データに基づく臨床動作分析

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2016年5月
  • 電子版発売日 : 2021年9月8日
2,860
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商品情報

内容

系統的な臨床動作分析のための入門テキスト!WEB動画を用いてレクチャー!!

リハ医療の臨床において必要不可欠な運動・動作分析を客観的なデータを用い系統的に解説した入門テキスト.運動・動作を観察し,機能障害を推察するため,正常範囲の身体運動学的基礎データを豊富に紹介.それらの客観的データにより,疾病の帰結として生じた運動・動作の変化を分析できる.初学者や学生でも分析のトレーニングがしやすいよう,実際の症例によるWeb動画が付録.

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序文


リハビリテーション医療の臨床においては,動作分析は必要不可欠なツールである.しかし,本邦では系統的な臨床動作分析の方法論は確立されていないのが現状である.臨床における動作分析を系統立てるためには,正常範囲の運動パターンの基礎データが必要となる.しかしながら,これまで正常範囲の運動パターンは誰もが知っているという暗黙の了解があったため,客観的データとして十分には示されてこなかった.特に,理学療法士や作業療法士が必要とする日常動作や基本的な運動課題については,理解しているようで,理解できていない状態が現在でも続いているのである.

そのような中,われわれは理学療法士や作業療法士が必要としている日常動作の身体運動学的基礎データを集約する努力を重ね,本テキストを記す準備がようやく整ったのである.本テキストでは,臨床動作分析を日常動作分析と特定課題分析に分類し,日常動作分析では起居動作における運動パターンの出現率と所要時間のデータを準備した.その上で,動作の定型性およびパフォーマンス(所要時間)から機能障害を推定する方法を提示している.また,歩行分析においては,各種速度における身体運動学的データとの比較によって対象者の歩行速度にあわせた分析ができるよう工夫した.すなわち,大局的に対象者の動作が正常範囲から逸脱しているのか否かを判断した上で,具体的な運動分析を運動学的観察,運動力学的特徴,バランス要素の順に進め,最終的に機能障害を推測する系統的な方法を示したのである.これによって,初学者が陥りがちであった細部にこだわりすぎて全体が把握できないなどの問題を克服しやすくなったと考えている.一方,特定課題分析では臨床における使いやすさを考慮して,姿勢毎に特定課題をまとめ,観察・分析のポイントを整理した.身体運動学的知見をもとに,ある特定の運動機能と関連している課題を活用することで,推定した機能障害の確からしさを高めることができ,結果として障害構造分析に役立つものと期待している.

初学者には,健常者における運動パターンの分析をトレーニングしてもらい,分析能力のみならず正常範囲の運動パターンを十分に理解してもらうことが望まれる.その上で,本テキストを用いて疾病の帰結として生じた運動・動作の変化を分析するトレーニングを行ってほしいと心から願うものである.


2016年4月

編者 藤澤宏幸

目次

Ⅰ 総論

1 臨床運動・動作分析とは

1 臨床における運動・動作分析の目的

2 分析方法の分類

3 分析項目の要素

2 重心と関節運動

1 観察による重心の見方

2 関節運動の原理

3 運動軌道および運動パターンの形成

3 分析手順

1 日常動作分析

2 日常動作分析における要点と基準データ

 ①背臥位から長坐位への起き上がり動作

 ②長坐位から立位への立ち上がり動作(床からの立ち上がり動作)

 ③ベッドでの起き上がり動作(背臥位から椅坐位)

 ④椅子からの立ち上がり動作

 ⑤歩 行

3 日常生活分析における分析方法のまとめ

 ①正常からの逸脱の判断(定型性からの評価)

 ②正常から逸脱した運動パターンにおける分析(柔軟性からの評価)

4 日常動作分析における運動パターンの分析

 ①運動学的観察

 ②運動力学的分析

 ③バランス要素

 ④機能障害の推測

 ⑤各動作において推測された機能障害の整理

5 特定課題分析

6 特定課題分析の身体運動学的解釈

 ①椅坐位でのテスト

 ②膝立ち位でのテスト

 ③立位でのテスト

 ④上肢機能(上肢挙上に伴う肩甲上腕リズムの観察)

【コラム】 用語の整理

Ⅱ 中枢神経疾患

1 中枢神経疾患における分析のポイント

1 はじめに

2 正常から逸脱した姿勢や運動パターンを形成する原因

 ①筋緊張異常

 ②運動麻痺

 ③運動失調

 ④感覚障害

 ⑤高次脳機能障害

3 姿勢や運動パターンでとくに注目すべき点

 ①連合反応(運動)

 ②共同運動

 ③関節運動範囲の減少

 ④関節運動の協調性低下(inter joint coordination)

4 各原因が及ぼす姿勢や運動パターンへの影響

 ①筋緊張異常

 ②運動麻痺

 ③運動失調

 ④感覚障害

 ⑤高次脳機能障害

2 症例─脳梗塞後遺症

1 起き上がり動作

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

2 立ち上がり動作

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

3 歩 行

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

4 各動作において推測された機能障害の整理

【コラム】  観察から推測する筋緊張異常

Ⅲ 運動器疾患

1 運動器疾患における分析のポイント

1 はじめに

2 正常から逸脱した姿勢や運動パターンを形成する原因

 ①疼 痛

 ②荷重制限

 ③手術および骨折などによる禁忌肢位

 ④変形(骨格系)

 ⑤神経絞扼

 ⑥感覚障害

 ⑦関節可動域制限

 ⑧筋機能低下

3 姿勢や運動パターンでとくに注目すべき点

 ①神経症状がない場合

 ②神経症状がある場合

4 各原因が姿勢や動作へ及ぼす影響

 ①疼 痛

 ②荷重制限

 ③手術による禁忌肢位

 ④変 形

 ⑤神経絞扼

 ⑥感覚障害

 ⑦関節可動域制限

 ⑧筋機能低下

2 症例─変形性股関節症

1 起き上がり動作

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

2 立ち上がり動作

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

3 歩 行

 ①全体像

 ②矢状面

 ③前額面

4 各動作において推測された機能障害の整理

【コラム】 ダーウィンに倣って

付録 分析シート〔原本〕

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書籍情報

  • ISBN:9784830645433
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2016年5月
  • 電子版発売日:2021年9月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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