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- 前庭リハビリテーション ― めまい・平衡障害に対するアプローチ 第2版
商品情報
内容
前庭からの情報は、眼球運動や頸部固有感覚からの情報と統合され平衡機能を司っており、前庭機能や頸部の障害によりめまいや身体不安定性を誘発する。前庭障害に悩んでいる人は多く、リハビリテーションのニーズが高まっている領域である。
第2版では、米国のガイドラインやロマリンダ大学での取り組み、本邦での指針を踏まえて加筆を行い、初版を大幅に改訂した。医師による医学的評価・診断と強く連携し、1章、2章、3章をわかりやすく整理するとともに、4章以降には著者らの新たなデータを追記した。前庭リハビリテーションの手法について写真を多用し、さらに動画を追加した。
卒前教育のテキストとして、また臨床現場のバイブルとして、めまい患者の治療や前庭機能の改善に寄与する一冊!
序文
第2版序文
本書は2015年に初版が発行されました.当初,本邦では末梢前庭障害に対するリハビリテーションは認知度が低いことから,コメディカルには新しい領域として目に映ったことと思います.その後,初版編集者の中山明峰先生,目白大学耳下学研究所クリニック院長 伏木宏彰先生,医長 角田玲子先生のご協力により研究会を立ち上げ,医師および理学療法士を中心としたコメディカルに参加いただくなかで,興味をもっていただける方々が増えていきました.
2013年,第113回日本耳鼻咽喉科学会において,肥塚 泉先生(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授)より「めまいリハビリテーション」が紹介されて以降,前庭リハビリテーション(めまいリハビリテーション)の必要性は認識され,2017年の第76回日本めまい平衡医学会では,宇佐美真一学会長(信州大)のお取り計らいにより,テーマセッションで「科学的エビデンスに基づいためまいのリハビリテーション」の講演を企画していただきました.
私が2009年に日本めまい平衡医学会に入会した当時,理学療法士の会員は非常に少ない印象でしたが,2021年には,塩崎智之先生を中心に日本前庭理学療法研究会(https://www.jvpt-shince2021.net/)が設立され,翌年の第81回日本めまい平衡医学会の企画には,「日本前庭理学療法研究会実践セミナー」が組み入れられ,医学会のなかでの認知も大いに高まっていると思います.
一方,日本運動器理学療法学会理事長 対馬栄輝先生のご推薦による学会企画や,第20回日本神経理学療法学会学術大会(森岡 周学会長)では,前庭リハビリテーションのセッションが設定されました.このように本邦では初版以来,目覚ましく前庭リハビリテーションは認知されています.
2016年,2022年には,米国理学療法士協会よりガイドラインが示され,前庭リハビリテーションの方針がさらに充実しました.名古屋市立大学病院では2021年4月より耳鼻咽喉・頭頸部外科の岩﨑真一教授,蒲谷嘉代子先生,リハビリテーション医学分野の植木美乃教授,村上里奈先生を中心に,前庭リハビリテーショングループが再構成され,医師による医学的評価・診断と強く連携した,めまい患者の理学療法が進められています.また,前庭をキーワードとした,地域住民やスポーツ選手に対する研究も進んでいます.
第2版では,2016年,2022年に示された米国におけるガイドラインやロマリンダ大学での取り組み,本邦での指針を参考に加筆するとともに,初版の1章,2章,3章をわかりやすく整理し,4章以降には私たちのデータを追記しました.
第2版は,初版以降の本邦での取り組みを踏まえ,三輪書店社長 青山 智氏,野沢 聡氏のご理解により,発刊の機会を得ることができました.前庭リハビリテーションに出会って以来,ご指導をいただいているロマリンダ大学EverettB. Lohman Ⅲ教授,Eric G. Johnson教授,臨床や研究でご指導・ご協力をいただいている名古屋市立大学病院リハビリテーション科のスタッフの方々,日本福祉大学健康科学部関係者の皆さま,医療法人ミズタニ理事長 水谷武彦先生,水谷病院副院長 水谷陽子先生,医療法人孝友会理事長 浅井貴裕先生に感謝申し上げます.
最後に,前庭リハビリテーションとして診療報酬が認められることを切に願うとともに,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の卒前教育のテキストとして,臨床現場でのバイブルとして活用していただき,めまい患者の治療や前庭機能の改善に貢献できることを期待いたします.
2023年8月
浅井友詞
目次
第1章 前庭系の構造と機能・・・岩﨑真一
Ⅰ 前庭系の構造
1.内耳の構造
2.前庭の機能と構造
Ⅱ 前庭系の情報伝達経路と機能
1.前庭動眼反射
2.前庭脊髄反射
3.前庭自律神経反射
4.小脳の機能
5.大脳の関与
Ⅲ 体平衡の維持機構
1.固有感覚系
2.視覚系
Ⅳ 前庭代償
第2章 前庭系の障害・・・岩﨑真一,蒲谷嘉代子,勝見さち代
Ⅰ 前庭神経炎
Ⅱ メニエール病
Ⅲ 良性発作性頭位めまい症
Ⅳ 両側前庭機能障害
Ⅴ 心理的要因によるめまい,持続性知覚性姿勢誘発めまい
Ⅵ めまいを生じる中枢疾患:小脳・脳幹梗塞,椎骨脳底動脈循環不全
Ⅶ 加齢
Ⅷ その他:聴神経腫瘍,起立性調節障害,動揺病
第3章 前庭リハビリテーションを行う際に必要な評価・・・浅井友詞,蒲谷嘉代子,川村愛実,Eric G. Johnson
Ⅰ めまい・平衡障害の検査と評価法の種類および注意事項
1.評価法の種類
2.評価を行う際の注意事項
Ⅱ 前庭リハビリテーション領域における評価
1.前庭リハビリテーションを行う際に必要な主観的評価法
2.感覚検査
3.協調性検査
4.頸部機能評価
5.筋力の評価
6.姿勢の評価
7.動きの感受性の評価
8.静的バランス評価
9.動的バランス評価
10.移動機能
Ⅲ めまい・平衡障害の診断のための検査
1.眼振検査
2.前庭機能検査
3.小脳脳幹機能検査
第4章 前庭機能低下症に対するリハビリテーション・・・浅井友詞,川村愛実,Eric G. Johnson
Ⅰ 前庭リハビリテーション
Ⅱ 前庭障害における回復のメカニズム
1.Gaze stability exercise
2.Habituation exercise
3.Substitution exercise
4.その他の方法
Ⅲ 結果に影響する因子
1.年齢
2.発症してからの時間経過
3.心理的・精神的要因
4.障害部位
5.視覚と体性感覚の入力
6.前庭リハビリテーションの継続期間
7.個別リハビリテーション
Ⅳ 症例紹介
1.症例A
2.症例B
3.症例C
第5章 良性発作性頭位めまい症に対するリハビリテーション・・・浅井友詞,川村愛実,Eric G. Johnson
Ⅰ BPPVの治療とリハビリテーション
Ⅱ 後半規管型BPPVに対する前庭リハビリテーション
1.Canalith Repositioning Treatment(CRT)またはEpley法
2.Semont法またはLiberatory法
3.Brandt-Daroff exercise
4.頭部・眼球運動などの前庭刺激
Ⅲ 外側半規管型BPPVに対する前庭リハビリテーション
1.Lempert法またはBBQ Roll
2.そのほかの頭位変換治療
Ⅳ BPPVに対するホームエクササイズ
1.Rolling-over maneuver
Ⅴ 前庭リハビリテーションの効果
Ⅵ 前半規管型BPPVに対する前庭リハビリテーション
第6章 頸部障害のリハビリテーション・・・浅井友詞,浅井勇人,Everett B. Lohman
Ⅰ 頸部障害
1.外傷性頸部症候群
2.姿勢による影響
3.頸部筋疲労
Ⅱ 評価
1.関節可動域
2.固有感覚の評価
3.姿勢安定性の評価
4.視覚検査
Ⅲ 頸部リハビリテーション
1.プログラム
2.関節可動性の改善
3.Gaze stability exercise
4.頸部固有感覚トレーニング
5.姿勢指導
第7章 さまざまな前庭トレーニング・・・浅井友詞,浅井勇人,Everett B. Lohman
Ⅰ 姿勢制御
1.前庭機能
2.視覚と眼球運動
3.体性感覚
4.姿勢戦略
5.歩行における役割
Ⅱ 転倒予防に対するトレーニングへの応用
1.加齢が前庭に及ぼす影響
2.高齢者の機能障害
3.日常生活様式
4.高齢者に対するトレーニング
Ⅲ スポーツ選手に対するトレーニングへの応用
1.姿勢制御
2.身体のコア機能
3.トレーニング方法
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書籍情報
- ISBN:9784895907903
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年11月3日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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