改訂6版 必ず役立つ!肝炎診療バイブル

  • ページ数 : 396頁
  • 書籍発行日 : 2024年10月
  • 電子版発売日 : 2024年9月25日
5,940
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商品情報

内容

【第8.4版 C型肝炎治療ガイドライン対応】
肝炎診療の必携書籍「肝炎診療バイブル」の改訂6版がついに刊行。
第8.4版・C型肝炎治療ガイドラインの最新情報、第4版・B型肝炎治療ガイドラインをいち早く収載し、各種ガイドラインに準拠した必須知識もさらにパワーアップ。
消化器内科を目指す研修医・レジデント必携の一冊!

序文

改訂にあたり


昭和60年に大阪大学を卒業し消化器内科医を志した頃、諸先輩方から懇切丁寧に診断のイロハと医療に対する情熱を教えていただきました。卒後20年が過ぎる頃から、私を育ててくれたこの環境に対しわずかでも恩返しできるよう、優秀な若手肝臓専門医の育成に力を注いできました。その一環として本書は誕生しました。ともに働いた同僚、縁あって出会いその技量に感銘した同世代の医師を中心に執筆をお願いしました。知識の普及はもちろんですが、読者に興味を持っていただけるよう裏話などもはさみました。また本書には、従来のレジデント向けの指南書にはない肝臓病理や、重複感染が問題になっているHIV診療の章も盛り込みました。研修医やレジデントの学会デビューの多くは地方会での症例報告で、その際に肝組織をスライド呈示することもありますが、肝臓病理をきちんと理解して発表できている若手医師はどれだけいるでしょうか? 肝組織をもっと身近に感じ、自分が生検した患者さんの肝組織はぜひ自分自身の両目で観察し評価してもらいたいと思い、肝臓病理の項をもうけました。一方、増加傾向にあるHIV感染合併B型肝炎およびC型肝炎の患者さんに対応するべく、HIV感染の基礎知識を取り上げています。読者の皆さんはまだHIV感染症を身近な疾患と感じておられないかもしれませんが、気づいていないだけで身近に患者さんはおられます。担当するようになっても、慌てないようにご一読ください。

B型肝炎ウイルスのオーストラリア抗原が発見されて、60年が過ぎました。母子感染防止事業の成果で新規キャリアは減り、さらにユニバーサルワクチンの導入でB型肝炎は根絶への道が開けています。しかし、現状ではまだ核酸アナログの必要な患者さんは多く、肝細胞癌の新規発生も絶えません。C型肝炎ウイルスも発見されて35年が過ぎ、今やDAA治療によりほとんどの患者さんでウイルス排除が期待できます。2020年、その功績によって3人の医学者がノーベル生理学・医学賞を受賞したことは感慨深いニュースでした。それでもC型肝炎ウイルス排除後発癌は一定頻度で起こり、また非B非C型の肝癌も増えています。その肝癌に対する治療ですが、選択肢に化学療法が加わり、肝臓学・肝臓病学はますます面白くなっています。

新専門医制度によって卒後教育が大きく変貌しました。初期研修後、さらに内科研修を3年となると、肝臓内科の専門研修は大きく遅れてしまいます。本書は一般内科を研修するなかで、効率よく肝臓内科の研修ができるよう工夫しました。もちろん、レジデント以外の医師の皆さんにも十分に役立つ内容に仕上げました。読者の皆さんには、まず現在の肝炎・肝癌診療の流れを理解していただき、これからの日常診療に生かしていただきたいと思います。

追記:2024年3月末で国立病院機構大阪医療センターを退職しました。しかし、専攻医・研修医教育への情熱が尽きることはなく、肝臓病学の発展に少しでも貢献できればと思います。


2024年9月

医療法人朋愛会淀屋橋健診プラザ 所長 三田英治



以前に、阪大病院の病棟主任を10年近くし、8年余り前から基幹病院に赴任して主任部長を経て現職となった。研修医・レジデントの時期に医師として本当に大事なことを伝えたい。そんな思いは今も変わらない。では、その大事なこととは何か? 今回は、私の座右の銘である「見る前に跳べ(Leap before you look)」を紹介したい(英語のことわざ“Look before you leap”を転じたもので、大江健三郎氏の短編の題名にもなった)。


“Leap Before You Look”(W. H. Auden)

The sense of danger must not disappear:

The way is certainly both short and steep,

However gradual it looks from here;

Look if you like, but you will have to leap.


まず跳んでいいのか? 奇異に感じるかもしれない。医師として、患者に医療を施すときには、万が一の間違いもあってはならない。いかなる状況においても万全を期すべきである。私たちはそう教育されてきたし、確かにそれは正しい。エビデンスに基づいた医療EBM (Evidence-based Medicine)は重要であり、ガイドラインはEBMから策定される。

私たち医師は、ガイドラインを基本とすべきであるし、本書もそれを意図して企画されている。しかし、実際の医療の現場では、十分なエビデンスがないことが少なくない。患者一人一人で病態が異なる。こうしたときに、エビデンスの追求に時間をかけ、その結果、十分なエビデンスがないから進めない、保障がないから動けないといって、それで患者の命は救えるのだろうか? さらに言えば、EBMだけにとらわれていては、医学、医療の未来への進歩はない。

何事でも新しいことに挑戦するとき、最初が一番肝心である。もう少し様子をみてから、落ち着いてしっかり調べてからなどと、悠長に考えていたら、いつまでたっても前に進めない。跳ぶことを躊躇しているうちに、チャンスを逃し、時代に乗り遅れてしまう。限られた時間で精一杯の準備をし、リスクを怖れず、跳ぶことを、若い皆さんにはぜひ勧めたい。もちろん、それでけがをすること、失敗することもあるが、けがは治し、失敗は改善して、また跳ぶ。跳ばないで待っているより、跳んで失敗した方が断然得るものが多く、そうした過程のなかで、新たな発展が生まれてくる。例えば、2割しか可能性がないことでも、3回トライするつもりなら、3回とも失敗する確率は、0.8 × 0.8 × 0.8 ≒ 0.5、つまり半分の確率で目標は成就できる。

今年度から院長を拝命した。“Hospital Innovation” をスローガンに掲げ、いくつもの改革を進めている。“ 働きがいのある職場” を作ることが目標だ。もちろんすべてが100%うまくいくかどうかわからない。ただ、大きな組織が動くとすれば、それは初めの3ヵ月で決まる、そう思って進めてきた。信念をもって進むのはかなりの精力が要るが、今、確実に、見る前に跳んでいる。

この激動の時代に、新しい時代を築くためには、“ 見る前に跳べ” を実践し続けるしかない。本書の読者のなかから、一人でも多くの大きな志をもった医師が誕生することを祈念している。


2024年9月

大阪労災病院 院長 平松直樹

目次

改訂にあたり / 三田英治 平松直樹

1 肝機能検査の読みかた

1 検査オーダーの流れ / 阿部友太朗 ほか

2 肝機能検査 / 阿部友太朗 ほか

3 末梢血検査 / 長谷川裕子

4 止血・凝固検査 / 長谷川裕子

5 肝腫瘍マーカー / 榊原祐子

6 肝線維化マーカー / 榊原祐子

2 画像検査のポイント

1 検査オーダーの流れ / 宮﨑昌典

2 腹部超音波検査(腹部エコー) / 宮﨑昌典

3 腹部CT検査 / 重里 寛 ほか

4 腹部MRI検査 / 山本聖人 ほか

5 血管造影検査 / 大須賀慶悟 ほか

3 C型肝炎の診断と治療

1 C型肝炎をより理解するためのウイルス遺伝子とヒト遺伝子 / 田中聡司

2 C型肝炎患者の自然史 / 田中聡司

3 C型慢性肝炎の診断と評価 / 阪森亮太郎

4 C型肝炎治療薬DAA / 三田英治

5 C型肝炎治療ガイドライン / 平松直樹

6 肝庇護療法など / 阪森亮太郎

4 B型肝炎の診断と治療

1 B型肝炎ウイルスの基礎知識 / 中堀 輔 ほか

2 B型慢性肝炎の自然史と診断

1 B型慢性肝疾患患者の自然経過 / 三田英治

2 HBVの母子感染と予防対策 / 田中聡司

3 B型慢性肝炎の治療

1 B型慢性肝炎の治療指針 / 山田涼子

2 インターフェロン治療 / 山田涼子

3 核酸アナログ / 保坂哲也

4 その他の治療 / 鈴木義之

5 HIV重複感染患者の管理

1 HIV感染の基礎知識 / 渡邊 大 ほか

【補足】HIV感染者の消化管病変 / 山本俊祐 ほか

2 HIV感染者のB型肝炎 / 古賀道子 ほか

3 HIV感染者のC型肝炎 / 堤 武也 ほか

6 自己免疫性肝疾患の診断と治療

1 自己免疫性肝炎(AIH) / 金子 晃

2 原発性胆汁性胆管炎(PBC) / 金子 晃

3 原発性硬化性胆管炎(PSC) / 金子 晃

7 アルコール性肝障害の診断と治療

アルコール性肝障害の診断と治療 / 石川哲也

8 脂肪肝・脂肪肝炎の診断と治療

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)と…

代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の診断と治療 / 伊藤義人

9 薬物性肝障害の診断と治療

薬物性肝障害の診断と治療 / 青木孝彦 ほか

10 肝硬変の治療

1 肝硬変の成因と治療 / 尾下正秀

2 肝硬変の栄養管理(サルコペニアを含む) / 法水 淳

3 合併症の管理

1 肝性脳症の診断と治療 / 榊原 充

2 門脈圧亢進症:食道・胃静脈瘤、門脈圧亢進性胃症(PHG) / 山田拓哉

11 肝癌の診断と治療

1 肝癌の分類と肝腫瘍の組織分類 / 榊原 充

2 肝癌の診断 / 阪森亮太郎

3 肝癌の治療

1 肝細胞癌に対する治療選択 / 藥師神崇行

2 肝切除 / 松井洋人 ほか

3 肝動脈塞栓療法(TACE/TAE) / 大須賀慶悟 ほか

4 局所治療 / 阿部友太朗

5 化学療法(分子標的治療) / 川村祐介

6 緩和ケア / 里見絵理子

12 肝移植

1 肝移植の現状 / 後藤邦仁

2 肝移植手術と管理 / 後藤邦仁

13 急性肝炎の診断と治療

1 急性肝炎の鑑別診断と治療 / 藥師神崇行

2 急性肝不全の診断と治療 / 藥師神崇行

14 肝病理組織の基礎知識

1 肝生検:その意義と基本組織構築 / 森井英一

2 ウイルス性肝炎と新犬山分類 / 森井英一

3 自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性胆管炎(PBC) / 森井英一

4 アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、代謝機能障害関連脂肪肝疾患 / 森井英一

5 肝細胞癌と肝内胆管癌(胆管細胞癌) / 森井英一

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書籍情報

  • ISBN:9784840485173
  • ページ数:396頁
  • 書籍発行日:2024年10月
  • 電子版発売日:2024年9月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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