2001年に出版された本書第1版は，おかげさまで好評を博し，医学書のベストセラーになりました．あれから7年が経過し，今回，内容を一新して第2版を上梓することになりました．

コンセプトは何ら変わっていません．医学情報が氾濫する中で，真に臨床に役立つ「臨床の知」を抽出するということです．教科書的知識のまとめではなく，臨床医学の知識とセンスのエッセンスを搾り出すことです．現場で本当に有用な"切れば血が出る"知恵を集めることです．

当院は，卒後臨床研修病院のメッカと目され，臨床教育の実績を積み上げてまいりました．スタッフ，フェロー，シニアレジデント，チーフレジデント，ジュニアレジデントの屋根瓦のなかで，上，横，下と密度の濃いディスカッションをしながらOJT（onthejobtrain-ing）を行い，多くの（内科では毎月40以上の）教育カンファレンスを開催しています．そういう臨床教育の現場から，「知ってるつもりの内科レジデントの常識非常識第2版」は生まれました．

今回の改訂版の執筆も，診療とレジデント教育に今最もアクティブなスタッフとシニアレジデントによってなされています．本書は，48の超常識，28の非常識，468の常識の3章からなります．中心をなす常識の章は，循環器，消化器内科，消化器外科，呼吸器，感染症，内分泌・代謝，膠原病，血液，腎臓，神経，心療，一般，腫瘍，緩和ケアの14分野からなり，新たに消化器外科，腫瘍を加えています．非常識も全面一新し，超常識も大きくパワーアップしました．

本書でいう常識とは，当院スタッフがレジデントに対して「初期3年間の研修中に是非習得してほしい」と考える内科臨床のミニマムです．言い換えれば，内科医なら誰もがバックボーンに備えておきたい常識です．

各項目は，タイトルと解説（一部症例）からなります．タイトルは「Q⇒A」の形で大胆簡潔に言い切ってあります．「○と×をみたら？⇒△を疑う」というように．まずタイトルのQを見て一瞬考える．すぐにAを確認して，解説（症例）を読んで理解を深める．最後にもう一度タイトルを読んで記憶にとどめる．これを繰り返せば，効率よく内科臨床のエッセンスを身につけられるはずです．できれば，タイトルのQとAを記憶して，誰かにQの「○と×をみたら何を疑う？」と質問されたらどうでしょうか．あなたにも相手にも，学習効果抜群です．

編集は，岡田とシニアレジデントの堀之内が担当しました．本書によって読者が内科臨床のエッセンスを汲み取られ，日常診療，臨床教育，受験対策などに少しでも役立てていただければ，編集者としてこれに過ぎる喜びはありません．

最後に，第1版に続いて今回も大変お世話になった三輪書店の青山智社長と大島登氏に心から感謝申し上げます．

2008年 秋

編集責任者
岡田 定