改訂2版 病院前新生児蘇生法テキスト

  • ページ数 : 176頁
  • 書籍発行日 : 2022年6月
  • 電子版発売日 : 2022年6月22日
3,960
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商品情報

内容

新生児蘇生法講習会Pコース公認テキスト

救急救命士・救急隊・消防士などを対象とした新生児蘇生法(NCPR)講習会(Pコース)公認テキスト。医療施設外での出生を想定し、バッグ・マスクや胸骨圧迫といった標準的な新生児蘇生処置の習得を目指す。出生時の呼吸・循環生理、救急搬送時の留意点などの必須知識も収載。NCPR 2020を反映した改訂2版。講習会予習動画付き。

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序文

はじめに


日本周産期・新生児医学会は2007年から新生児蘇生法(Neonatal Cardio-PulmonaryResuscitation;NCPR)普及事業を開始しました。これは、新生児の予後改善を目的に、すべての分娩に新生児の蘇生技術を持った新生児担当の人員を最低1名配置できる体制を整備することを目指したものです。新生児蘇生のための知識・技術・態度を習得するための講習会カリキュラム作成と、自己学習用のテキスト作成および講習会を開催する人材の育成を主体としています。幸いなことに、周産期医療に従事する多くの職種の方々のご支援・ご支持のもと、2022年2月現在、4,658名のインストラクターにより講習会が全国津々浦々で行われる体制が整い、68,586名に認定を受けていただき、想定した周産期医療従事者数をほぼ達成している状況です。

わが国では99.8%が施設内分娩であるため、今までは院内出生児に対応する医療従事者を講習会受講の柱として事業を展開してきました。しかしながら、何らかの理由で病院前、すなわち自宅や車中での分娩も生じ、それらの児が新生児集中治療室に搬送されてくることもまれではありません。少子高齢化により、消防庁の2020年の新生児の搬送実績は12,180名と右肩下がりで、全体の0.23%に過ぎません。また、新生児の搬送の多くは病院間搬送なので、周産期医療従事者がいない中、救急隊員・救急救命士による分娩介助および新生児蘇生が行われる機会は少ないことも事実です。しかし、少ない機会ながら新生児の蘇生・搬送を行った方々から新生児の蘇生を深く学びたいというご要望が多数寄せられたため、施設内分娩を想定したAコース、Bコースに加え、病院前新生児蘇生コース(Pコース)を2020年から開始しました。そして、周産期医療を専門にしない救急隊員および救急救命士の皆さまを対象に、新生児蘇生法を理解して実践するために構築された病院前新生児蘇生法講習会の事前学習・事後学習用のテキストとして本書を作成しました。

1992年から救急救命士は国家資格となり、2022年には2,979名が資格を取得しています。2019年4月1日現在、救急救命士を運用している消防本部は、全国726消防本部のうち725本部で、その運用率は99.9%です。また、救急救命士を運用している救急隊数は全国の救急隊5,215隊のうち99.3%に当たる5,178隊で、年々増加しています。これらの皆さまの需要を日本全国津々浦々で満たせるようにインストラクターには講習会開催をお願いしています。実際に講習会を受講された方々には好評を得ていますが、COVID-19蔓延のため講習会開催数が少なく、受講を希望する方々にご不便をおかけしていることをお詫び申し上げます。

2020年の国際蘇生連絡委員会のConsensus on Science with Treatment Recommendations(CoSTR)2020の公表に伴い、NCPRアルゴリズムも改訂しました。消防・警察を含めた我が国の行政も使用する『改訂6版 救急蘇生法の指針2020医療従事者用』と齟齬がないように本書も改訂2版を刊行することになりました。

本書の改訂にあたり、ご助言・ご協力いただいた救急隊員・救急救命士の方々、新生児蘇生法事務局(栗田真貴女史、飯島和子女史、矢野裕子女史、木村優子女史、田中智子女史)および短期間で本テキストの出版を実現してくださったメディカ出版に深謝いたします。


2022年3月31日

日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法委員会 委員長
国際蘇生連絡委員会Neonatal Life Support Contents Expert
日本蘇生協議会 理事 細野茂春

目次

・改訂2版 序

・初版 序

・監修・執筆者一覧

・受講者のみなさまへ

【第1章 病院前新生児蘇生法普及プロジェクト】

〔1〕病院前新生児蘇生の必要性

〔2〕新生児蘇生法普及事業における病院前新生児蘇生法講習会の位置付け

〔3〕病院前新生児蘇生法講習会(Pコース)の実際

【第2章 新生児蘇生に必要な基礎知識】

〔1〕よく使用される新生児に関する用語

〔2〕気道系の解剖

〔3〕出生時の呼吸循環生理

〔4〕臍帯結紮と児の循環血液量

〔5〕保温・加湿の重要性

〔6〕新生児の心肺停止

〔7〕新生児の評価

【第3章 アルゴリズム】

新生児蘇生法の対象

NCPRアルゴリズムの概要

〔STEP0〕チームメンバーによるブリーフィング

〔STEP1〕出生直後の児の状態評価

〔STEP2〕ルーチンケア

〔STEP3〕蘇生の初期処置

〔STEP4〕蘇生の初期処置の効果の評価と次の処置

〔STEP5〕人工呼吸

〔STEP6〕人工呼吸と胸骨圧迫

〔STEP7〕呼吸障害の安定化

〔STEP8〕蘇生後のケア

早産児の蘇生

病院前新生児蘇生法アルゴリズムに則った蘇生の例

NCPRアルゴリズムと救急隊および救急救命士教育でのアルゴリズムとの違い

【第4章 新生児の救急搬送】

〔1〕出動前の状況評価とチーム、関連機関の事前打ち合わせ(119番通報から傷病者接触まで)

〔2〕現場到着時の状況評価とチーム、関連機関の打ち合わせ

〔3〕搬送中の保温・加湿

〔4〕搬送中の児の状態評価

〔5〕搬送中の処置

【第5章 新生児蘇生法をより活用するために】

〔1〕病院前新生児蘇生におけるチームワーク

〔2〕病院前新生児蘇生法における継続学習と実践トレーニングの必要性

【第6章 講習会講義資料】

【第7章 模擬問題】

【第8章 新生児蘇生法普及事業】

・索引

・利益相反(COI)リスト

・WEB動画の視聴方法

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書籍情報

  • ISBN:9784840478861
  • ページ数:176頁
  • 書籍発行日:2022年6月
  • 電子版発売日:2022年6月22日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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