学者にとってはその指針となる観察法が指導医ごとに異なっている場合,戸惑いを感じることもしばしばであり,効率的な手技の習得を妨げる要因となりかねません.一方で,内視鏡観察は多分に技術的な要素が多く,各々の経験に基づいてストラテジーが構築されていくことも事実ですので,一元的に良し悪しを決定するのも困難です.
そこで,多くの診療現場で参考にされる診療ガイドラインの作成方法に準拠する形で,検索・閲覧可能なエビデンスをもとに上部消化管内視鏡検査におけるルーティン検査法に関する推奨を提示し,臨床的に有用と思われる検査法を効率的に習得・実践するためのガイドブックを作成しました.推奨文は,可能な限りシステマティックにエビデンスを集積し,その内容をベースにコンセンサスの得られた実践的な内容も含めつつ,患者さんへのメリット・デメリットも勘案して検討されました.さらに,一般的なガイドラインに倣い,作成委員と評価委員による無記名投票により推奨度を決定し,読者が推奨度をより繊細に把握できるよう投票結果を各推奨文に掲載しました.
読者の皆様の内視鏡技術向上に,日々の内視鏡診療に,そして内視鏡知識の蓄積に,本書をお役立ていただければ幸いです.なお,本書の前身である「エビデンスに基づくルーティン上部消化管内視鏡ガイドブック」のダイジェスト版が日本医科大学医学会雑誌第19巻2号(2023年4月号)p.178〜190に掲載されていますので,併せて参考にしてください.(日本医科大学医学会雑誌ホームページ https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/index.html)
2023年10月吉日
日本医科大学大学院消化器内科学分野 准教授
日本医科大学付属病院内視鏡センター センター長
後藤 修
目次
Introduction:ルーティン上部消化管内視鏡検査の流れと対応CQ
まずはおさえたい10のクリニカル・クエスチョン
CQ 1 ルーティン内視鏡検査において系統的な観察・撮影は有用か?
CQ 2 ルーティン内視鏡に適切な検査時間は?
Q&A ▶ 検査時間を短くするコツを教えてください.
Q&A ▶ 経鼻内視鏡のメリットとデメリットを教えてください.
CQ 3 スクリーニング時の撮影は何枚が妥当か?
Q&A ▶ きれいな画像を撮影するコツを教えてください.
CQ 4 ルーティン内視鏡検査において鎮静を行うべきか?
Q&A ▶ 初めての検査に怖がっている患者さんにはどのように接したらよいですか?
Q&A ▶ 検査中,患者さんの苦痛が激しい場合,どうしたらよいですか?
Q&A ▶ 前回の検査でつらい思いをした患者さんには,どのように対応するのがよいでしょうか?
Q&A ▶ 鎮静薬を使用したら脱抑制になってしまいました.対処法を教えてください.
CQ 5 観察時に管腔内の洗浄は必須か?
Q&A ▶ 観察中にレンズが汚れてしまいました.どうしたらよいですか?
CQ 6 色素散布(ヨード除く)の適応は?
CQ 7 生検はいつ行うのが望ましいか?
Q&A ▶ 呼吸性変動や心拍動などで,安定した視野が得られない場合の生検のコツを教えてください.
Q&A ▶ 無鎮静で内視鏡検査を行う際,生検に関する説明はいつ,どのように行うのがよいですか?
Q&A ▶ 生検検体の病理診断を依頼する際,病理医に伝えるべき情報を教えてください.
Q&A ▶ 内視鏡像と生検結果の乖離があった場合,どのように対処したらよいでしょうか?
CQ 8 腫瘍性病変(疑いを含む)に対して生検をすべきか?
Q&A ▶ 悪性を疑う病変を生検する際,どの部位を何ヵ所生検すればよいでしょうか?
Q&A ▶ 明らかな進行癌を認めた場合,どのように説明したらよいでしょうか?また,その後の対応はどうすべきでしょうか?
CQ 9 レポート記載の省略はどの程度許容されるか?
Q&A ▶ 次回の内視鏡検査はいつ勧めるのがよいでしょうか?
Q&A ▶ 出血している,もしくは露出血管を伴う潰瘍を認めた場合,どのように対応すべきでしょうか?
Q&A ▶ 内視鏡検査を受けられる環境において,バリウム検査を勧める場面はありますか?
CQ 10 粘膜下腫瘍に対する内視鏡所見の記載はどの程度必要か?
詳しく知りたい10 の部位別クリニカル・クエスチョン
咽頭
CQ 11 口腔〜咽頭の観察は必須か?
CQ 12 咽頭反射が強い場合,口腔〜咽頭の観察は必須か?
Q&A ▶ 苦痛の少ない咽頭通過法を教えてください.
食道
CQ 13 食道にIEE観察は必須か?
CQ 14 ヨード散布の適応は?
Q&A ▶ ヨード染色をきれいに行うテクニックを教えてください.
CQ 15 食道胃接合部の適切な観察法は?
CQ 16 Barrett食道の適切な取り扱いは?
胃
CQ 17 胃の観察時,どの程度送気すべきか?
Q&A ▶ げっぷや食道裂孔ヘルニアの影響で胃がうまく膨らまない場合,どうしたらよいですか?
CQ 18 病変を見落としやすい部位はあるか?
Q&A ▶ 術後胃はどのように観察したらよいですか?
Q&A ▶ 胃内に食物残渣が残っている場合はどうしたらよいですか?
Q&A ▶ 偶然アニサキスが見つかりました.どのように対応するのがよいでしょうか?
CQ 19 萎縮の有無やピロリ菌の感染状況によって観察法を変えるべきか?
Q&A ▶ ピロリ菌除菌後の高齢者に内視鏡サーベイランスを勧めるべきでしょうか?
Q&A ▶ 背景胃粘膜の評価が困難な疾患には何がありますか?
Q&A ▶ 胃の観察でピロリ菌感染を疑った場合,どのように対応するのがよいでしょうか?
十二指腸
CQ 20 十二指腸乳頭の観察は必須か
Q&A ▶ 幽門輪を通過しにくいことがあります.コツはありますか?
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書籍情報
- ISBN:9784830621161
- ページ数:164頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年10月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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