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- 考える理学療法 [内部障害編]評価から治療手技の選択
商品情報
内容
内部障害系理学療法を行う過程で患者の呈する症状と徴候を的確に捉え,臨機応変に対処し,clinical reasoningを重視した評価から治療への橋渡し的な考えかたを症例を通して提示する.総論で内部障害を理解するための基礎的な知識を再確認し,理学療法実践に必要な知識を概説する.各論では,日頃,理学療法士が遭遇しやすい内部障害の症状と徴候を挙げ,評価項目選択の意義と臨床場面で実際にあったケースを基に選択した治療について提示した.
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序文
序文
近年,内部(機能)障害に対する理学療法への関心が急速に高まってきている.これまで理学療法分野では,目にみえる肢体不自由が理学療法の中心的関心事であったことは否定できない.日本では1990年代以降に広まった早期離床や寝たきり予防も,立てる,歩けるといった基本動作や筋力低下などの筋骨格系の廃用症候群に関心の中心があった.しかし,ヒトの動作や活動は,筋骨格系やそれらを制御する脳神経系だけでは成り立たず,酸素や栄養素を供給する系(呼吸器系,循環器系,代謝系など)が調和よく適切に機能することが必要である.1950年代に米国で普及した早期離床(earlymobilization)の実践は,呼吸機能や循環機能の管理が基盤であったことはあまり知られていない.
特に昨今は,実際に高齢社会に直面し,理学療法の風向きがかわってきたように感じる.臨床現場での障害像は多様化し,重複障害を認める対象者も少なくないのが現状である.臨床の理学療法士は,対象者の骨関節や筋肉の働き,さらにはそれを制御する脳神経系の働きばかりに気をとられていたのでは,理学療法自体が効果的に実践できないことを気づきはじめている.ヒトのからだを,上肢,下肢,体幹,運動器,脳神経系といったパーツパーツでとらえるのではなく,システムとして全体をとらえることの重要性(必然性)を実感してきている.
内部障害分野には,日本心臓リハビリテーション学会の心臓リハビリテーション指導士,3学会(日本胸部外科学会,日本呼吸器学会,日本麻酔科学会)合同呼吸療法認定士,日本糖尿病療養指導士認定機構(日本糖尿病学会 他2学会)の糖尿病療養指導士といった認定資格が存在する.この認定資格の意味するところは,多職種間の相互理解を深め,わが国の医療法で定められているそれぞれの医療職の業務に則って,それぞれの専門業務を行い,対象者に最高の治療,指導などを行うことを基本理念にしている.つまり,現代社会における医療の臨床実践は,単なる「理学療法一辺倒」を求めているのではなく,他職種の領域を含む幅広い知識の上に立った,高い専門技術の臨床実践を求めている.
これらの社会的要請や臨床現場の現状を踏まえて,この本は企画され,臨床の第一線のエキスパートにご執筆いただき,発行に至ることができた.編者らが考える臨床での何気ない疑問,他の専門職とのコミュニケーションの中で必要と思われる医学的知識,そして目の前の患者に対して即実践できるようなエキスパートの臨床的推論(クリニカル・リーズニング)を,執筆者各位にコンパクトにまとめていただいた.この本が臨床家の小さいがとても大切な疑問の解消につながり,内部障害に対する理学療法の発展,さらには,理学療法士自身の内部障害に対する意識改革のために多くの理学療法士に利用いただければ編者の望外の幸いである.
2008年12月
編者一同
目次
総論
1.内部障害ってどんな障害?─定義と種類,そしてリハビリテーションエビデンスまで
2.何歳になっても運動は必要?─虚弱高齢者に対する理学療法
3.医療・介護分野から保健分野へ─理学療法とヘルスプロモーション
4.からだの叫びが聞こえる─バイタルサインから何がわかるか?
5.肺のお天気情報─胸部X線写真のみかた
6.耳を澄まして聴いてみよう─心音と呼吸音
7.息切れの正体みたり!─呼吸困難の症状評価と対処法
各論[呼吸]
8.胸郭がかたくて何が悪いのか?─COPDの理学療法
9.血液ガスを読むということは?─動脈血液ガスの基本と臨床応用
10.肺を切っても大丈夫なのか?─胸部外科手術の理学療法
11.胸を押したら何がどうかわるの?─日本独特の手技の世界
12.子どもの呼吸をどう助けるか?─小児に対する呼吸理学療法
13.苦しくても運動をすべきなのか?─呼吸器疾患に対する運動療法
14.姿勢をかえると呼吸が苦しい─重力が及ぼす呼吸への影響
各論[循環]
15.冠動脈治療はどこまで進歩したか?─虚血性心疾患についての最新の治療と実際
16.心臓が弱い=心不全?─心不全の理学療法-評価から再発予防まで
17.足が冷たい,歩くと足が痛い─末梢動脈閉塞症の理学療法
18.大動脈が裂けるとは?(保存療法を中心に)─大動脈解離の理学療法-評価から再発予防まで
19.心臓を手術したのに運動させても大丈夫なのか?─心臓外科手術の理学療法-評価から再発予防まで
20.心臓の動きを読み取ろう─理学療法士として知っておくべき心電図の基礎知識
21.心臓病なので運動しない? 心臓病だからこそ運動する?─心疾患に対する運動療法
22.からだを動かすとからだの中では何が起きるのか?─運動時の身体反応と運動負荷試験
23.子どもの心臓病にどう対応するか?─小児に対する理学療法の適応
24.無症状だからこそ気にかける─糖尿病合併症と理学療法
25.一滴の血液からみえるもの─血糖コントロールの意味
26.血糖だけが相手じゃない─糖尿病に対する運動療法
27.不思議なそら豆─水はけだけが問題ではない
28.透析しているのに運動してもよいか─透析患者に対する理学療法
29.言うは易く,行うは難し─糖尿病治療の根幹
30.中身が問題.…ただの脂だと思っていたら…─メタボリックシンドローム 病態の原因・評価・治療(全体像)と理学療法士の役割
31.飽食? 崩食? その彼方にあるもの─高脂血症
32.男と女,何がどう違う?─女性の身体に起こっていること
33.造血器のがん─命の尊厳と人の可能性
ワンポイントアドバイス
1.吸引
2.呼吸器疾患と栄養障害
3.人工呼吸,NPPV
4.在宅酸素療法(HOT)
5.薬物の運動への影響
6.睡眠時無呼吸症候群(SAS)
7.心疾患と栄養障害
8.緊急患者への対応(BLS,AED)
9.呼吸と腹横筋
10.インセンティブ・スパイロメトリー
11.運動しすぎはなぜ悪いのか?(血管,心臓,筋)
12.フットケア~靴の処方と指導~
13.低血糖の管理
14.2次性糖尿病
15.1型糖尿病(小児・思春期)へのサポート
16.糖尿病と患者心理
17.糖尿病療養指導
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書籍情報
- ISBN:9784830643484
- ページ数:506頁
- 書籍発行日:2008年12月
- 電子版発売日:2022年7月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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