意思決定支援 こんなときどうする!?

  • ページ数 : 224頁
  • 書籍発行日 : 2024年9月
  • 電子版発売日 : 2024年9月19日
3,850
(税込)
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商品情報

内容

患者・家族の真のニーズがみえていますか?

コミュニケーションを失敗するケースには一定のパターンがあり、それは裏を返せば犯しやすい過ちを知っておくことで失敗を未然に防げるケースが多いということです。
本書は著者が実際にかかわった意思決定支援における25のケーススタディで構成されています。会話の中での「もやもやポイント」「すれ違いポイント」「失敗ポイント」から、コミュニケーションがうまくいかない悩みの解決の糸口を提示します。
想像力が足りずに無意識のうちに相手を傷つけていたケース、医学的妥当性を振りかざして返り討ちに会ったケースなど、うまくいったケースも、うまくいかなかったケースも正直に再現しました。言葉遣いにも着目していただき、「いるよね、こういう医者」とか、たくさんの突っ込みを入れながら読んでください。
意思決定支援における数々の失敗例、成功例と真摯に向き合い、想像力を磨くことで、患者、家族の真のニーズがみえてきます。

序文

はじめに

初期臨床研修医になったばかりの頃、消化器内科をローテートしていた際に、先輩医師から言われた言葉を今でも覚えています。「若いうちにいろいろな先生のICを見たほうがいいよ。若いうちしか見る機会ないから」との言葉で、インフォームド・コンセント(IC)は見て学ぶものなのだ、と理解しました。

その言葉は間違っていない、と今でも思います。それでも、病棟や外来で多くの先輩のICを見て、自分自身が大学病院、急性期病院、慢性期病棟、在宅医療で診療に携わってきて、場所を問わず、失敗ケースには一定のパターンがあるのではないか、と考えるようになりました。

裏を返せば、犯しやすい過ちを知っておくことで防げるコミュニケーションエラーも多い、ということを意味します。コミュニケーションは、医療を進め、患者や家族にとって最善の形に着地するための手段に過ぎません。しかし、コミュニケーションエラーは医療者のストレスになるだけでなく、患者や家族にとっても苦しみを生み、最善の形に進む道が閉ざされてしまうことになりかねません。

失敗体験の共有によってコミュニケーションエラーが未然に防げるのではないか、という思いから、本書の構想はスタートしました。これからご紹介するケースは、基本的に私がかかわったケースです。想像力が足りずに無意識のうちに相手を傷つけていたケースや、医学的妥当性を振りかざして返り討ちに会ったケースなどが含まれています。「いるよね、こういう医者」とか「こんなやりとりしちゃダメだよ」など、たくさん突っ込みを入れながら読んでください。

10年前に担当したケースも含まれていますが、よくも悪くも、印象に残っているケースは会話も鮮明に覚えています。個人の特定を避けることと、読者の皆さんにも理解されやすいようにするために、細部の設定は変更しています。その一方、現場の空気感を感じとっていただきたいため、会話のやりとりはできるだけ忠実に再現しました。うまくいったケースも、うまくいかなかったケースも、正直に再現したつもりですので、言葉遣いにも着目しながら読んでいただけるとありがたいです。

各編はどのケースを取り出しても単独で理解できるようにまとめています。気になったケースから目を通してみてください。


2024年7月

水野 慎大

目次

I 失敗から学ぶコミュニケーション

 1 本人が病状を否認しているケース

 2 本人は病気を受容しているが、家族が諦めきれないケース

 3 家族内の方針がバラバラで、話し合いが成立しないケース

 4 自宅での看取りを望む余命の短い本人を、入院させようとする家族

 5 自宅に帰りたい本人と、自宅は無理だと言う家族

 6 最期まで一緒に過ごしたい家族と、一人でいたい本人

 7 在宅支援者と病院担当者で意見が分かれたケース

 8 何を望んでいるかを話してくれないがん末期のケース

 9 何度も説明と同意を行ったにもかかわらず、死後に病状説明を求められたケース

 10 家族の希望が高過ぎて医療者の説明を受け入れられないケース

 11 家族が自分らの望む治療以外を受け入れないケース

 12 前主治医の治療方針に固執し、主治医の説明を聞き入れないケース

 13 主治医と担当看護師で意見が分かれたケース

II 相手の考えを想像したコミュニケーション

A 疾患別のアプローチ

 1 がん終末期のケース

 2 誤嚥性肺炎を繰り返しているケース

 3 神経難病の診断を受けて間もないケース

 4 嚥下が難しいにもかかわらず、 家族が経口摂取を諦められないケース

 5 繰り返し心不全で入院しているケース

 6 療養方針が分岐点に立った老衰のケース

B 状況別のアプローチ

 1 病棟主治医を引き継いだ場合

 2 在宅医療の初回介入時

 3 在宅医療で病院搬送を迷う場合

C 想像を広げて一歩踏み込んだアプローチ

 1 話し合いを通じて得られた気づきが方針転換につながったケース

 2 状況から想像する

 3 意図的に投げかける

III 相手の考えていることを想像するヒントの探し方

 1 相手に「興味をもつ」ことと「観察する」こと

 2 相手の本音はどこにある?

 3 「未来」を考えるうえで「過去」を振り返る

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784895908252
  • ページ数:224頁
  • 書籍発行日:2024年9月
  • 電子版発売日:2024年9月19日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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