• ページ数 : 296頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年10月27日
6,600
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商品情報

内容

近視進行の抑制と治療の最前線をエビデンスに基づいてアップデート!
本書では、初版で網羅した小児の近視の知見を最新のエビデンスに基づいてアップデートし、進行抑制と治療の現状をリニューアルしました。
特に、
・文部科学省の近視実態調査
・近視の眼鏡処方
・オルソケラトロジー
・低濃度アトロピン点眼
・特殊眼鏡/コンタクトレンズ
・レッドライト治療
・眼軸長での近視進行管理
・PreMOリスク指標による近視の発症/進行の評価
・3歳児健診への屈折検査導入
・日本眼科医会の取り組み
といったわが国の近視の最前線を、加筆・改訂しています。

序文

第2版の序

近年,小児の近視が東アジア諸国だけでなく世界的に急増し,重要な社会問題となっている.2020 年以降のCOVID - 19 感染拡大による外出規制などの影響により,その増加はさらに加速化している.近視の多くが小児期に進行することから,この時期の近視の管理と治療は生涯にわたり重要な影響があると考えられる.

初版の『小児の近視―診断と治療』は,小児の近視に対する教科書として多くの方にお読みいただき好評を得た.今回の第2 版では,最新の情報とアップデートされたガイダンスを提供している.今回,新たに加わった点としては,わが国で初の近視調査である,文部科学省の「児童生徒の近視実態調査」の結果の概要,小児の近視の定義と診断基準に関するIMI(国際近視研究所)の指針,近視の診断と管理に眼軸長を用いる新たなアプローチや最新のソフトウェアがある.これらにより,より精確な診断と効果的な管理が可能となる.

さらに,小児の近視の早期発見と早期介入の重要性にも焦点を当て,海外で採用されている新たな評価方法や管理のガイドラインである「PreMOリスク指標」とIMI の「臨床近視抑制法ガイドラインレポート」を紹介している.

近年大きな話題になっている近視進行抑制治療に対しては,オルソケラトロジー,低濃度アトロピンなどの従来の治療に加え,新たな近視治療法であるレッドライト治療についても詳しく説明し,最新の研究および治療について解説した.

また,学校保健における健康診断についても触れ,3 歳児健診での屈折検査の効果や,日本眼科医会が行う啓発活動についても紹介している.巻末には,日本近視学会や日本眼科医会などの近視や近視進行予防の啓発活動の情報をQR コードとしてまとめて掲載し,日常診療や患者さんの啓蒙に役立つと期待される.

小児の近視に関する最新の知識とアプローチを満載した本書が,小児の近視の診断と管理において先生方のお役に立てることを願っている.


2023年10月

日本近視学会 理事長 大野京子
日本小児眼科学会 理事長 東 範行
日本視能訓練士協会 会長 南雲 幹

目次

序論 ─ 小児の近視に対する考え方と疫学

小児の近視に対する考え方 所 敬

 統計上の正視と近視

 日本の小児近視の頻度

 近視の発生原因

 小児の近視の進行

 小児の近視に対する近視進行抑制法

 小児の近視の治療

 小児の近視の予防法

小児の近視の疫学:最近の動向と今後の予測(日本および世界) 川崎 良

 小児の近視有病割合

文部科学省「児童生徒の近視実態調査」 川崎 良

 調査の概要

 結果および今後の展望

総説 ─ 近視の分類 大野京子

背景 — 増加を続ける近視

近視とは何か

 近視と眼軸長

近視の分類

 程度による分類

 発症時期による分類

 視覚障害の合併による分類

今後の課題

 小児の近視の増加は病的近視による失明につながるか?

小児の近視の定義 診断基準 五十嵐多恵

学童期の近視の定義と分類

 近視の定義

 近視の分類

小児の近視を診断するための調節麻痺薬と検査の適切な選択

 調節麻痺薬

 検査方法

調節緊張(いわゆる偽近視)と弱度近視の鑑別

 従来の偽近視の診断基準

 現在の偽近視の診断基準

診断

近視を診断するための検査 宇田川さち子 杉山能子

 調節麻痺下屈折検査と非調節麻痺下屈折検査

 他覚的屈折検査

 自覚的屈折検査

 眼軸長測定

 眼底検査

鑑別診断 宇田川さち子 杉山能子

 機能的弱視

 調節けいれん

 先天停在性夜盲

眼軸長測定の必要性 十河亜梨紗

 眼軸長の測定法

 成長に伴う眼軸長の変化

 眼軸長測定の有用性

眼軸長を近視の診断と管理に用いる方法 五十嵐多恵

 近視の診断に必要なパラメータ

 近視進行の管理に適したパラメータ

 小児期の近視進行を眼軸長で管理する方法

小児の屈折検査のコツ

他覚的屈折検査 保沢こずえ

 オートレフラクトメータ(オートレフケラトメータ)

 検影法

 検査方法の選択

 他覚的屈折検査の落とし穴(症例)

自覚的屈折検査 長谷部佳世子

 自覚的屈折検査の注意点(ポイント)

 自覚的屈折検査の流れ

 自覚的屈折検査の方法(症例)

弱視視能矯正 長谷部佳世子

 弱視視能矯正の症例

注意が必要な症例への対応 南雲 幹

 調節けいれんが疑われる症例

 心因性視覚障害が疑われる症例

 病的近視で矯正視力が出ない症例

 発達障害(神経発達症)がある小児の場合

屈折矯正法

 眼鏡処方 五十嵐多恵 福下公子

 乳幼児期や学童期に近視眼鏡を処方する目安

 完全矯正眼鏡と低矯正眼鏡

 過矯正眼鏡

 特に注意したい病態の眼鏡処方

 レンズ中心間距離(心取り点間距離)の決定

 フィッティング状態の確認

実際の眼鏡処方例(ケーススタディ)

 幼児期からみられる強度近視 富田 香

 就学にあわせて眼鏡を処方する近視 富田 香

 進行する近視にあわせた眼鏡の再処方 富田 香

 心因性視覚障害 杉山能子

 内斜視(アトロピン硫酸塩調節麻痺下屈折検査) 杉山能子

 非屈折性調節性内斜視 杉山能子

 外斜視(シクロペントラート塩酸塩調節麻痺下屈折検査) 杉山能子

 学童の強度近視 福下公子

 コンタクトレンズと眼鏡の併用 福下公子

小児や障害児に適した眼鏡—デザインと装用させるコツ 仁科幸子

 小児や障害児に対する眼鏡デザイン

 眼鏡処方後の管理

 眼鏡を装用させるコツ

小児とコンタクトレンズ 佐野研二

 小児のコンタクトレンズの適応

 小児に対するコンタクトレンズ処方の実際

 小児のコンタクトレンズ定期検査

 小児への特殊コンタクトレンズ処方

 スポーツ用眼鏡

 コンタクトレンズは高度管理医療機器

小児の近視の進行抑制

オルソケラトロジー 平岡孝浩

 オルソケラトロジーとは

 光学的眼軸長測定装置の登場

 オルソケラトロジーの臨床研究

 近視進行抑制のメカニズム

 低濃度アトロピン点眼との併用療法

眼鏡およびコンタクトレンズ 長谷部聡

 眼軸長の視覚制御機能の発見

 網膜後方へのデフォーカスが生じる原因

 多焦点(multi-focus)レンズと近視進行抑制

 多焦点コンタクトレンズと近視進行抑制

 調節誤差マップと多焦点レンズの限界

 多分割(multi-segment)レンズと近視進行抑制

低濃度アトロピン 西山友貴 森山無価

 近視進行抑制効果

 点眼中止後のリバウンド

 副作用

 アトロピン治療における近視進行のリスクファクター

 人種に関する研究

 低濃度アトロピン治療の現在

 日本における低濃度アトロピン治療

レッドライト治療 五十嵐多恵

 レッドライト治療の近視進行抑制効果と副作用

 脈絡膜厚の変化と治療効果の予測

 レッドライト治療はなぜ効くのか?

その他の抑制方法 大野京子

 薬物療法に関するもの

 生活環境改善に関するもの

 その他

早期診断と早期介入の可能性 五十嵐多恵

近視の発症と進行のリスクを評価する

 Brien Holden眼研究所の「近視管理ガイドライン」

 PreMOリスク指標を用いた近視管理

近視の進行抑制治療と介入時期

 評価と経過観察の間隔

 治療法別の開始時期

長期的管理が必要な病的近視の早期診断と鑑別

学校保健における健康診断 柏井理子

学校保健の変遷と健康診断

3歳児健康診査における視覚検査

 弱視スクリーニングの難しさと見逃し

 屈折検査導入へ

 これからの3歳児健診視覚検査が担うこと

学校での視力検査

 視力検査の実施方法

 事後措置について

学校保健での健診の活性化や啓発

 文部科学省GIGAスクール構想と近視実態調査

 眼科学校医や眼科医の役割

 小児科医の役割

 視能訓練士の役割

小児の近視の環境因子 方 雨新(Yuxin Fang) 大野京子

教育

 教育水準との関連

 近業との関連

 パソコンやスマートフォンとの関連

屋外活動

 屋外活動時間との関連

 なぜ屋外活動は近視の発症を抑制するのか?

 近視の進行を抑制するために,屋外活動を推奨すべきか?

 COVID-19感染拡大に伴う生活様式の変化での近視の進行

強度近視における環境因子の関与

近視の遺伝子研究 細田祥勝 山城健児

連鎖解析とMYP locus

近視に対するゲノムワイド関連解析

 近視感受性遺伝子の特定

 小児の近視発症と遺伝子

強度近視に対するゲノムワイド関連解析

近視の動物研究 世古裕子

実験近視とは?—視性刺激遮断近視(FDM)とレンズ誘発性近視(LIM)

 実験近視に用いられてきた動物

 実験近視の病態

小児の近視 Q & A 東 範行

1 近視についての基本的な質問

2 近視の進行の原因と予防

3 近視進行予防や治療の医療行為

4 眼鏡とコンタクトレンズ

5 近視の合併症

近視や近視進行予防の情報ページ


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書籍情報

  • ISBN:9784895907972
  • ページ数:296頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年10月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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