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ココロとカラダの痛みのための邪道な心理療法養成講座

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2018年7月
  • 電子版発売日 : 2018年9月21日
2,640
(税込)
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商品情報

内容

邪道だけど読んだ後から役に立つ―脳と痛みの話

最新の文献から痛みや認知機能の異常が起きるシステムを、豊富な画像とともに脳機能の働きからマンガを交えつつわかりやすく説明するとともに、その理論に即した実践から導き出された具体的な治療法、特に心理療法について解説します。

序文

本書は邪道な養成講座シリーズの第三弾です.

今回は,慢性疼痛に対する共通対応を中心に,医療スタッフのみならず,当事者・家族にもわかりやすく,痛みに携わるすべての人に役立つ知識を解説しています.


さて,第一弾・第二弾と邪道な養成講座シリーズを読んでいただいた方は気づいたと思うのですが,第一弾は脳画像の話,第二弾は高次脳機能障害・発達障害・認知症の話と,いずれも脳の話でした.ここで,何で急に痛みの話に? と思われた方もいたかもしれません.しかし,本書を読んでいただけるとわかりますが,大部分は脳の話を書いています.なぜならば,カラダに起源のある痛みだったとしても,最終的に痛みを感じるところは脳だからです.本書は,単なる痛みの話の本ではなく,「脳と痛みの話に特化した本」とご理解いただければ幸いです.


私の医者としてのキャリアの多くは,リハビリテーション科(リハビリ科)ですが,脳卒中や脳外傷などの脳の病気やケガをたくさん診ていると,脳の話にどんどん詳しくなっていきます(それで,第一弾・第二弾と本を出したわけです).そしてそれと同時に,整形外科領域の疾患やその他の内科疾患も,何らかの機能障害があれば,リハビリ科として関わる時間も相当長くありました.この中に,痛みを伴う機能障害も,当然多く含まれていました.ペインリハビリテーションはリハビリ科で専門医資格を取るうえで習得しなければならない技術であり,私も専門医の一人です.ですので,門外漢が突然痛みの話をはじめたわけではないので,どうぞ安心してください.


さて,そんな環境で仕事をしていると,痛みを伴う機能障害があり,かつ,脳の病気やケガを基礎疾患としてもつ患者さんも多く診ます〔中枢性神経障害性疼痛(本編第6回参照)〕.中枢性神経障害性疼痛で最も有名な例は脳卒中後の視床痛ですが,たいていは片麻痺とともに同側の感覚障害・痛みがあり,場合によっては,高次脳機能障害も合併している,という病態をきたします.これであれば,リハビリ科の専門医であれば,適切な対応方法を知っています.しかし,中には,「痛みを伴う機能障害をもち,かつ,脳の病気やケガのような症状も合併しているけれども,明らかな脳の病気やケガが見つからない」,そんな例も多く経験します.私の場合,一番たくさん経験したのは脳外傷で,特に,交通事故による脳外傷(とそれに伴う高次脳機能障害)を見てきたわけですが,同時に,交通事故後に全身が痛くなり,頭の働きもなんだか悪くなっているけれど,脳に明らかな損傷が見つからない症例も多く見てきました.私は脳画像が特に専門なので,このような「従来の医学では説明がつかない痛みや障害」をもつ症例の脳画像解析を多く行ってきたわけですが,このような症例でも,統計画像解析をしたり,脳機能画像をとったりすると,痛みや認知機能の異常を説明できる場所に,しっかりと異常が示されることを,繰り返し経験してきました(カラー口絵参照:全て自験例です).


そして,それら症例の多くは,線維筋痛症の診断基準を満たしていました.

線維筋痛症は,今では,脳の機能障害に関連する病気と説明されることが増えてきたと思いますが,私がこの疾患にふれはじめた当時はそのようなことは全く知られておらず,原因不明の全身痛をきたす病気くらいにしか思われていなかったと記憶しています.当然,何の治療をすればよいのかもわからない状態でした.私がとった対策としては,統計画像解析や脳機能画像上の所見は,明らかな脳外傷がある人と変わらないのだから,脳外傷への対応と同様に,まずは運動や認知のリハビリ,あるいはそれに準じた治療をするようにしていました(認知行動療法を含め).すると,ほかの機能障害と一緒に,良くなるんですよね,痛みも.不思議でした.


そうしているうちに,線維筋痛症が脳機能障害に関連する病気と説明されているのを見かける機会がどんどん増え,治療の選択肢としても,運動療法や認知行動療法が有用であるというエビデンスが蓄積されていき,「なるほどやっぱりな」と.そんな流れの中で,縁あって,メンタルクリニックでの線維筋痛症専門外来を任されることになり,今回,脳と痛みの話を,心理療法養成講座としてまとめようと着想したわけです.


裏表紙に,「戦争中銃で撃たれても痛くなかった例」を書いたように,痛みの心理療法は,精神的な痛みのみならず,身体疾患や外傷による痛みにも有効で,慢性疼痛だけでなく急性疼痛にも有効です.これは,心理療法が脳に影響を及ぼす治療であり,痛みを感じるのは脳だからです.本書は,脳が痛みにいかに大きく関わっているのか? その理解を助けるために,多くの頁を割いています.そして,脳と痛みの関係,その性質を理解したうえで,痛みの心理療法を学べるように,最大限,工夫したつもりです.また,病院・クリニックで実施される心理療法だけでなく,日常生活・社会生活の中に心理療法の効果を取り入れていく邪道な方法についても書いています.


本書は,「【月刊】地域リハビリテーション」誌に連載されていた総説論文の単行本です.少なくとも,本編の第1回~第6回(整数ナンバーのみ)までは,医学中央雑誌(医中誌)で検索するとヒットしますので,参考文献にしていただいても大丈夫ですよ!それでもまんがは不安だ!信用できない!という方のために,特別編は文章を中心に構成し,参考文献・引用文献がはっきりわかるように書いてあります.孫引きして調べてもらえれば,まんがである点以外は,そんなに邪道なことばかり書いているわけでもないことはわかると思います!


痛みについて極めようという方にも,これから勉強してみようという方にも,自分の治療に役立てようという方にも,本書が痛みに携わる皆さんのお役にたてば幸いです.


2018年6月

粳間 剛

目次

本編

養成講座第1回 検査で異常がなければ痛みは精神的なモノ?

養成講座第2回 プラセボ反応とノセボ反応の話①

養成講座第3回 プラセボ反応とノセボ反応の話②

養成講座第4回 痛みをストレスのセンサーとして使おう

養成講座第4.5回 注意の方向づけによる痛みの心理療法─Stress-induced analgesiaの話と心身症の話

養成講座第4.75回 ストレスに鈍い病態(アレキシサイミアとアレキソミア)

養成講座第5回 「痛みの診断的治療」と「痛みの分類」

養成講座第6回 中枢性神経障害性疼痛とDysfunctional pain

養成講座第6.5回 認知行動療法(マインドフルネス瞑想)を体験しよう!


特別編

養成講座第1回 痛みの心理療法

なぜ慢性疼痛に心理療法が必要なの?

日常で自然と起きているストレス誘発鎮痛とdistractionによる鎮痛

痛みに注意を向けないためには何をすべきか?

内向きの注意と外向きの注意のトレードオフ関係を知ろう

注意を外向きにする「レーズンのエクササイズ」

「レーズンのエクササイズ」で期待される効果

「レーズンのエクササイズ」がよくわからなかった人のために

注意の方向づけを間違うと,ストレスで痛みはひどくなる

ストレス要因に気づく方法

社会生活の中でもできる,distractionによる鎮痛

注意の方向づけに関連した認知行動療法,特にdistraction鎮痛をするうえでの注意点

痛みと注意の関係は因果より円環で捉える


養成講座第2回 プラセボ反応・ノセボ反応のくわしい話

プラセボ効果の学術的な定義・メカニズム

プラセボ反応に含まれないもの

心理社会的・心理生物学的な因子が関わるモノ


養成講座第3回 脳機能障害による慢性疼痛─線維筋痛症と身体表現性障害(身体症状症)

dysfunctional painの代表疾患─線維筋痛症と身体表現性障害(身体症状症)

線維筋痛症に対する治療─心理療法を組み込んだ運動療法

本邦の線維筋痛症診療ガイドライン(2017年版)


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書籍情報

  • ISBN:9784895906364
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2018年7月
  • 電子版発売日:2018年9月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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