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- 難聴・耳鳴診療ハンドブック―最新の検査・鑑別診断と治療 <プラクティス耳鼻咽喉科の臨床 5>
商品情報
内容
医師は,その多彩な原因疾患と病態を把握し,最新の診断基準とエビデンス,科学的知見に基づき診療にあたらなくてはならない.本書では,第一線の執筆陣により難聴・耳鳴の原因疾患,検査・鑑別診断,治療・リハビリテーションなど診療のすべてを解説.とくに,軟骨伝導補聴器,鼓膜再生療法,CTP検査,小児の聴覚心理学的検査(VRA)については,ビデオ解説あり.耳鼻咽喉科専門医だけでなく,専門医を目指す専攻医にも手元に置いてすぐに参考になるハンドブックとなっている.
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序文
序文
難聴は小児の場合は言語発達に大きな影響を与え,高齢者であればコミュニケーションの障害にとどまらず,うつ病や認知症など精神活動にも影響を与えます.少子化が進み難聴児の絶対数は減少していくと予測されますが,逆に適切な時期に確実に難聴を診断し,早期の療育に繋げる知識,能力が耳鼻科医には求められ,小児の難聴の見落としには厳しい目が向けられる可能性があります.一方,わが国の65歳以上の人口は2022年に36,236,000人に達し,総人口の29%と過去最高の高齢化率となりました.
WHOの報告(2012年)では65歳以上の高齢者の1/3が中等度以上の難聴を有すると見積もられており,これを当てはめると,わが国では約1,200万人の高齢者が中等度以上の難聴を有していることになります.また,慢性の持続性耳鳴の頻度は加齢とともに上昇し,65歳以上では23.6%に達しますので,難聴,耳鳴を訴える高齢患者は今後さらに増加すると予測されます.
今回本書では難聴と耳鳴について,各疾患の病態の理解に必要な基本的な知識および診断と治療について,ハンドブックの名前にふさわしくコンパクトで手元に置き日常診療に活用できる内容を目指し,各領域の新進気鋭の先生方に執筆をお願いいたしました.本シリーズの基となる《ENT臨床フロンティア》の発刊から10年が経過し,この間に「難聴の遺伝子診断」,「骨固定型補聴器」,「軟骨伝導補聴器」,「鼓膜再生療法」,「CTP(cochlin-tomoprotein)検査」など新たな検査や治療機器,治療法が保険収載となりました.これらのうち,「軟骨伝導補聴器」,「鼓膜再生療法」,「CTP検査」については執筆者に依頼し,治療手技,検体採取手技のわかりやすい動画を作成していただきました.また,小児の聴覚心理学的検査(VRA)についても実際の検査手技のビデオを作成していただきましたのでぜひ活用してください.
近年トピックとなっている「聞き取り困難症(listening difficulties)」,「hidden hearing loss」のほか,コラムとして「iPS細胞創薬の現状」,「内耳上皮細胞を標的としたバイオ医薬品の開発」など未来の創薬の現状についても取り上げております.「聞き取り困難症」,「hidden hearing loss」はまだ診断法など未確定の病態ですが,最新の情報と現状について纏めていただきました.
わが国の耳鳴診療ガイドラインは欧米の診療ガイドラインを参考に2019年に完成,発表されました.
この内容を元に各執筆者には非拍動性耳鳴,拍動性耳鳴の問診,検査,治療のポイントを纏めていただき,長期的な予後についても取り上げました.また,トピックとして反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法を追加いたしました.
難聴,耳鳴を扱うすべての耳鼻咽喉科医に,本書を活用して日々の診療に役立てていただくことを願っています.
2023年6月
岩手医科大学耳鼻咽喉科学
専門編集佐藤宏昭
目次
1章 難聴の診断と治療
A.難聴の原因
先天性難聴 (野口佳裕)
Topics iPS細胞創薬の現状 (藤岡正人)
内耳・中耳奇形 (山本典生)
胎内感染,母子感染,垂直感染,先天感染 (小川 洋)
後天性難聴 (平海晴一)
機能性難聴 (杉内智子)
中枢性難聴 (山崎博司)
B.問診・視診のポイント
問診からの診断 (田渕経司)
視診からの診断 (髙橋邦行)
C.検査の進め方と鑑別診断
聴覚検査の進め方と画像診断 (曾根三千彦)
鑑別診断のアルゴリズム (大島猛史)
聴覚心理学的検査(小児) (中澤 操)
聴覚心理学的検査(成人) (亀井昌代)
他覚的聴力検査 (伊藤 吏)
新生児聴覚スクリーニング (片岡祐子)
Topics ワイドバンドティンパノグラム (久保和彦)
D.伝音難聴
鼓膜所見のある伝音難聴 (白馬伸洋)
鼓膜所見正常な伝音難聴 (山本 裕)
骨導補聴器,骨固定型補聴器,骨導インプラント,人工中耳 (工 穣)
Topics 新しい埋め込み型骨導補聴器 (羽藤直人)
軟骨伝導補聴器 (西村忠己)
Advice 鼓膜の再生療法 (金丸眞一)
E.急性感音難聴
突発性難聴 (寺西正明)
急性低音障害型感音難聴 (佐藤宏昭)
急性低音障害型感音難聴とメニエール病 (北原 糺)
外リンパ瘻 (松田 帆,池園哲郎)
急性音響性聴覚障害 (鈴木秀明,古閑友馬,北村拓朗)
ムンプス難聴 (守本倫子)
薬剤性難聴 (日高浩史,本藏陽平)
Topics 内耳上皮細胞を標的としたバイオ医薬品の開発 (神谷和作)
F.外傷性難聴
外傷性鼓膜穿孔 (佐々木亮)
側頭骨骨折 (我那覇章)
Advice 迷路振盪症 (水足邦雄)
耳小骨離断 (吉田尚弘)
G.慢性感音難聴
加齢性難聴 (内田育恵)
騒音性難聴 (和田哲郎)
特発性両側性感音難聴と若年発症型両側性感音難聴 (鬼頭良輔)
H.聴覚リハビリテーション
補聴器 (佐野 肇)
人工内耳 (岩崎 聡,小山田匠吾)
残存聴力活用型人工内耳 (高橋優宏)
Advice 身体障害者認定交付意見書作成に関する注意点および保険医療で扱われる範囲 (小林有美子)
I.聴覚求心路障害
hidden hearing loss (鈴木 淳)
auditory neuropathy spectrum disorder(ANSD) (南修司郎)
J.後迷路性難聴
聴神経腫瘍 (大石直樹)
中枢神経性難聴 (穐吉亮平,加我君孝)
Advice 難聴と認知症 (岡野高之)
K.その他の障害
聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)とは (小渕千絵)
聞き取り困難症(LiD)/聴覚情報処理障害(APD)の臨床 (阪本浩一)
2章 耳鳴の診断と治療
A.耳鳴とは
耳鳴の定義と分類,疫学 (神崎 晶)
自覚的表現による耳鳴の評価 (和佐野浩一郎)
耳鳴のaudiological assessment (松延 毅)
非拍動性耳鳴 (坂田俊文)
拍動性耳鳴 (吉田忠雄)
B.問診・視診のポイント
耳鳴実態調査票(TSCHQ)を用いた問診 (小島敬史)
視診のポイント (山内大輔)
背景因子の問診 (柘植勇人)
C.検査の進め方と鑑別診断
検査の進め方 (松田太志)
耳鳴診断のアルゴリズム (蒲谷嘉代子)
音楽幻聴と楽音性耳鳴の鑑別 (御子柴卓弥,新田清一,鈴木大介)
D.非拍動性耳鳴の治療
教育的カウンセリングと心理療法 (加藤匠子)
薬物療法 (高橋真理子)
音響療法 (上野真史,新田清一)
手術療法 (浦田真次,樫尾明憲)
Topics 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法 (神崎 晶)
E.耳鳴の予後
非拍動性耳鳴の予後 (佐藤宏昭)
拍動性耳鳴の予後 (川島慶之)
Appendix 1 急性感音難聴の診断基準
1 突発性難聴
2 急性低音障害型感音難聴
3 外リンパ瘻
4 音響外傷
5 ムンプス難聴
Appendix 2 耳鳴の問診票と質問票
1 TSCHQ(Tinnitus Sample Case History Questionnaires)
2 THI(Tinnitus Handicap Inventry)
3 TFI(Tinitus Functional Index)
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書籍情報
- ISBN:9784521749570
- ページ数:400頁
- 書籍発行日:2023年7月
- 電子版発売日:2023年7月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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