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- PT・OT・STのための 気道吸引実践マニュアル
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序文
序
2010年4月に出された厚生労働省医政局通知により,リハビリテーション関連職種の気道吸引が業務の一部として実施可能になった.通知の中には,「養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた理学療法士等が実施すること」と記されているが,そのような教育や研修はまだ十分とは言えず,成書も少ない.
PT・OT・ST,おのおのの職種が気道吸引を実施するに当たっては,どの職種であっても気道の解剖・生理・病理(基礎医学)や呼吸に関する生理学・運動学,呼吸苦に対するアセスメントと対処(呼吸リハビリテーション)といった基本的知識と技術を習得していることが必須となる.しかし,現状では職種間に差があって,こうした教育がなされているのは主に理学療法分野で,作業療法分野や言語聴覚分野では呼吸苦自体を治療対象として教育することはほとんどない.そのためOT・STの有資格者が各養成施設で気道吸引を学ぶ環境は整っておらず,気道吸引実技研修を受けて実施者になっている場合が多い.
一方,対象者への気道吸引は,「呼吸器疾患などによる痰の吸引」だけではなく「誤嚥による異物の吸引」も含まれるが,嚥下についての理解も職種により差がある.嚥下に対する理解や養成課程での教育はOT・STと比較すると,反対に,PTでは十分とは言えず,痰の吸引とは全く逆の状況が生じてしまっている.このような現状から,リハビリテーション専門職が吸引に関する共通意識を持ち,職種による技術格差を減らし,均質化された吸引技術を提供できることの一助となるべく本書の刊行に至った.本書ではただ「気道吸引」の手技を学ぶのではなく,最初から最後まで統一したケースを用いて,患者さんが抱える問題を解決するための1つの手段として吸引技術を学ぶ形式をとっている.具体的には,気道吸引に至るまでの基礎医学・臨床医学,嚥下に関する知識,医学的情報の解釈方法やアセスメント方法,呼吸リハビリテーションの基本的内容まで盛り込んでいる.このことが「気道吸引実践マニュアル」としている所以である.
「気道吸引」だけではない総合的な技術を学ぶことで,患者さんが抱える問題を解決し,よりよいリハビリテーションのための一助となれば,望外の喜びである.
2013 年11 月
中村康彦
目次
Chapter1 ケース紹介と問題解決のための道筋
―気道吸引は「最終手段」― 高島 恵
1)ケース紹介
2)治療を実施するうえで考えるべきポイント
3)吸引する前に押さえてほしいポイント
4)おわりに
Chapter2 対象者の評価①
―医学的所見の読み取り― 唐澤 剛
1)酸素運搬能の評価:酸素運搬の仕組み
2)血液ガスの解釈
3)酸塩基平衡
4)データの解釈
Chapter3 対象者の評価②
―フィジカルアセスメント― 唐澤 剛
1)体表解剖
2)評価の実際
3)フィジカルアセスメントの解釈
Chapter4 呼吸苦軽減のためのアプローチ
―基本的呼吸療法― 白石和也
1)呼吸リハビリテーションの目的
2)各アプローチにおけるリスク管理
3)ポジショニング
4)呼吸補助筋マッサージ・ストレッチ
5)呼吸介助(上部胸郭・下部胸郭)
6)胸郭可動域運動
(シルベスター法・肋骨捻転運動・背部伸展運動・肋間筋ストレッチ)
7)呼吸運動(横隔膜呼吸・口すぼめ呼吸)
8)排痰の理論と排痰法
9)体位変換,体位ドレナージ
10)スクイージング
11)咳,ハフィング,自動周期呼吸法
12)症例に対する呼吸リハビリテーション
Chapter5 気道吸引実施のための基礎知識 小林亜紀・高島 恵
1)吸引関連物品
2)吸引目的・適応と注意点
3)標準予防策(スタンダードプレコーション)
4)事前準備およびリスク管理
Chapter6 気道吸引実施方法
―口腔・鼻腔・人工気道― 小林亜紀・高島 恵
1)手順1 口腔・鼻腔の吸引
2)手順2 人工気道の吸引
3)チェックリスト
Chapter7 気道吸引に必要な基礎医学と臨床医学 髙橋一樹
1)基礎医学
2)臨床医学
3)ケースの検討
Chapter8 正常な嚥下と誤嚥 廣瀬裕介
1)死亡率と誤嚥の関係
2)正常嚥下
3)嚥下障害について
4)嚥下の診断
5)嚥下リハビリテーションでの吸引の実際
6)吸引の限界
7)誤嚥などによる窒息の対処方法
Chapter9 まとめ
―問題解決できましたか?― 高島 恵
1)処方箋および医学的情報
2)評価
3)治療実施中
4)おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784830643989
- ページ数:100頁
- 書籍発行日:2013年12月
- 電子版発売日:2021年6月9日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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