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- 臨床病態栄養学 第4版
商品情報
内容
栄養学の基本と臨床栄養管理に必要な病態を理解して,適切な栄養管理を行うための実践的テキスト,8年ぶりの改訂.管理栄養士・栄養士はもとより,NSTのメンバー,医師,看護師,薬剤師,他の医療スタッフや医療職を目指す学生が,栄養管理について深く学習できる基本コンセプトはそのままに,各疾患の診療ガイドラインに基づき,また,高齢者栄養や妊産婦栄養などの新しい知見を盛り込んで,内容を充実.卒後教育にも活用できる.
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序文
第4版 序
近年,栄養管理は医療の基盤であることが認識され,医療現場ではニュートリション・サポート・チーム(NST)が稼働し,栄養療法や栄養指導が積極的に行われている.栄養療法により疾患の予後が改善し,予防効果も明らかにされつつある.そのため,栄養管理が医療の一環として医療保険制度に組み込まれ,現在では栄養管理は必須になっている.さらに,管理栄養士の病棟配置も進みつつあり,チーム医療を推進していく上で,すべての医療者に栄養管理に関する知識が求められている.
栄養管理を実施するためには,栄養アセスメント(問診や視診,身体計測,臨床検査,栄養バランスの評価)をしっかり行って,病態に応じた栄養療法を行うことである.担当する患者の代謝異常を理解して,投与する食事・栄養による代謝異常を是正することである.
本書「臨床病態栄養学」は,解剖学,生理学,生化学,食品機能学,等の多様な知識を基盤にして,重症度に応じて食事,経腸栄養・経静脈栄養療法について学習する.第4版への改訂にあたり,生体のホメオスタシス(恒常性)および病態(ホメオスタシスの破綻)に関与する神経系および内分泌ホルモン系との関連も執筆していただいた.さらに,各分野の科学的進歩に伴う(1)検査などのアセスメント法を含む病態の理解,新しい(2)栄養管理法および(3)薬物療法,(4)高齢者を含む年代別の治療目標,(5)臨床検査項目をはじめとする新規検査項目についても加筆していただいた.新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に対する栄養療法を実施するために知っておくべき,呼吸器や循環器機能について,さらに高齢者で問題となるサルコペニア,フレイル,ロコモティブシンドロームの栄養療法についても内容を強化した.
生体のホメオスタシスをギリギリまで維持できる臓器機能に対して,出生時の臓器機能は3〜5倍の機能を有しているが,加齢や疾病によりこの予備能は低下する.少しでも臓器機能の異常が認められたとき,例えば空腹時血糖値や血中クレアチニン濃度が上昇しはじめたときは,生体が代償する機能がほとんどなくなっていると理解できる.すなわち臨床的に初期の異常と判断されるときは,すでに出生時100%を有する臓器機能が20〜30%になったときであり,決して初期とはいえない.このことを考慮に入れて栄養管理を積極的に行うことが重要である.
第4版への改訂にあたっては第3版と同じ医師4名および管理栄養士2名で執筆し,NSTを構成する医師,管理栄養士,薬剤師,看護師をはじめ多くの職種の方々に活用できるようにしました.本改訂にあたっては,(株)文光堂の佐藤真二氏に大変お世話になったので,ここに深謝を申し上げます.
令和3年11月
武田英二,竹谷豊
目次
<総論>
[1. 臨床病態栄養学の概念と意義[武田英二]]
● はじめに
A. 栄養管理とは
B. ニュートリション・サポート・チーム
C. 医療現場での栄養管理
1. 栄養管理のすすめ方
2. 臨床栄養管理に臨む態度
3. リーダーシップ
[2. 生活習慣病と栄養不良[武田英二]]
A. 生活習慣病
B. 生活習慣病の現状
1. 主要疾患の死亡者数
2. 主要疾患の患者数
C. 栄養不良・サルコペニア・フレイル・ロコモティブシンドローム
D. 疾病予防と治療法(発症予防と重症化予防)
[3. 栄養素の代謝と作用[武田英二]]
A. 遺伝子・神経・内分泌機能を介した代謝調節
1. 分子としての栄養素
2. 遺伝子発現を介した代謝調節
3. 神経を介した代謝調節
4. 内分泌ホルモンを介した代謝調節
B. 栄養・エネルギー代謝
1. ホメオスタシスの保持調節システム
2. エネルギー産生機構
3. 栄養・エネルギー代謝と臓器
4. 栄養素とエネルギー代謝
5. 運動のエネルギー代謝
6. ストレスに対する生体反応
7. 臓器・組織間での代謝情報ネットワーク
C. 炭水化物
1. 炭水化物の消化・吸収
2. 炭水化物の代謝
3. 炭水化物の作用
4. 食物繊維
D. 脂質
1. 脂質の消化・吸収
2. 脂質の代謝
3. 脂質の合成と分解
4. 脂質の作用
5. 脂質の必要量
E. タンパク質
1. 生体でのタンパク質代謝
2. 体タンパク質の合成と分解
3. アミノ酸の代謝
4. 体タンパク質の代謝
5. タンパク質の作用
6. タンパク質の必要量
F. ビタミン
1. ビタミン異常症の発見
2. 水溶性ビタミン異常症
3. 脂溶性ビタミン異常症
G. ミネラルおよび微量元素
1. ミネラル
H. 水と電解質
1. 水分の調節機構
2. 尿の濃縮機構
3. ナトリウムの調節機構
4. カリウムの調節機構
5. 水代謝の異常
6. ナトリウムの異常
7. カリウムの異常
8. クロールの異常
9. 酸塩基平衡と異常
[4. 栄養スクリーニングとアセスメント[武田英二]]
A. 栄養スクリーニングとアセスメント
1. SGA
2. MNA
3. GNRI
4. GLIM
B. 問診および観察
1. 病歴
2. 身体状況
3. 診察情報
C. 身体指標・計測による栄養アセスメント
1. %理想体重または身長・体重比
2. 平常時体重に対する体重比
3. 肥満・やせの判定と標準体重
4. ウエスト・ヒップ比
5. 上腕三頭筋囲および上腕筋面積
6. 皮下脂肪厚
7. 体組成
D. 臨床検査(血液・尿中指標)による栄養アセスメント
1. 血液検査
2. 尿検査
E. 栄養エネルギーバランス
1. エネルギーバランス
[5. 小児・妊産婦・高齢者の栄養[武田英二]]
A. 小児栄養
1. 食生活と小児栄養
2. 新生児・低出生体重児
3. 小児期と栄養
4. 小児の肥満
5. 小児栄養障害のアセスメント
6. 摂食障害
B. 妊産婦栄養
1. 妊産婦の特徴
2. 妊産婦の体重変化
3. 妊産婦の栄養必要量
4. 授乳婦に必要な栄養
5. ハイリスク妊娠
6. 母体の栄養と胎児・小児の健康
C. 高齢者栄養
1. 身体的特徴
2. 栄養療法
3. フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
4. 認知症
[6. 栄養補給法[竹谷豊]]
はじめに
A. 栄養補給の選択と計画
1. 患者の病態把握
2. 栄養管理法の選択基準
B. 経口栄養法
1. 経口栄養の原則
2. 経口栄養における各栄養素の意義
3. 治療食
C. 経管栄養法
1. 経管栄養の特徴と適応
2. 経腸栄養法
3. 経皮内視鏡的胃瘻造設術
4. 早期経腸栄養法
D. 静脈栄養法
1. 特徴と適応
2. 禁忌
3. 静脈栄養剤および輸液の種類
4. 中心静脈栄養の実際
5. 合併症
6. 末梢静脈栄養
7. 経腸栄養剤と中心静脈栄養剤組成の比較
E. 末梢静脈輸液療法
<各論>
[1. 消化器疾患[細川雅也]]
A. 消化吸収機構と排便
1. 消化管機能
2. 消化・吸収と消化酵素
3. 消化管ホルモン
4. 嘔吐,下痢,便秘に伴う代謝異常
5. 誤嚥防止と半固形食
B. 食道・胃疾患
1. 機能性ディスペプシア
2. 逆流性食道炎
3. 急性胃炎,慢性胃炎
4. 胃・十二指腸潰瘍
5. 胃癌
6. 胃切除後症候群
C. 腸疾患
1.潰瘍性大腸炎
2. クローン病
3. 短腸症候群
4. 吸収不良症候群
5. Clostridium difficile関連腸炎
D. 膵臓疾患
1. 膵臓の機能
2. 急性膵炎,慢性膵炎
3. 膵臓癌
E. 肝臓・胆囊疾患
1. 肝臓の機能
2. 肝炎
3. 肝硬変
4. 肝臓癌
5. 肝不全
6. 脂肪肝
7. 胆石症
8. 急性胆囊炎
9. 慢性胆囊炎
[2. 代謝性疾患[A,C,D,E:細川雅也,B:藤岡由夫]]
A. 糖尿病
1. 糖代謝調節と糖尿病
2. 糖尿病の分類
3. 糖尿病の診断─栄養アセスメント
4. 糖尿病の合併症
5. 糖尿病の治療と予防
6. 他疾患合併時の糖尿病の血糖管理
B. 脂質異常症高脂血症
1. 脂質代謝,脂質異常症高脂血症の定義と診断基準
2. 高トリグリセライド(トリグリセリド)血症
3. 高コレステロール血症
C. 肥満症
1. 概念
2. 成因
3. 肥満の合併症
4. 治療
D. 痛風
1. 尿酸の生成と排泄
2. 高尿酸血症の成因
3. 痛風の発生率
4. 分類
5. 栄養アセスメント
6. 治療
7. 食事療法
E. 先天性代謝異常症
1. アミノ酸代謝異常症
2. 糖代謝異常症
3. 脂質代謝異常症
おわりに
[3. 内分泌・骨疾患[A,B:細川雅也,C:竹谷豊]]
A. 甲状腺疾患
1. 甲状腺
2. 甲状腺疾患
B. 副腎疾患
1. 概念
2. 副腎皮質・髄質ホルモンの生合成
3. 副腎皮質・髄質ホルモンの分泌調節
4. 副腎皮質・髄質ホルモンの作用
5. 副腎疾患
6. ストレス反応
C. 骨疾患
1. 骨代謝のメカニズム
2. 骨粗鬆症の定義および病態
3. 骨粗鬆症の危険因子
4. 骨粗鬆症の遺伝因子
5. 骨粗鬆症の栄養アセスメント
6. 骨粗鬆症の予防
7. 骨粗鬆症の治療
[4. 循環器・呼吸器疾患[藤岡由夫]]
A. 循環呼吸調節機構
1. 全身性調節
2. 局所性調節
B. 動脈硬化症
1. 病理
2. 成因と機序
3. 臨床症状
4. 治療
C. 虚血性心疾患
1. 狭心症
2. 心筋梗塞
D. 心不全
1. 定義
2. 病態
3. 症状と診断
4. 予防,治療,合併症とその対策
5. 治療
E. 高血圧
1. 概念
2. 成因と機序
3. 症状,診断,分類,栄養評価
4. 二次性高血圧
5. 治療
6. 妊娠高血圧症候群
F. 呼吸障害
1. 呼吸不全
2. 慢性閉塞性肺疾患
3. 肺炎
4. 肺結核症
5. 気管支喘息
6. 睡眠時無呼吸症候群
[5. 腎疾患[竹谷豊]]
A.腎臓の構造と機能
1. はじめに
2. 尿生成における各器官の働き
3. 体液の恒常性を維持する仕組み
4. 腎機能検査
B. 糸球体疾患
1. 急性糸球体腎炎症候群
2. 急速進行性糸球体腎炎症候群
3. IgA腎症
4. 慢性糸球体腎炎症候群
C. ネフローゼ症候群
1. 概念
2. 病態
3. 病態・栄養アセスメント
4. 診断・検査
5. 治療
6. 予後
D. 腎不全
1. 急性腎不全と急性腎障害
2. 慢性腎不全と慢性腎臓病
3. 透析
E. ハイリスク妊娠
1. 妊娠嘔吐・妊娠悪阻
[6. 血液疾患[新井英一]]
A. 血液による生体調節
1. 血液の働き
2. 血液の性質
3. 血液の成分
4. 赤血球
5. 白血球
6. 血小板
B. 貧血
1. 分類
2. 機序・症状・診断
3. 薬物治療
4. 栄養療法
C. 白血病
1. 白血病とは
2. 発症メカニズム
3. 症状
4. 診断および治療
5. 栄養食事療法
6. 造血幹細胞移植
[7. 感染,免疫,アレルギー[新井英一]]
A. 免疫と栄養
1. 免疫反応
2. アレルギー反応
3. アレルギー発症機構
B. 食物アレルギー
1. 発症機序
2. アレルギーの原因食品
3. 臨床症状
4. 診断
5. 治療
おわりに
C. 免疫不全
1. 免疫不全とは
2. 免疫不全の病態
3. 免疫不全症の成因
4. 続発性免疫不全症
5. 栄養不良と免疫障害
6. HIV感染症
D. 食中毒
1. 食中毒とは
2. 食中毒の種類
3. 食中毒の発生状況
4. 食中毒と原因食品
5. 細菌性食中毒
6. 症状
7. 細菌性食中毒を起こす原因細菌
8. 細菌性食中毒の診療
9. 治療
10. 予防法
11. ノロウイルス
12. アニサキス
13. 化学性食中毒
E. 敗血症および多臓器不全
1. 概念
2. 成因
3. 敗血症に関する感染防止対策
4. 病態生理
5. 敗血症の症状
6. 敗血症の診断
7. 敗血症の治療
8. 食事療法
9. 敗血症の予後
[8. 栄養摂取障害[阪上浩]]
A. 摂食・嚥下障害
1. 病態
2. 原因
3. 食事
B. 神経性食思不振症
1. 食欲の調節
2. 食欲不振とは
3. 神経性食思不振症の病態
4. 神経性食思不振症の症状
5. 神経性食思不振症の診断
6. 神経性食思不振症の栄養評価
7. 神経性食思不振症の治療
C. 栄養不良
1. 栄養不良の病態
2. エネルギー・タンパク質代謝と栄養療法
3. 社会的意義
4. リフィーディング症候群
D. 脳卒中
1. 脳(内)出血
2. 脳梗塞
3. 一過性脳虚血発作
4. 脳膜出血
5. 脳卒中の治療
6. 脳卒中の栄養管理
E. 外科栄養管理
1. 術前の栄養管理
2. 術後の栄養管理
F. がんの栄養管理
1. がんの概要
2. がん患者の代謝
3. がん患者に対する栄養療法
4. がん患者の栄養管理の実際
5. がん治療の栄養療法
6. 化学療法,放射線療法と栄養管理
7. がんの終末期医療における栄養療法の意義
G. 熱傷
1. 病態
2. 診断
3. 栄養管理
[9. 臨床検査項目]
Ⅰ. 血液生化学的検査
Ⅱ. 肝機能検査
Ⅲ. 腎機能検査
Ⅳ. 内分泌機能検査
Ⅴ. 血液学的検査
Ⅵ. 血清学的検査
Ⅶ. 腫瘍関連検査
Ⅷ. 尿検査
Ⅸ. 画像検査
Ⅹ. 心電図検査
Ⅺ. 元素の周期表
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書籍情報
- ISBN:9784830660665
- ページ数:616頁
- 書籍発行日:2021年12月
- 電子版発売日:2022年1月28日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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