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- ねころんで読める 感染症と抗菌薬のきほんのき
商品情報
内容
序文
はじめに
抗菌薬が苦手な医療従事者は数多くいます。抗菌薬を使いこなすには、「抗菌薬の特性」「原因菌」「感染症」の3 つについて理解しておく必要があるからです。このなかで、最も理解しにくいのが「抗菌薬の特性」といってもよいと思います。
抗菌薬について苦手意識をもっている人のほとんどが抗菌スペクトルでつまずいています。確かに、書籍で調べれば済むことかもしれませんが、臨床現場のなかで毎回確認するわけにはいきません。そのため、抗菌スペクトルをあらかじめ熟知しておく必要があります。具体的には、どのようにしたらよいのでしょうか?
抗菌スペクトルでは、数多くの病原体とさまざまな抗菌薬の組み合わせがあるので、いきなり全体を覚えようとすると疲れてしまいます。そうではなく、抗菌スペクトルの土台を覚え込んで、その抗菌薬のイメージを身に付けてから、全体の理解に向かうことをお勧めします。抗菌薬をみるだけで、抗菌スペクトルのイメージが湧き上がってくればよいのです。これさえできれば、あとは、臨床経験で肉付けするだけです。
本書では抗菌スペクトルの表現を極限まで単純化しました。ピカソのような抽象画のように見ながら、そのイメージが身体に染み渡ればよいと考えました。そして、可能な限り、分かりやすく説明するように努めました。第1 章では「感染症の神様」の言葉として、感染症の治療について記述しました。たとえ話も数多く取り入れています。第2 章では抽象画のような抗菌スペクトルを解説するために、会話能力を獲得した抗菌薬から生の声を聞くようにしました。そして、第3 章では、それぞれの抗菌薬の問題点と有利な点を「知っててほしい! 特徴」「皆に伝えたい! 重要ポイント」として、抗菌薬自身から話してもらいました。
本書が抗菌薬の真の理解のための入門書になることを希望いたします。そして、読者がこれから、さらなる抗菌スペクトルの知識を積み上げる一助になれば幸いです。
最後に、このような企画を提示していただいたメディカ出版の井奥享子氏に心から感謝の意を表したいと思います。
2024年2月吉日
浜松市感染症対策調整監 兼
浜松医療センター 感染症管理特別顧問
矢野邦夫
目次
【第1章 感染症の神様へのインタビュー】
抗菌薬適正使用について
感染症の神様へのインタビュー
抗菌薬の適正使用について
・①適切な対象患者
・②適切な投与量
・③適切な抗菌薬
・④適切な投与方法
・⑤適切な期間
耐性菌は、寒い日にコートを着ることと同じ!
デ・エスカレーションは、人間の用心深さを生かしている!
血液培養は必ず2セット必要!
アンチバイオグラムは、病院のガラパゴス化を測る!
ねころんで読める代表的な感染症のポイント
発熱性好中球減少症は田舎のあぜ道!
細菌性髄膜炎は出世魚!
急性咽頭炎、急性鼻副鼻腔炎、急性気管支炎への抗菌薬の処方は、ムダな買い物
感染性心内膜炎は恋のキューピッド
市中肺炎の病原体は3つ
院内肺炎/医療介護関連肺炎は「朱に交われば赤くなる」
腎盂腎炎は河川を遡上する鮭
梅毒の治療はジムと同じ
クラミジア・トラコマチス感染症はシロアリ
淋菌感染症の治療は1本の丸太(最後!)
丹毒・蜂窩織炎・皮膚膿瘍は川の氾濫
骨髄炎は人類誕生後の移動!
【第2章 抗菌薬との楽しい会話】
ピカソとモナリザ
ペニシリン系抗菌薬
セフェム系抗菌薬
カルバペネム系抗菌薬
アミノグリコシド系抗菌薬
キノロン系抗菌薬
テトラサイクリン系抗菌薬
マクロライド系抗菌薬
リンコマイシン系抗菌薬
ニトロイミダゾール系抗菌薬
ホスホマイシン系抗菌薬
抗MRSA薬
そのほかの抗菌薬
【第3章 抗菌薬が語る「知っててほしい! 特徴」と「皆に伝えたい! 重要ポイント」】
1. ペニシリン系抗菌薬
ベンジルペニシリン(PCG):古典的ペニシリン
アンピシリン(ABPC)とアモキシシリン(AMPC):広域ペニシリン
ピペラシリン(PIPC):抗緑膿菌ペニシリン
2. セフェム系抗菌薬
セファゾリン(CEZ):第1世代セフェム系抗菌薬
セフメタゾール(CMZ):第2世代セフェム系抗菌薬
セフトリアキソン(CTRX):第3世代セフェム系抗菌薬
セフタジジム(CAZ):第3世代セフェム系抗菌薬
セフェピム(CFPM):第4世代セフェム系抗菌薬
タゾバクタム/セフトロザン(TAZ/CTLZ)
〈新薬〉セフィデロコル(CFDC):シデロフォアセファロスポリン系
3. カルバペネム系抗菌薬
メロペネム(MEPM)
4. アミノグリコシド系抗菌薬
ゲンタマイシン(GM)
5. キノロン系抗菌薬
シプロフロキサシン(CPFX):第2世代キノロン系抗菌薬
レボフロキサシン(LVFX):第3世代キノロン系抗菌薬
モキシフロキサシン(MFLX):第4世代キノロン系抗菌薬
6. テトラサイクリン系抗菌薬
ミノサイクリン(MINO)
7. マクロライド系抗菌薬
アジスロマイシン(AZM)とクラリスロマイシン(CAM)
8. リンコマイシン系抗菌薬
クリンダマイシン(CLDM)
9. ニトロイミダゾール系
メトロニダゾール(MNZ)
10. ホスホマイシン系抗菌薬
ホスホマイシン(FOM)
11. 抗MRSA薬
バンコマイシン(VCM)
テイコプラニン(TEIC)
ダプトマイシン(DAP)
リネゾリド(LZD)
12. その他の抗菌薬
ST合剤(ST)
【第4章 これだけは覚えておこう!ねころんで読める用語解説】
これだけは覚えておこう!ねころんで読める 用語解説
抗菌スペクトル
β-ラクタム系抗菌薬ニューキノロン・フルオロキノロン・レスピラトリーキノロン
ポーリン孔
バイオアベイラビリティ
治療薬物モニタリング
post-antibiotic effect(PAE)
バンコマイシン注入反応
ジスルフィラム様反応
チトクロームP450
腸内細菌目細菌
ESBL産生菌
AmpC産生菌
肺炎球菌
非定型菌
発熱性好中球減少症
医療介護関連肺炎
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書籍情報
- ISBN:9784840484756
- ページ数:144頁
- 書籍発行日:2024年4月
- 電子版発売日:2024年3月27日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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