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- 脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング
商品情報
内容
脳卒中患者に対する課題指向型トレーニングについては,既に国際的にその有効性が検証されており,近年,本邦でも導入されつつある.本書はその手引き書(トレーニングガイド)として本邦では初めて刊行されるもので,将来の脳卒中リハビリテーションの方向性を示す指針となり得るものである.『脳卒中に対する標準的理学療法介入』(2007年刊行)に続く,新しい概念に基づく脳卒中リハビリテーションの治療モデルの実践書.
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序文
序文
─中枢神経疾患に対する運動療法の過去・現在・未来─
1.中枢神経疾患の運動療法モデルの変遷
はじめに,脳卒中を代表とする中枢神経疾患に対する運動療法モデルの歴史的変遷について概観してみたい.
1940年から1960年代にかけて筋生理学や反射・階層理論に基づいた『muscle reeducation(筋再教育)』が,次いで1970〜1980年にかけては,それまでの反射・階層理論に加えて,当時の神経生理学の知見を背景とした『neuromuscular facilitation(神経筋促通手技)』が主流であったのに対し,1990年代にはシステム論や生態論を背景理論とした『課題指向型アプローチ(task-oriented approach)』がとって代わることとなった1) .反射・階層理論に基づく神経筋促通アプローチでは,中枢神経系のより低いレベルで制御されている反射を抑制し統合することで,より機能的な姿勢応答と随意的運動応答を可能にしているとされる.そして,機能的スキルを目指した運動制御の再トレーニングでは,運動課題の実行中にみられるさまざまな反射の効果を強めたり,弱めたりすることに焦点が絞られることになる.
これに対し,課題指向型アプローチは,従来の神経生理学的知見に加えて,運動制御におけるシステムモデル(ダイナミカル・システムズ理論;dynamical systems theory)と技能獲得に関連した運動学習を背景理論としている.このダイナミカル・システムズ理論では,『正常な運動は制御が異なる状況にそれぞれが寄与する異なる多システム間の相互作用として出現し,運動は行動目標を中心として組織化される』と考える2) .そして,運動に寄与する種々の要素の組織化もまた,種々の環境状況によって決定される.課題指向型アプローチでは,従来の神経筋促通アプローチなどのような具体的な操作方法などに関する内容は少なく,専ら治療概念(考え方)が中心となっている.そして,より日常の具体的な機能的運動課題の獲得に治療目標を置いている点が特徴である.
従来の階層理論に基づく治療アプローチでは,大脳皮質が正常に機能しない限り,正常な運動や機能的な運動は起こりえないという階層理論の仮説に基づいている.すなわち,脳の制御する正常運動パターンの獲得によってのみ機能的運動が達成されると考える.しかし,現実には正常運動パターンを再獲得することは困難な場合が多く,患者は課題遂行のために必要に応じてさまざまな代償運動(異常な運動制御に基づいた運動)を自ら開発して行うようになる.ただし,患者が行っている代償運動の方法が常に適切であるとは限らない.したがって,代償運動の効率を高めたり,代償方法を改善したりすることも介入の目標となる2,3) .こうした代償運動に対する独自の考え方は,課題指向型アプローチの特徴の1つといえる.
さらに,患者の運動行動が正常から逸脱した(異常な)運動制御に基づくものである以上,課題遂行にあたって,正常な運動パターンや運動戦略に基づいたトレーニングを行うことが唯一正しい方法ということにはならない.そして,運動療法を実施するにあたって,脳卒中患者における運動制御の異常を,「脳損傷によって(直接)生じた異常な運動パターン」と「運動パターンの適応的変化」とに区別する必要がある4) .すなわち,観察された運動パターンが脳損傷によって起こったものか,あるいは,すでにある運動制御の異常を補い,適応するために脳が学習したものか,明らかにしなければならない.そして,脳損傷によって出現した運動パターンに対しては,その異常を修正するための運動学習を促す方法を検討すべきである.
以上のように,中枢神経疾患に対する運動療法は,その時代の社会的要求や背景となる基礎理論によって,大きな転換が図られてきたといえる.
2.米国における中枢神経疾患の運動療法に対する取り組み(パラダイムの転換)
中枢神経疾患に対する運動療法の理論と実践を結びつけようとする取り組みは,米国理学療法協会が中心となって過去3回にわたって開催されてきたSTEP conference(NUSTEP, IISTEP, IIISTEP)に象徴される(第1回開催のNUSTEP は1966年7月にイリノイ州で開催された).特に,IISTEP conference(1990年7月にイリノイ州で開催)では,神経科学における反射・階層理論からシステム理論と学習理論へのパラダイムの転換(paradigm shift)が行われた.新しいパラダイムの概念は,『人間をオープンな全体システムとして捉え,具体的な目的の下で環境との相互作用によって各システムが働き,学習によってシステム全体が変容する』というものである.具体的には,システムモデルおよび運動学習を背景理論とした課題指向型アプローチが提案され,課題目標を達成するための能力の向上,パフォーマンス依拠型評価が重視されるようになった.そして,NUSTEP conferenceでは中心的な概念として依拠してきた反射階層性はサブシステムの1つとして位置づけられることになったのである1) .その結果,中枢神経疾患に対する運動療法の目標が,機能獲得や課題遂行能力ということに置かれるようになった.これ以降,運動療法の介入手段の多様化が容認され,Carr and Shepherd やAfolter による運動学習理論を基盤とする介入方法が提案された.IISTEP conferenceにおけるもう1つのパラダイムは,『エビデンスの重視』であった.
近年,わが国でも理学療法の科学性やエビデンスに基づいた理学療法実践ということが強調されるようになったが,米国では25年も前にすでに取り組みが始まっていたのである.この『エビデンスの重視』というパラダイムは,IIISTEP conferenceでも継承されることとなった.2005年7月にユタ州で開催されたIIISTEP conferenceでは,基礎研究と臨床研究との間で研究知見に関する情報交換を行うことで,運動療法の実践を研究成果と結びつけること,すなわち,科学的基盤に立脚した運動療法の実践を表明することが大きなテーマとなっていた.同時に,人間をトータルなオープンシステムとして捉えた,新たな臨床実践モデルを提案することであった.前者は,神経可塑性と運動技能獲得の方法に関連するエビデンスの提示であり,後者は,ICFモデルとNagiモデルを考慮した「神経リハビリテーションのトップダウンモデル(top-down model of neurologic rehabilitation)」の提案である5.6) .Sullivanは,IIISTEP conferenceにおける神経理学療法に関する主要なメッセージを表のように掲げている7) .
わが国における中枢神経疾患の運動療法に関する教育や臨床実践は,この米国におけるSTEP conferenceの変遷に少なからず影響を受けている.ただ,残念なことに,わが国の神経理学療法はSTEP conferenceの成果を後追いした形で発展しており,しかも10年以上も遅れをとっているというのが実情である.
注)STEPはSpecial Therapeutic Exercise Projectの略である.
3.課題指向型アプローチの考え方
前述したように,課題指向型アプローチは,IISTEP conference以降の新しい概念に基づく介入方法である.課題指向型アプローチは,Shumway-CookとWoolacottおよびCarrとShepherdによって提唱されている.CarrとShepherdらが提唱する理学療法モデル3) は,Shumway-CookとWoolacottらが提唱した課題指向型アプローチとは厳密には異なるが,技能獲得に関する心理学的諸理論を基に,このダイナミカル・システムズ理論を取り入れて構成されている.このアプローチの特色は,日常生活における困難な機能的運動課題に固有の問題の解決を試み,多様な環境に適応し,目標となる運動課題を達成するためのさまざまな方法を習得するところにある.
表 IIISTEP からのメッセージトップ10
■概念モデル
1.患者個人のニーズに対する理学療法介入を概念化するモデルとしてのICF の利用
2.神経科学で確認されている神経可塑性の原理を神経リハビリテーションに応用することの重要性
■実践への影響
3.神経リハビリテーションにおける適切な介入の重要性の決定
4.実用的なパラメータの定義:課題の選択(特異性,患者の好み,能力など),量(頻度,強度,期間),実践の条件(フィードバック,スケジュール,動機づけ,強化)
5.適切なアウトカム指標(ケアの正当性,費用の償還など)と実用的なアウトカム(費用と時間の効果)の重要性
■科学と技術の実践への移転
6.基礎科学の臨床実践への適切な移転
7.神経リハビリテーションにおける関連用語の適切な使用(可塑性,適応,回復,代償,トレーニング)
8.神経リハビリテーションと神経科学における可能性や機会の拡大のための技術進歩の利用
9.患者や産業,その他の専門家との学際的連携の促進
10.ゲノムや他の新しい操作技術(薬理学,幹細胞生物学など)が身体的介入に及ぼす影響 (文献7)より引用)
この課題指向型アプローチが脚光を浴びるようになった大きな理由は,近年の神経科学や脳イメージング研究によって,数多くの動物実験やヒトを対象とした臨床研究が行われ,それらの研究成果に基づく脳の可塑性や再組織化に関する多くの知見に支えられてきたことによる.脳科学や神経科学(ニューロサイエンス)の発展によって,運動課題の意味や運動環境(背景),運動量,課題の難易度の設定などが,脳の可塑的変化にどのように影響しているか明らかにされてきたのである(詳細は2章を参照のこと).
本書の書名に敢えて『課題指向型アプローチ』という用語を用いなかった理由は,このアプローチが必ずしも体系化されたものではなく,治療概念がその中心となっているためである.より実践的で具体的な内容を表す『トレーニング』を用いることで,概念をより理解しやすくすることがねらいである.
本書では,課題指向型トレーニングとは,『ヒトの行為の状況や環境を考慮し,行動目標を明確にしたうえで,多様な文脈の中で(機能的運動)課題を設定し,さらには難易度を調整しながら反復練習することによって,運動パフォーマンスの改善に導く方法』と定義しておくことにする.
課題指向型トレーニングという用語は,英語の『task-oriented training』の邦訳であるが,『task-specific training』という英語表記もあり,日本語の表記でも『課題特異的トレーング』という別の呼び名がある.現在ではtask-specific trainingは,task-oriented training とrepetitive trainingが組み合わさったものであるとされている.なお,実際には,repetitive task-specific trainingというように使われることが多い.
task-oriented training は『技術(一貫性・柔軟性・効率性)を獲得,再獲得する意図を持って,実生活で行う機能的運動課題(例:ベッドから起きて,歩いて電話に出る)についてトレーニングすることである』とされている4) .その課題は挑戦的(困難であるが取り組み甲斐のあるもの)(challenging)であり,漸次,難易度が調整され,能動的なかかわりを伴うものである.対照的に,repetitive training は多くの場合,課題が複数の要素に分割された状況で行われ,そしていったんそれぞれの要素が学習されたら,全体の課題に再度組み立てられるものである.すなわち,全体法に対する部分法に相当する.task-oriented trainingが包括的で,実動作を含むという点でトップダウンアプローチであるのに対して,taskspecific training(repetitive training)は,通常,ボトムアップアプローチであり,技能を獲得するという最終的な目標は失われている.
そして,機能的トレーニングとは,実生活の諸活動に結びつかない練習をしたり,促通したりすることではなく,患者にとって意味のある実際の日常生活活動を再学習することである.すなわち,患者が特定の運動課題を意識して練習すること,それに課題を学習し技術を獲得できるように練習をより自動的(無意識下)に行える水準まで高めることである7.8) .その際,前述したように,機能的運動課題をいくつかの要素(部分)に分類し,要素ごとにトレーニングを行って,各要素(部分)を確実に達成したうえで,全体の運動課題をトレーニングするのが,運動学習の原則に則った習得方法といえる.
4.トレーニングにおける課題特異性
課題指向型トレーニングでは,トレーニング時の課題特異性について十分考慮することが求められる.例えば,バランスを含む姿勢調節は,課題(目標物に手を伸ばすこと,立ち上がること,部屋を歩くこと)と背景(身体の位置,環境の特性)に特異的である.課題や条件がわずかに変化しても,筋活動のパターンに著しい変化を生ずることになる.そして,この課題特異性は,ある課題によるバランストレーニングから別のバランストレーニングへ転移する可能性に欠けている.すなわち,立位における側方(一側の下肢)へ体重移動を改善させるトレーニングによって,必ずしも歩行の安定性が改善されるわけではない.したがって,達成すべき運動課題に対してトレーニングにおける課題特異的効果の存在を常に考慮することが必要である.
また,課題指向型トレーニングでは,運動スキルを獲得する際の「戦略」が重視される.しかし,患者が身につけるべき唯一正しい戦略というものはない.大事なことは,画一的な対応ではなく,患者の機能状態に適合した最適な戦略を指導することである.
ある課題に対する運動技能の最適化を図るには,必要に応じて,再トレーニング戦略(回復と代償)を利用した集中的な練習を実施することが肝要である.神経学的障害を有する患者にとって移動スキルを再トレーニングする際の目標は,感覚と運動の戦略を体得するように患者を支援することであり,機能障害があっても運動課題の要求を効果的に満たすことである.患者は課題の要求,ならびに現在の機能障害によって制約された状況で,可能なことと不可能なことの境界を学習する.短期および長期の治療目標は,1つの運動課題に向けられた複数の解決策がもつ重要性が反映されるように設定する.
5.課題指向型トレーニングのエビデンス
課題指向型トレーニングの有効性については,これまで数多くの研究報告が行われている(詳細は2章を参照のこと).特に,麻痺側上肢に対するCI therapy(非麻痺側上肢の制限療法,すなわち,麻痺側上肢の強制的な反復使用による治療法)と体重免荷トレッドミル歩行トレーニング(BWSTT)の有効性ついては,推奨グレードならびにエビデンスレベルも高い.
Langhorneら(2009)は,障害の評価からリハビリテーション(以下,リハ)目標の設定,介入,最終的な回復の程度に関する再評価を取り上げ,過去20年間の脳卒中患者に対するリハの進歩について概説している8) .その中で,「ヒトの脳において,障害の種類に焦点を合わせた治療法が実際に神経学的修復を促進するか否かについて明らかにしたエビデンスは不足している.これに対し,課題指向型トレーニングが自然なパターンでの機能回復に有用であることについては,強力なエビデンスが得られている.」と述べている.さらに,「CI therapy(非麻痺側上肢の制限療法,すなわち,麻痺側上肢の強制的な反復使用による治療法)とRobotics(ロボット支援リハ療法,すなわち,ロボットを用いて上肢巧緻動作の反復練習を支援する方法)は,上肢の運動機能回復にとって有益な治療法となる可能性をもつと考えられる.歩行能力の改善には,フィットネストレーニングや高強度の運動療法,反復課題トレーニングの有効性がいずれも高い.」と指摘している.
課題指向型トレーニングは,上述のようにまだ限定的ではあるものの,徐々にその有効性が明らかにされてきている.現在,欧米諸国における脳卒中リハガイドラインには,課題指向型(特異的)トレーニングが推奨されている9-11) .国際的に承認された課題指向型トレーニングは,科学的基盤に立脚したcontemporaryな治療的介入の1つであり,将来的にも,さらなる進歩が期待される.
6.ニューロリハビリテーションにおける課題指向型トレーニング
従来のリハでは,脳傷害によっていったん失われた運動機能は元に戻らないことを前提としてきたため,残存機能による代償手段の獲得をめざすこと(その典型的な例として,『利き手交換』があげられる)が治療の主体とされてきた.しかし,ニューロサイエンスに関する基礎研究の成果やニューロイメージングの進歩によって,中枢神経の可塑的変化や神経ネットワークの再構築により回復することが明らかにされるようになり,脳傷害に対するリハは大きく変わりつつある.
『ニューロリハビリテーション(以下,ニューロリハ)』ということばが,広く認識されるようになったのは比較的最近のことである.ニューロリハとは,ニューロサイエンスを基盤としたリハビリテーション(neuroscience-based rehabilitation),すなわち,脳科学の成果をリハに応用したものである.ニューロリハはまた,脳損傷後の神経機能回復の促進を目的とした介入であるということもできる.そして,これまでの神経可塑性や機能回復に関するさまざまな知見から,運動学習諸理論の応用,課題指向型(特異的)トレーニング,治療頻度および段階的な課題の難易度調整,豊かな環境(enriched environment)の提供と専門職チームによる集学的介入がニューロリハの枢要と考えられている.このなかで,課題指向型トレーニングは神経機能回復に基づく運動機能の回復促進,運動および行為の学習を目的とした治療的介入の一手段といえる.
さらに,豊かな環境については,脳の組織化や脳傷害後の機能回復が「使用頻度」や「活動量」に依存しているとすれば,リハを実行する環境が患者のアウトカムに重要な役割を果たす可能性が高い.また,動物実験によれば,豊かな環境とは社会的な刺激,身体活動量と覚醒水準を高める目標物との相互作用が重要とされる12) .そして,リハビリテーション環境は,①物理的環境(建築環境),②リハの提供方法(介入のタイプ,強度,用量),③スタッフ(その知識,スキル,態度と教育能力)から構成されると考えられる.入院患者がどのように1日を過ごしているかという観察研究の結果によれば,1日の大半が非活動的な時間に費やされており,身体的および精神的活動や社会的交流を促進するには不十分であることが明らかにされている.しかも,それが学習環境として機能していないとの指摘もある13) .
したがって,学習を促進する環境条件を整えるとともに,運動課題の練習を含む身体活動にどれほど時間を費やすべきか,さらに,この時間をどの程度設定すればよいかという問題は,効果的なリハを進めるうえできわめて重要である.本書の7章で紹介した「サーキットクラストレーニング」は,課題指向(特異)的なトレーニングを患者グループに提供することにより身体活動量を高め,新たな運動課題を獲得したり,獲得された運動課題を維持したりするとともに,社会交流を促進するための1つの取り組みである.このように,ニューロリハを促進するうえで,提供するリハの環境や文脈についても十分に考慮することが必要であり,今後はこの領域に関する研究がさらに進められることが望まれる.
潮見泰藏
目次
理論編
1 章 脳卒中患者における回復と機能的再組織化
1.脳損傷後の大脳皮質における可塑的変化と機能回復
機能地図と脳の可塑的変化
脳損傷後の可塑的変化(基礎研究)
脳損傷後の可塑的変化(臨床研究)
2.回復の生理的メカニズム
脳卒中後の回復とは
脳卒中後の神経学的回復のメカニズム
シナプスレベルでの可塑的変化
中枢神経損傷後の回復機序
シナプス形成
神経ネットワークレベルにおける可塑的変化機構
3.脳損傷後の回復促進因子
反復練習
課題の難易度とやる気
報酬の活用
「リハビリテーション環境」の重要性─ enriched environment の意義─
2章 課題指向型トレーニングの神経科学的基礎
動物実験における課題指向型トレーニングに関する研究成果
ヒトにおける課題指向型トレーニングに関する脳イメージング研究
課題指向型トレーニングの臨床研究とエビデンス:文献レビュー
今後の課題と展望
3章 課題指向型トレーニングと運動制御および運動学習の理論的背景
1.課題指向型トレーニングに関連する運動学習・運動制御の基礎
反復練習型学習に至る心理学研究の流れ
Shumway-Cook & Woollacottの介入法に至る生理学理論の流れ
Carr & Shepherdの介入法に至る脳神経科学のエビデンス
2.運動学習の効果に影響する要因
反復練習型学習の効果に影響を及ぼす要因
Shumway-Cook & Woollacottらの介入法における学習に影響を及ぼす要因
Carr & Shepherdの介入法における学習に影響を及ぼす要因
3.最適な学習条件
最適な学習条件に対する考え方の変遷
challenge point framework
機能的課題難易度と運動学習の成果の関係
機能的課題難易度に影響を与える因子
4章 脳卒中患者に対する課題指向型トレーニングにおける測定
課題指向型トレーニングにおける測定のバックグラウンド
機能的課題レベルの測定
戦略レベルの測定
機能障害レベルの測定
生体力学的測定
測定結果から介入への展開
5章 トレーニング課題の設定
トレーニングの目標と課題設定
トレーニング課題の分類・選択
トレーニング課題の設定(教示方法)と難易度調整の考え方
標準的トレーニング課題の設定
プログラムデザインの考え方
トレーニング効果を高めるための学習方略
実践編
6章 課題指向型トレーニングの実践例
1.上肢機能のトレーニング
上肢機能の課題指向型トレーニング
上肢機能の課題指向型トレーニングの流れ
上肢機能の課題指向型トレーニングの実践例
2.CIセラピー
CIセラピーとは
CIセラピーの鍵となる概念
CIセラピーの方法
CIセラピーの効果
CIセラピーの実践例
3.起き上がり動作の獲得
症例紹介
4.寝返り動作・起き上がり動作
寝返り動作と起き上がり動作
寝返り動作・起き上がり動作の評価
寝返り動作・起き上がり動作の課題指向型トレーニング
5.起立動作を用いた理学療法介入の実際
パラダイムシフトが必要
症例―反張膝歩行に対する理学療法介入
課題によって運動戦略を変化させる基礎的研究
課題指向型アプローチの一例として
6.移乗動作
移乗動作
移乗動作の評価
移乗動作の各相
移乗動作練習の課題指向型トレーニング
7.歩行
脳卒中患者の歩行再建
運動学習の要点
治療者による介助
四脚杖とT字杖の選択
装具療法
課題指向的歩行練習
8.日常生活への応用
理学療法士の立場から
日常生活動作
日常生活動作の評価
日常生活動作に対するトレーニングの実際
作業療法士の立場から
日常生活における課題指向型トレーニング
トレーニングの実際
課題指向型トレーニング導入による結果
7章 課題特異的トレーニングの実践例
1.下肢の支持性を強化し,歩行準備のためのステップ練習
ステップ練習の意義
トレーニングの実施方法
2.歩行速度を向上させるためのトレーニング
歩行速度を向上させることの意義
脳卒中患者の歩行トレーニングにおける問題
歩行速度を高めるためのトレーニング戦略
歩行速度を高めるトレーニングの例
3.トレッドミル歩行練習
実践例1
トレッドミル歩行練習と部分免荷トレッドミル歩行練習
運動学習の観点から考えたトレッドミル歩行練習
トレッドミル歩行練習の注意点
トレッドミル歩行練習の実際
トレッドミル歩行練習の実際と未来
実践例2
トレッドミルトレーニング
BWSTTの神経学的背景
BWSTTの適応と設定方法
BWSTTの実際
4.バランストレーニング(座位・立位)
バランス障害に対するトレーニングのポイント
症例1 座位バランスのトレーニング
症例2 立位バランスのトレーニング―立位保持能力の向上を目指して
症例3 立位バランスのトレーニング―立位での下衣更衣動作獲得を目指して
5.リーチ動作
リーチ動作とは
リーチ動作の評価
リーチ動作の課題特異的トレーニング
6.サーキットクラストレーニングの紹介
サーキットクラストレーニングとは
脳卒中後の運動機能回復を目的としたリハビリテーション
脳血管障害に対するサーキットクラストレーニングの利点とその効果
福岡青洲会病院で実施されているサーキットクラストレーニングの紹介
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書籍情報
- ISBN:9784830645211
- ページ数:300頁
- 書籍発行日:2015年4月
- 電子版発売日:2021年2月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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