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- 大腸がん検診と大腸内視鏡スクリーニング~確実な大腸がん死亡率減少をめざして
商品情報
内容
本書では,大腸がん検診における便潜血(FIT)陽性者を確実に精密検査へ導く方法と,精密検査・スクリーニングとしての大腸内視鏡の極意を,講演形式の紙面とQ&Aで解説.Q&Aでは「父が大腸癌.自分はどの検査を何歳ころ受ければよい?」「FITは2回のうち1回のみ陽性なら問題なし?」など,受診者から聞かれるような問いにも簡潔・明瞭に解説.内視鏡医のみならず,検診に従事している医師,保健師,スタッフにも役立つ1冊(大腸内視鏡挿入・治療の動画付き).
序文
序文
2015年3月28日,松山市で行われた愛媛県消化器がん検診従事者研修会で胃がん検診についての講演の機会を頂いた.その際,松田一夫先生が,「大腸がんから身を守るために予防と検診に求められるもの~大腸がんで命を落とすのは日本人だけ~」と題して講演され,「日本は大腸がん検診の導入にもかかわらず年齢調整死亡率は諸外国ほど低下しておらず,人口が約3 倍多い米国よりも大腸癌死亡数が多い」との内容は,まさに衝撃の事実であった.
それまで胃癌死撲滅を目指してH. pylori 除菌による一次予防と内視鏡検査,胃がん検診による二次予防の普及に取り組んできた私は,この出会いにより大腸癌死撲滅も目指した大腸がん検診と大腸内視鏡検査による二次検査の普及に取り組むことになった.
そして大学の1 つ先輩でもある松田尚久先生が取り組んでこられた新島研究,大島研究,そして最終的にまとめられたJapan Polyp Study は,大腸内視鏡スクリーニング検査と大腸ポリープ切除による大腸癌一次,二次予防の可能性を改めて考えるきっかけとなった.
本書は,私にとって大腸がん検診,大腸癌予防の師である松田一夫先生,松田尚久先生に,大腸がん検診と大腸内視鏡スクリーニングについての本を作りたい,と相談したことから始まった.本書は大腸がん検診と内視鏡検査に関わる全ての人を対象とし,日本は内視鏡機器,内視鏡技術は世界トップレベルであるにもかかわらず,米国を上回る大腸癌死亡数であり,先進国で最低の75 歳未満年齢調整死亡率である現実を伝え,それはなぜなのか,今後どうするべきかについて,わかりやすく講演を聴講するように気軽に読める本にすることが早い段階で決定した.また,患者や医療従事者からよく聞かれるような質問もとり上げたQ&A のコーナーも設けた.
2022 年10 月に発刊した,『リスク層別化に基づく上部消化管内視鏡スクリーニング』でお世話になった文光堂の黒添勢津子氏には,企画段階からさまざまなサポート,助言を頂きました.そして,大腸がん検診,大腸内視鏡,炎症性腸疾患等の分野で尊敬する多くの先生にご執筆頂きました.
この本の作成に携わって頂いた全ての方々に,心よりお礼申し上げます.本書を手にとって頂いた皆様の日々の大腸がん検診,大腸内視鏡スクリーニングのお役に立てれば幸いです.そして,日本でも確実な大腸癌死亡率減少効果が出ることに役立てれば望外の喜びです.
2024年10月
編者を代表して
間部 克裕
目次
第1章 はじめに-消化管癌でこんなに死亡?消化管癌は予防の時代!
第2章 大腸癌の疫学
第3章 大腸癌もリスク層別化が可能である
第4章 便潜血検査(FIT)の全て
第5章 便潜血検査以外の大腸がん検診
第6章 大腸がん検診(便潜血検査)の二次検査
1.大腸内視鏡検査
2.大腸CT検査(CT colonography)
3.大腸カプセル内視鏡
第7章 大腸内視鏡検診-実現のために
1.総論
2.各論
第8章 安全で苦痛が少ない大腸内視鏡検査
1.対象と前処置
2.大腸内視鏡挿入,観察方法
3.安全で苦痛が少ない大腸内視鏡に必要な周辺機器(機器,CO2,他),薬剤
第9章 大腸内視鏡検査でみつかる所見の診断と対応
1.腫瘍性病変の診断
2.肛門疾患
3.炎症性腸疾患(IBD)
A.総論
B.各論-潰瘍性大腸炎,クローン病
第10章 大腸内視鏡-外来で可能な治療法-コールド・ポリペクトミー,underwater EMR,EMR
索引
Column
・大腸腫瘍,炎症性腸疾患と腹部エコー-実は役立つ腸管エコー“GIUS(ジウス)”
・軸保持短縮法による挿入法と内視鏡機種選択
・内視鏡挿入形状観測装置(UPD)の有用性
・肛門から大腸まで~検査の今昔~
・大腸内視鏡検査・治療における先端フードの有用性
・当院におけるスクリーニング大腸内視鏡検査における鎮静,鎮痛の紹介
Q&A
Q1 大腸がん検診で大腸癌が発見されたら怖いので,受けなくてもよいですか?
Q2 父が大腸癌.自分も心配ですが,どの検査を何歳ごろにうけるとよいですか?
Q3 大腸内視鏡検査前に事前に確認すべき問診内容は?
Q4 便潜血検査が2回のうち1回のみ陽性なら問題ありませんか?
Q5 便潜血陽性のため再度便潜血検査を行ったところ陰性でした.安心してもよいでしょうか?
Q6 便潜血が陽性となりましたが,昨年も陽性だったため大腸内視鏡検査を受けて問題なしでした.再度内視鏡検査を受けなくても問題ないでしょうか?
Q7 便潜血検査陽性の結果が送られてきました.どこに行ってどうすればよいですか?
Q8 大腸ポリープがあった場合,大腸内視鏡は毎年しなければならないでしょうか?
Q9 胃がん検診のように最初から大腸内視鏡で検診を行うことは可能ですか? 検討されていますか?
Q10 大腸内視鏡の際に飲む腸管洗浄剤は1種類だけですか?
Q11 大腸内視鏡は何歳まで行うべきですか?
Q12 大腸内視鏡の適切な抜去時間は?
Q13 大腸憩室多発例に対する注意事項は?
Q14 癒着など挿入困難が予測されるのはどんな時?その場合の対応は?
Q15 大腸内視鏡でポリープが発見されたら,どうするべきですか?
Q16 大腸内視鏡は拡大内視鏡が必要ですか?
Q17 便潜血陽性:痔があるための陽性だから問題ないですか?
Q18 潰瘍性大腸炎で通院中ですが,便潜血による大腸がん検診は受けるべきですか?
Q19 大腸ポリープは検査当日に日帰りで切除可能ですか?
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書籍情報
- ISBN:9784830621208
- ページ数:168頁
- 書籍発行日:2024年10月
- 電子版発売日:2024年10月23日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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