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- プライム脳神経外科 6 機能外科的疾患
商品情報
内容
シリーズ第6巻は、神経機能障害の改善を図る「機能的脳神経外科」の世界を取り上げています。てんかん外科(切除・遮断、緩和的外科治療)、不随意運動に対する定位脳手術、顔面けいれんや三叉神経痛に対する脳神経血管減圧術について、エキスパートによる手術手技が写真イラストで詳細に理解できるだけでなく、病態診断から手術に至るプロセスも総論として理解できるように工夫し、本領域をこれから学ぶ読者に最適な1冊となるようにまとめています。
序文
第6巻の序
機能的脳神経外科を取り上げた成書が複数出版されています.このたび『プライム脳神経外科』第6 巻「機能外科的疾患」の編集を担当するにあたり以下の点を重視しました.
機能的脳神経外科を実際に行うには手術方法に特化した手引き書も文字ばかりの解説書も十分実用的とは言えません.病態・焦点診断から術式選択に至るプロセスの理解とその知識,さらに解剖を熟知しての手術手技が非常に重要です.そこで,本書の特徴として,病態診断から手術に至るプロセスを総論で理解できるような項目立てとしました.病態や手術適応に関する記載は手術手技の章と一部重なりますが,機能的脳神経外科を専門とはしない一般あるいは若手脳神経外科医が読者となることを考えて,あえて総論と手術各論の一部の重複は問題とはしないと考えています.てんかん手術に必要な脳波判読と画像診断については,特に初学者にもわかりやすく記載していただきました.
てんかん外科の各論では,側頭葉,新皮質,腫瘍性病変に対する根治的手技と緩和的治療についての解剖と手技について,図を多く取り入れて視覚で理解できるようになっています.硬膜下電極と深部電極の留置について,さらに,合併症対策や術中脳波の意義についても取り上げています.
定位脳手術の各論では,病態と手術適応,ターゲットの選択について,Parkinson 病,ジストニア,振戦についてふれ,図を見て手技の一連が読者に理解できるようになっています.
脳神経血管減圧術では,片側顔面痙攣と三叉神経痛に対する手術適応,術前画像による圧迫部位予測から手術方法の決定までの考え方,手術のコツとピットフォールについて,典型例から困難な症例まで解説していただきました.
目次でわかるように,執筆者は経験豊富で,さらに,本書の出版目的にご賛同いただいた先生を選んでいます.執筆していただきたい内容を事前に詳細にお伝えし,素晴らしい内容にしていただきました.本書は発案から出版まで時間がかかりましたが,その期間にアップデートした内容も追記しております.エキスパートのテクニカルノートとして,初学者から中堅の知識の整理にまで幅広く対応している本になりましたので,読者の先生方の日常診療が一層深厚なものとなれば望外の喜びです.
2024年4月
札幌医科大学 脳神経外科
教授 三國信啓
目次
第Ⅰ章 てんかんの病態診断と手術適応
1 てんかん原性領域の病態・・・國枝武治
臨床面
機 序
難治性の判断
外科治療
てんかんに関わる領域
2 てんかん手術に必要な脳波判読・・・森岡隆人,酒田あゆみ,迎 伸孝
脳波モンタージュ
デジタル脳波でのフィルタやサンプリングの設定
発作間欠期脳波:てんかん性放電との鑑別
発作時脳波
術中頭蓋内脳波
成人と小児の違い
3 画像診断・・・前原健寿
てんかん外科治療のためのMRI撮像法
MRIによる構造異常の描出
MRIによる脳機能異常の描出
PET,SPECTの撮影法
FDG─PETの有用性
SPECTの有用性
脳磁図の有用性
画像検査による脳機能の描出
MRI,FDG─PET,脳磁図を用いた手術症例
てんかん外科における画像診断のまとめ
4 手術適応と手術方法・・・花谷亮典
抗てんかん薬治療に対する抵抗性(難治性)の判断
術前評価
発作型と術式
侵襲的な検査が必要となる場合
第Ⅱ章 側頭葉てんかんの手術
1 側頭葉の解剖・・・旭 雄士,太組一朗
解 剖
機能と線維連絡
血 管
2 側頭葉前部切除術・・・臼井直敬,近藤聡彦
適 応
ポイント
方 法
3 経シルビウス裂到達法による選択的海馬扁桃体摘出術・・・森野道晴
適 応
ポイント
方 法
合併症の危険性
4 側頭下選択的海馬扁桃体切除術・・・三國信啓
適 応
ポイント
体 位
皮膚切開・開頭
硬膜内操作
5 海馬多切術・・・川合謙介
適 応
ポイント
効 果
手術器械
術中脳波
麻 酔
体位と頭位
皮膚切開と開頭
側脳室下角への到達
経シルビウス裂アプローチ
経上側頭回アプローチ
海馬多切の準備
海馬頭部の多切
海馬体部の多切
海馬外の追加処置
硬膜閉鎖,閉頭,閉創
術後の注意
合併症と限界
第Ⅲ章 新皮質てんかんの手術
1 大脳半球離断術・・・菅野秀宣
適 応
ポイント
体 位
皮膚切開・開頭・硬膜切開
硬膜内操作
閉 頭
成 績
合併症
2 脳葉切除術・・・岩崎真樹
脳葉切除・皮質切除の基本
前頭葉切除
後頭葉切除
3 軟膜下多切術・・・菊池隆幸
軟膜下多切術とは
軟膜下多切術の実際
軟膜下多切術の効果・合併症
4 硬膜下電極と定位的深部電極留置・・・宮尾 暁,久保田有一,中本英俊,川俣貴一
硬膜下電極(SDE)
定位的深部電極(SEEG)
SDEとSEEGの比較
第Ⅳ章 腫瘍性病変に伴うてんかんの手術
1 脳腫瘍・・・飯田幸治
難治性てんかんの定義と腫瘍関連てんかんの概念
脳腫瘍とてんかん原性領域(epileptogenic zone)
DNT関連てんかんの手術
重複病理(dual pathology)
側頭葉腫瘍関連てんかんにおける海馬摘出をいかに決めるか
2 海綿状血管腫・・・福多真史
手術適応
手術方法
予 後
第Ⅴ章 てんかんに対する緩和的外科治療
1 迷走神経刺激装置植込み術・・・山本貴道
適 応
効 果
副作用
ポイント
方 法
ジェネレータの交換
システムの抜去
まとめ
2 脳梁離断術・・・稲次基希,前原健寿
手術適応
離断範囲
体 位
皮膚切開と開頭
硬膜切開
脳梁へのアプローチ
前方の離断
体位変換と後方への離断
脳梁膨大部の離断
術後成績
第Ⅵ章 定位脳手術の適応疾患とその病態
1 Parkinson病・・・横地房子
Parkinson病に対する定位脳手術の変遷
外科治療の適応決定
外科治療の実際
標的部位と治療効果
定位脳手術に至るステップ
2 ジストニア・・・堀澤士朗,平 孝臣
淡蒼球内節脳深部刺激術:GPi-DBS
淡蒼球内節凝固術:pallidotomy
視床Vo核凝固術:Vo thalamotomy
選択的末梢神経遮断術:selective peripheral denervation
3 振 戦・・・森下登史,井上 亨,安部 洋
振戦の病態
手術適応上の注意事項
薬物療法
手術方法
第Ⅶ章 不随意運動に対する脳深部刺激療法
1 不随意運動に対する脳深部刺激療法・・・深谷 親
術前準備
ターゲットの同定法
手術手技
合併症
長期予後
第Ⅷ章 脳神経血管減圧術
1 片側顔面痙攣・・・畑山 徹
症状と適応
画像所見による圧迫部位の確認
手術決定までのプロセス
手術方法
術後の注意点
2 三叉神経痛・・・糟谷英俊,横佐古 卓
適 応
ポイント
方 法
副作用と限界
再発時手術
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書籍情報
- ISBN:9784895905923
- ページ数:264頁
- 書籍発行日:2024年5月
- 電子版発売日:2024年6月22日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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