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- 高次脳機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座 実戦編
商品情報
内容
ADHDやASDといった発達障害のある当事者の困りごとの原因として、注意障害などがトピックとなってきた。問題の主体は、社会的コミュニケーションの問題、あるいは共感性の問題と呼ばれているものである。知能に問題がなくても、共感性、社会性に問題があれば、社会生活はできない。また、こうした社会性の問題は、知能の問題をも伴う高次脳機能障害でも認知症でもおきる。だからといって知能の問題だけに注目していていいだろうか?社会性の支援はどうしたらいいだろうか?
注意と感情を他者と共有することは、共感性の礎になる。そのため、本書では、まず共感性の基礎作りとなる注意の要素訓練(マインドフルネス瞑想)と感情を他者と共有する能力(情動の伝染)について紹介し、その応用段階である社会的な視点取得の解説へとすすみ、最終的には「当事者の視点に基づく支援」すなわち「ポジティブな行動支援」の具体的な話へと展開する。社会性の支援のためには、限りある当事者の「注意資源」を「社会性に割り振るためのコツ」が必要である。
あなたの知らない「社会リハビリテーション」がつまった新しい1冊である。
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序文
はじめに
本書は邪道な養成講座シリーズの第四弾です.シリーズ第二弾である『高次脳機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座(以下,前シリーズ)』の続編で,社会性の支援のお話がメインの“実戦編”になります.
なんで社会性の支援が実戦編になるの? 認知リハビリの話とかしないの と,認知症や高次脳機能障害などの“認知機能畑”出身の方には,社会性の支援を重視するスタンスには違和感があるかもしれません.高次脳にせよ発達障害にせよ認知症にせよ何にせよ,従来はなんでも知能の問題のせいにされてきました.あるいは,失行,失認,失語といった巣症状が原因と考えられていて.当事者の困りごとの原因として,注意障害などがトピックになってきたのは本当に最近の話です.このことについては前シリーズに書きましたが,注意機能が注目されるようになってきてもあくまで知能の構成要素としてであって,知能を最重視するスタンス自体は変わっていないと言えるでしょう.
一方で,知能に問題がないとされる,注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)といった新興の発達障害も,社会生活に支障をきたすことがわかってきました.特に,「大人の発達障害」として,話題になっていますね.彼らの問題の主体は,社会的コミュニケーションの問題です.俗に,共感性の問題と呼ばれているものです.空気が読めないとか.知能に問題がなくても,共感性,社会性に問題があれば,社会生活はできないのです.社会性の問題は,高次脳機能障害でも認知症でもおきます.しかも,知能の問題も伴って.でも知能の問題だけに注目していていいのでしょうか?社会性の支援はどうしたらいいの?
実は,高次脳機能障害に対するエビデンスがある支援として前シリーズで紹介した「ポジティブな行動支援」は社会性の支援です.一方で,知能がよくなるような支援はありません.認知リハビリと称して,注意や記憶や言語などの,知能の構成要素を訓練したくなる気持ちはわかりますが,要素的な訓練よりも社会リハビリテーションに力を注いだほうが効率がよいのです.しかも,病院のリハではなく地域支援として実践できる.
本書でも最初は,要素訓練の話を書いています.漫画編の第1回は,マインドフルネス瞑想で注意を訓練する話について書きました.しかし,ここで注意の底上げをはかるのは,それ以降の社会性の支援のためです.要素訓練を重要視しているのではなく,社会性の支援のための基礎作りに必要だから最初に書いたのです.注意資源という言い方をするように,注意には限りがありますが,本連載の注意訓練は「注意資源を社会性に割り振るためのコツ」,その解説に特化させました.続く第2回では,感情を他者と共有する能力(情動の伝染)も,マインドフルネス的に捉えた解説をしました.注意と感情を他者と共有することは,共感性の礎になるからです.
本書は,まずマインドフルネス瞑想で共感性の基礎作りを促し,その応用段階である社会的な視点取得の解説とすすみます.そして,最終的には「当事者の視点に基づく支援」の話へとすすみます.この,当事者の視点に基づく支援の代表例が前シリーズで解説していたポジティブな行動支援です.これで話が1周しましたね.
さて,あくまで続編の本書ですが,基本的には前シリーズを読んでいない方にもわかるように書いてあります.予備知識0でも大丈夫です.本書から邪道な養成講座シリーズに来た人も安心して読みすすめてくださいませ.また,随所に前シリーズとの話のつながり・整合性についても説明していますので,本書を読んだあとに前シリーズに戻る…という楽しみ方もできると思いますよ!(宣伝).注意や共感性の話だけじゃ物足りないよ! という方も,前シリーズに戻るといいですよ!(宣伝).大事なことなので2回言いました.
本書のおススメな読み方(重要)
本書の本編(整数ナンバーの話数の漫画)は「【月刊】地域リハビリテーション誌」に連載されていた総説になります.小数点ナンバーの漫画,および,「文章で総復習編」(98頁~)のところは単行本化の際の書き下ろしになります.特に,小数点ナンバーの漫画は,連載では字数制限の関係で説明しきれなかった部分や,前シリーズとのつながり・整合性の関係についての解説を書き足したものです.ですので,小数点ナンバーの漫画は整数ナンバーの漫画より「難しい」と感じる方もいるかもしれません.でもでも! 元々は整数ナンバーの漫画だけで解説が成り立つように連載していたものです.小数点ナンバーの漫画が難しかったら一旦読み飛ばして…,まずは整数ナンバーの漫画だけ読むような読み方でも話はつながります.
本書は,「第1回→第1.5回→第2回→第2.5回…」のように,ページの順番通りに読んでも,「第1回→第2回→第3回→第4回→第5回→第6回と読んで概要を理解してから,第1.5回→第2.5回…と,小数点ナンバーの漫画を読む…」のような読み方でも,どっちでも話が通るように工夫して書いてあります.よかったら両方の順番の読み方を試してみてくださいね!「文章で総復習編(98頁)~」のところは全体の総おさらいです.漫画部分だけでは理解できなかった部分があっても,おさらいで理解できるかもしれませんから最後まで読んでね!
高次脳機能障害・発達障害・認知症の社会支援について極めようという方にも,これから勉強してみようという方にも,自分の治療・支援に役立てようという方にも,本書が高次脳機能障害・発達障害・認知症の社会支援に携わる皆さんのお役にたてば幸いです.
目次
【漫画編】
第1回 注意機能向上のためのマインドフルネス瞑想
第1.5回 注意は全ての認知機能の土台
第2回 「情動の伝染」と「ソーシャルタッチ」
第2.5回 情動の伝染と、慰め(consolation)の話
第2.75回 真の共感と偽の共感?―情動の伝染と自己投影の話
第3回 共同注意の問題とその支援
第3.5回 共同注意と言語の話―Loopingと認知バイアス
第4回 社会的コミュニケーションと視点取得
第4.5回 視点取得の成長と発達のプロセス,まとめ
第5回 心の理論theory of mindと,視点取得
第5.5回 心の理論はマトリョーシカ?―入れ子構造を理解しよう!
第6回 当事者の視点に基づく支援
第6.5回 医療者の視点に基づく支援も大事
【文章で総復習編】
1 視点取得の正常発達とその障害(発達障害)
1.注意の共有―共同注意(生後10か月頃~)
2.感情の共有(情動の伝染:5歳頃~)
3.記憶(体験と知識)の共有
2 共感性の正常な老化とその障害(認知症等)
A.共感性の正常な老化
1.注意の老化
2.記憶の老化
3.その他の老化(含む,感情と社会的認知機能)
B.認知症性疾患と高次脳機能障害に伴う共感性の変化
1.アルツハイマー病
2.前頭側頭型認知症
3.後天性脳損傷(脳血管障害・脳外傷など)
3 当事者の視点に基づく支援
A.当事者の視点とは
「当事者の視点に基づく」とは,その人の感じる世界を追体験しようとすること(That’s共感)
知識よりも共感に基づく当事者視点の取得をしよう
B.ポジティブな行動支援
PBSでは「医療者(支援者)の視点」を意識して抑えるべき場面がある
目的論の観点が大事(「その行動は何のため?」「結局,何がやりたいんだろう?」
PBSで共感性が必要なのは何のため?
C.医療者(支援者)の視点
社会的行動とは
社会的行動と問題行動,セーフとアウトの線引き
どこまで社会は環境調整できるのか?
医療者の社会的役割(立場)と合理的配慮
おまけのページ
歩数を数える散歩
運動模倣―Moter mimicry
Loopingのいろいろ
心の理論課題難易度MAX問題
「ネコに天罰」
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書籍情報
- ISBN:9784895906999
- ページ数:148頁
- 書籍発行日:2020年8月
- 電子版発売日:2022年2月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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