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- やさしく学ぶ予防接種のすべて ねころんで読めるワクチン~知ってるつもりがくつがえる 医療者のためのワクチン学 入門書
商品情報
内容
子どもの未来のために、地球の未来のために、今こそ「ワクチンってなんだろう?」を考えるとき。本書は、重症小児感染症の診療に当たりつつ、ワクチンの効果を実体験した感染症専門医が、患者に出会い、経験し、教えられ、悩み抜いて、調べたことを正直に書ききった一冊。すべての医療者に予防医学、予防接種の重要性を伝える「中立で」「人間臭い」ワクチン入門書。定期接種ワクチンから新型コロナワクチンまで網羅。
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序文
プロローグ
ワクチンギャップを歩んだ小児科医人生
私は1998年(平成10年)に医学部を卒業しました。どうしても大学以外で臨床研鑽を積みたいと、よくできもしないくせに、その大変さもわからないくせに、市中野戦病院で初期ローテーション研修を始めました(今の臨床研修制度と似たステップですね)。
2年間の地獄の初期研修が終わり、感染症と言えば小児科だろうと考えた私は、小児科主任部長が尊敬できる人格者で、かつ感染症専門医でしたので、ほとんど迷わずそのまま小児科コースに入りました。それがミレニアム2000年のことです。その頃の小児科はNICUも一緒に受け持つのが当然で、30床強の小児科病棟と20床強のNICUを10人弱の小児科医で、外来もしつつ一人当直体制で診ていました。夜間、小児科病棟では人工呼吸器をつけているRSウイルス感染症乳児も、喘息の急性期も、寝たきりの慢性患者さんも、ナース2名と医師3年目の私が漏れた点滴を確保し、NICUではナースに教わりながら急性期の超低出生体重児にサーファクタントを投与していました。
そのような当直の夜に一番怖かったのが、けいれんの救急搬送でした。できればよそに行ってほしいと願いながらも、救急外来でこれまた怖いナースと一緒に診察し、けいれんが続いていれば当時は座薬! 止まっていても細菌性髄膜炎の可能性があるため、ほぼ髄液検査を行っていました。と言うか、せざるを得ない状況でした。その頃は熱性けいれんで救急受診した乳幼児の10例に1例は菌血症で、20例に1例は細菌性髄膜炎でした。髄液検査中に急変して挿管したり、血培をとったり、教科書を調べて抗菌薬を投与したりを必死にやっていた2000年代前半でした。特に細菌性髄膜炎では、後遺症が残ったり、時に死亡する患者さんがいて、すべて自分の初期対応が下手だったからではないか、抗菌薬の選択が間違っていたからではないかと、反省ばかりしていました。
ところがその頃、米国など諸外国では、ヒブや肺炎球菌のワクチンがルーチンに導入され、髄膜炎・敗血症が減少していました。ネルソンという小児科の教科書にもワクチンの重要性は記載されていましたが、インターネットもなく日本の場末の小児医療現場にいる若手にはその情報は届いていませんでした。
その後、2003年に小児科研修を終え、麻酔科研修を受け、「少しでも重症患者さんを救いたい、その技術を学びたい」と考えて、2004年からは小児集中治療科での研鑽を始め、その後、おおよそ10年強、重症管理と重症感染症その周辺のお仕事や院内感染対策に関する業務に興味を持って携わってきました。10年間、急性期の重症現場にいて、前半(2009年まで)と後半(2010年から)で明らかに、子どもの市中重症感染症により集中治療を要する患者さんが減ったことを実感しました。
これは私を含め、小児科医の初期対応の腕が上がったからではないようです。そう、2010年頃よりヒブ・肺炎球菌ワクチンの国内接種が進みました。その結果、細菌性髄膜炎が全くなくなったわけです。予防接種の威力を現場でリアルに体感することができました。一方、院内感染対策に目を向けますと、水痘ワクチンが定期接種化されて以降、水痘による病棟閉鎖がほぼなくなり、また任意接種ではありましたが、ロタウイルスワクチンも導入され、脱水で重症化する子どもも、ロタウイルス腸炎が院内流行することも目に見えて減ってきました。今後はRSウイルスのワクチンなども出てくると、重症感染症で悩む子どもたちが減ることなり、科学の進歩の恩恵を次世代につないでいくことができます。
さて、課題はまだまだあります。私は幸か不幸か、感染症で重症になった子どもを診たうえで、そのワクチン効果を実体験した年代です。これから小児医療に関わる方は、最初から重症感染症がない時代となります。そうなるといつか「感染症がないならワクチンは不要じゃない?」という言説が流布する時代が来ることも大いに懸念されます。
そうならないように、医療の現場、若手医療者教育の場で予防医学、予防接種の重要性を伝えるべく「語り部」として存在する義務があるのだろうと考え、本書を執筆させていただくことになりました。
情報は常にアップデートされますので、本書に書いてある情報もいつか古くなるでしょう。厚生労働省が発信する感染症情報、予防接種情報や国立感染症研究所のエキスパートからの情報をインターネットで得て、個々人でアップデートしてください。
私は製薬メーカーや国からの支援は全く受けていませんし、各種団体を代表する立場でもありません。ただただ自分が多くの患者さんに出会い経験し教えられ、悩み抜いて、調べてきたことを正直に書ききりました。他の類書に比べて「中立で」「人間臭い」ワクチン本になったのではないかと思います。
本書は“医療者のための”と銘打っていますが、医療者に限らず、ワクチンを打つ人、打たれる人、打つのをためらっている人、すべての方に入門書としてお役立ていただけると思います。本書によって読者のみなさまが、「ワクチンって何なのだろう」と興味を持ち、考えるきっかけになれば幸いです。子どもたちの未来のために、そして未来の地球のために、これからも私にできることを果たしていきたいと考えています。ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
2021年3月
笠井正志
目次
プロローグ
総論
1 言葉の定義
予防接種とワクチンの違いを言えますか?
2 予防接種の意義と有効性
なぜワクチンを打つのですか?
3 予防接種・ワクチンの種類
定期生は7、定期不活化は13、任意生は3、任意不活化は6
4 ワクチンと免疫システム
どうやってワクチンは効くのですか? 疫を免じる!
5 ワクチン接種と誤接種
押さえておきたい投与部位・ルート、同時接種、接種間隔
6 予防接種のヒストリア
歴史は繰り返す、歴史から学ぶ
7 予防接種ができないとき
予防接種不適当者と予防接種要注意者
8 予防接種による健康被害
ワクチンの有害事象はどう判定するのですか?
9 ワクチンに気おくれすること
ためらいから始まるワクチン啓発
10 基礎疾患とワクチン
原則を押さえること、各論的に考えること
11 渡航と帰国とワクチンと
転ばぬ先の杖。まずは日本と海外の違いを知ることから
12 妊婦と予防接種
いかなるワクチンも妊娠中断の理由になりません
13 医療従事者と予防接種
なぜ医療従事者の予防接種が必要なのですか?
各論
1 インフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン
2 肺炎球菌(PCV13)ワクチン
3 B型肝炎(HBV)ワクチン
4 ロタウイルスワクチン
5 4種混合(DPT-IPV)ワクチン
6 BCG
7 麻疹・風疹混合(MR)ワクチン
8 おたふく風邪ワクチン
9 水痘ワクチン
10 日本脳炎ワクチン
11 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
12 インフルエンザワクチン
13 髄膜炎菌ワクチン
14 新型コロナウイルスmRNAワクチン
Column
キャッチアップは大変!
痛くないワクチン接種
ワクチンをためらうことを理解するために重要な書籍
原発性免疫不全症を疑う10の徴候
母の手当てで平熱だとわかる
ワクチンへの信頼度が高い国、低い国
ワクチンをためらう保護者へのささやき戦術
標準予防策としてのワクチン接種時の手袋
コッホ現象はBCG より前
厚生労働省の渾身のダジャレ
おたふく風邪ワクチンが聴こえていないのか
「打ちました!」
エピローグ
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書籍情報
- ISBN:9784840475709
- ページ数:178頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年6月29日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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