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- 形成外科診療プラクティス 顔面骨骨折の治療の実際
商品情報
内容
手術結果が患者にも明らかで,よりよい治療法がますます求められている顔面骨骨折について,第一線で活躍中の執筆陣が,手術のポイントとコツを丁寧に解説.症例写真,図表,自己の経験に基づくアドバイスが豊富で.実践的でわかりやすい内容.顔面骨骨折の最新の治療情報も十分に学べる形成外科医・外科医・皮膚科医必携の1冊.
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序文
企画にあたって
顔面骨骨折治療は最近の数十年間で頭蓋顔面外科学の発展に伴う各種アプローチの開発,CTやMRIなどの診断器機の普及,骨固定用ミニプレートや吸収性プレートの進歩,内視鏡手術や骨延長法など多くの新技術の導入と多くの経験によって飛躍的に進歩しました. しかし, 個々の症例によって骨折の様態は千差万別であり,最新の技術をもってしても今なおすべての顔面骨骨折が正しく治療されているとはいえず,中には不幸にして,陳旧性顔面骨骨折として顔面変形や咬合異常などの様々な機能障害の修正を必要とする患者が少なからず存在しています.また,顔面骨骨折には軟部組織損傷,骨の粉砕や欠損,歯牙の脱落や眼球損傷などが合併している場合も稀ではなく,完全に受傷前の状態に戻すことが困難である場合も少なくありません.しかし,外傷では受傷前の形態と機能へ戻すという治療のゴールは明確であり,特に顔面骨骨折では治療の成否は患者の目にも明らかとなります.顔面ではしばしば陳旧性骨折に矯正骨切り術が行われますが,これは顔面骨骨折後の特に形態が患者に厳しく判定されることを物語っています.そこで,不満足の治療結果をいかに回避し,安全で低侵襲により良い治療結果,つまり正しい整復と固定を獲得できるかが問われています.
ここでは,顔面骨骨折の治療に限定して,それぞれの分野で御活躍の先生に各骨折の特定のテーマに関してご執筆をお願い致しました.各骨折ではまず総説で治療の概要を述べて頂き,各テーマは主に筆者自身が行っている治療法について詳細を述べて頂きました.したがって,テーマによっては古典的な技術や方法も含まれますが,筆者独自の方法もあります.また,いくつかのテーマ間には相反する意見があり,さらに,方法自体に対する評価が定まっていないものも含まれていることをよくご承知頂きたいと考えます.
患者はより簡便で低侵襲,術後の負担が少なく,最終的には満足すべき治療結果が安定して得られる方法を求めています.新しい治療法には利点だけでなくまだ経験されていない欠点の可能性も念頭に置くべきかと考えますが,この書が今後の顔面骨骨折治療の進歩に僅かでも貢献できれば幸いに思います.
2010年春
長崎大学教授 平野明喜
目次
I.総論
1.基本的な臨床診断の手順と方法
2.顔面骨骨折に対する固定用プレートの有用性と限界
【ミニレクチャー】プレート・スクリューによる骨接合法
3.顔面骨骨折における内視鏡の応用と限界
4.術中CT,3D-CT撮影の顔面骨骨折手術への応用
5.顔面骨骨折に対するナビゲーション支援手術の経験
6.顔面骨骨折での最近の画像診断の進め方
7.再建材料についての比較検討(自家組織,人工材料)
8.下顎骨骨折を伴うpanfacial fracture における固定の手順
9.多発顔面骨骨折における固定と骨移植
II.各論
A.前頭
《イントロダクション》前頭の治療計画(総論)
1.前頭骨骨折における鼻前頭管の処置,前頭洞の処置
2.眼窩上壁骨折・ブローイン骨折の治療
3.前頭骨・前頭洞骨折の治療戦略
4.前頭蓋底骨折の修復
5.リン酸カルシウムペーストによる頭蓋顎顔面領域の再建
B.眼窩
《イントロダクション》眼窩の治療計画:顔面骨骨折の診断と治療
1.経結膜アプローチのコツ
2.眼窩壁への経皮アプローチ:睫毛下切開と内眼角切開のコツ
3.missing rectus syndrome(筋絞扼を伴う眼窩底線状骨折)の治療
4.眼窩骨折 内視鏡補助下整復術
5.保存的療法の適応と限界
6.眼窩骨折にみられる視力・視機能障害と治療の選択
7.陳旧性ブローアウト骨折はどこまで治るか
8.陳旧性眼窩壁骨折による眼球陥没治療(軟骨移植)
9.下直筋牽引法による眼窩床骨折手術
10.陳旧性眼窩壁骨折による眼球陥没治療のコツ
C.鼻篩骨
《イントロダクション》鼻篩骨の治療計画
1.鼻篩骨骨折に伴う内眼角変形の修正
2.中顔面粉砕骨折における一期的骨移植
3.REDシステムを用いた鼻骨─篩骨合併骨折の治療経験
4.涙囊鼻腔吻合術
D.鼻骨
《イントロダクション》鼻骨の治療計画:鼻骨骨折整復の麻酔法と整復の実際
1.鼻骨骨折整復後の固定法:鼻腔内パッキング,外固定,および鼻腔内スプリント
2.鼻骨骨折時の鼻中隔の処置
3.小指による鼻骨骨折整復術
4.スポーツ選手の顔面骨骨折後のフェイスガードについて
5.外傷性鞍鼻の治療:鼻骨骨切りと骨移植
6.外傷性斜鼻・広鼻の治療
E.頬骨
《イントロダクション》頬骨の治療計画(総論):頬骨骨折の各種整復法と評価法 新鮮骨折
1.内視鏡補助下頬骨骨折整復
2.頬骨骨折整復時の眼窩壁再建の要否と方法
3.頬骨弓骨折の整復,骨固定の是非
4.頬骨骨折の固定法について
5.眼窩下神経麻痺の治療:眼窩下神経管および神経孔の開放術
6.頬骨骨折変形の治療:頬骨骨切り
F.上顎
《イントロダクション》上顎の治療計画(総論)
1.顎骨骨折・歯槽骨骨折の矯正歯科マルチブラケットによる整復固定
2.頬骨上顎骨複合骨折時に生じる頬骨弓幅の修復方法
3.上顎骨骨折における上顎高の設定
4.上顎骨骨折でのハロー型骨延長器の応用
5.Le Fort Ⅲ型骨折における蝶頬骨縫合固定の有用性
6.陳旧性上顎骨骨折の治療
G.下顎
《イントロダクション》下顎の治療計画(総論):下顎骨骨折治療のポイント
1.下顎骨骨折 第3骨片の処置
2.無歯顎の骨折治療
3.下顎関節突起骨折における保存的治療
4.下顎関節突起骨折に対するアキュトラックスクリュー(圧迫調整固定用スクリュー)の使用経験
5.下顎粉砕開放骨折に対する創外固定の経験
6.歯槽骨スクリューによる顎間固定法の経験
7.下顎骨関節突起骨折の観血的治療のコツ
8.下顎骨関節突起骨折の新しい治療法:内固定型骨延長器を用いた動的牽引療法
9.陳旧性下顎骨骨折の治療
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書籍情報
- ISBN:9784830626326
- ページ数:324頁
- 書籍発行日:2010年3月
- 電子版発売日:2022年10月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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