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- ③最新 ドライアイと涙道疾患ナビゲート―「涙」の問題はこの1冊で解決―<眼科診療エクレール>
商品情報
内容
眼表面の層別診断(TFOD)と層別治療(TFOT)という新概念によってパラダイムシフトが生じているドライアイ診療と,DCR(涙囊鼻腔吻合術)鼻内法や涙道内視鏡の導入で治療の急速な進歩がみられている涙道疾患をとりあげ,各疾患のエキスパートが,最新の診断基準やガイドラインをふまえてわかりやすく解説.「涙」の問題の解決に向けて正しくナビゲートしてくれる1冊!
序文
序
すべてのいのちは尊い。新しく生まれてくる子どもたちは、両親の温かなまなざしを受けながら希望を背負い、家族の喜びのうちに生まれてくる
「涙(なみだ)」に関する慣用句として,「雀の涙」や「蚊の涙」などがありますが,どちらも,量が極めて少ないことを譬(たと)えた言葉です.人(ヒト)の涙も,角膜上の厚みは数μmと非常に薄く,涙液メニスカスに貯留している涙液も数十μLと非常に少量です.しかしながら,涙は眼球を外界の刺激から最前線で守ってくれていますし,無血管組織である角膜の健康維持に必要な酸素や栄養を供給してくれており,眼にとって大変重要な役割を担っています.この涙が,眼表面において安定的に存在できなくなって様々な症状を引き起こすのが「ドライアイ」です.ドライアイは現代病の一つとして捉えられ,近年世界中で患者さんが増えてきました.我が国では1,000万人以上の方がドライアイに苦しんでいると言われています.現在も世界中でドライアイの病態解明に関する研究が行われており,新しい治療法について次々と治験が行われていますが,まだまだ多くの患者さんがドライアイで苦しんでおられます.
一方,眼表面の涙の量が過剰になることで不快感を呈したり,視力低下をきたしたりするのが「流涙症」です.流涙症も,潜在的には非常に多くの患者さんがおられると思います.我が国では「日本涙道・涙液学会(JSLT)」が2011年に発足し,涙道疾患の治療法の開発や涙液動態の解析に取り組んできました.特に我が国では涙道内視鏡を用いた検査や治療が海外に比べて普及しており,学会を挙げてインストラクションコースやスキルトランスファーなどの術者教育に努めています.また,涙道鼻腔吻合術(DCR)についても同様で,cadaver(献体)を用いたDCR外科手技研修が盛んに行われています.今後益々,涙道疾患を得意とする眼科医が増えてくれることを願っております.
本書のタイトルを『最新 ドライアイと涙道疾患ナビゲート―「涙」の問題はこの一冊で解決―』といたしました.これまでドライアイと涙道疾患が一冊の本で同時に取り扱われたことはあまり無かったと思います.我が国を代表するドライアイと涙道疾患の研究者,第一線の臨床家,そして優れた指導者の先生方にご執筆いただき,読者の日常診療を正しくナビゲートしていただける内容になっております.
近年,ドライアイや流涙症について,大学で系統的に学ぶ機会が少なくなっていると思います.特に若い読者には,外来の診察室や医局の本棚に本書を一冊おいていただき,「涙」の病気の患者さんが来られた時に,是非とも役立てていただきたいと思います.
2024年2月
担当編集 堀 裕一
目次
Chapter 1 総論
1.1 涙腺 (平山雅敏)
1.2 涙液層 (内野裕一)
1.3 角膜知覚神経と涙液分泌 (田川義晃)
COLUMN TRPM8と涙液分泌
COLUMN ソフトコンタクトレンズの乾燥感
1.4 瞬目と涙液動態 (渡辺彰英)
1.5 涙道の解剖 (廣瀬浩士)
Chapter 2 ドライアイ(1)定義・診断基準,検査
2.1 定義と診断基準,ドライアイのサブタイプ (堀 裕一)
2.2 問診,自覚症状の評価 (梛野 健,猪俣武範)
2.3 BUTとNIBUT (糸川貴之,鈴木 崇)
2.4 BUPとTFOD (加藤弘明)
2.5 角膜・結膜上皮障害の評価 (山口昌彦)
2.6 涙液検査 (宇都宮嗣了)
2.7 ドライアイと視機能 (海道美奈子)
Chapter 3 ドライアイ(2)治療
3.1 TFOD/TFOTについて (横井則彦)
3.2 ジクアホソル点眼 (島﨑 潤)
3.3 レバミピド点眼 (吉川大和)
3.4 ヒアルロン酸,人工涙液 (前原紘基)
3.5 抗炎症治療,内服薬 (川島素子)
3.6 涙点閉鎖,涙点プラグ (小室 青)
ADVICE 肉芽ができたときの対処法(PPL プラグ法)
Chapter 4 ドライアイ(3)ドライアイと関連する疾患
4.1 マイボーム腺機能不全(MGD) (有田玲子)
4.2 コンタクトレンズ不耐症(CLD) (高 静花)
COLUMN 所変われば感覚も違う
COLUMN 微妙な翻訳の違いって?
4.3 神経障害性眼疼痛(NOP) (内野美樹)
4.4 ドライアイ類縁疾患 (田 聖花)
4.5 アレルギー性結膜疾患とドライアイ (福田 憲)
TOPICS 新規アレルギー治療薬によるドライアイ
Chapter 5 ドライアイ(4)ドライアイと間違えやすい疾患
5.1 薬剤毒性角膜症 (難波広幸)
5.2 眼瞼けいれん (細谷友雅)
TOPICS ボツリヌス治療による涙液異常の改善
5.3 マイボーム腺炎角結膜上皮症 (鈴木 智)
Chapter 6 涙道疾患(1)定義・診断基準,検査
6.1 流涙症の定義と診断の進め方 (白石 敦)
6.2 問診 (今野公士)
6.3 涙管通水検査 (植田芳樹)
6.4 涙液メニスカス検査 (田中 寛,古澤裕貴)
6.5 涙道疾患に対するMRI検査 (大島浩一)
6.6 涙道内視鏡検査 (鎌尾知行)
6.7 鼻内視鏡検査 (廣瀬美央)
Chapter 7 涙道疾患(2)治療法・手術
7.1 プロービングおよび涙道内視鏡下プロービングの基本手技 (佐々木次壽)
ADVICE プロービングにバンガーター針23Gを勧める理由
ADVICE 涙管通水検査やプロービングで抑制したときは細隙灯顕微鏡検査と眼底検査を
7.2 涙管チューブについて (三村真士)
7.3 涙道内視鏡手術 (鶴丸修士)
ADVICE 総涙小管の閉塞を穿破する
ADVICE SNEPの難易度
TOPICS 涙道内視鏡チューブ挿入術における患者の痛みについて
ADVICE 仮道形成について
7.4 DCR鼻外法 (嘉鳥信忠)
7.5 DCR鼻内法 (高橋 辰)
Chapter 8 涙道疾患(3)疾患別の診療の実際
8.1 先天鼻涙管閉塞・先天涙嚢瘤 (松村 望)
8.2 急性涙嚢炎 (藤本雅大)
COLUMN 眼窩膿瘍を伴う急性涙嚢炎
8.3 慢性涙嚢炎 (岩崎明美)
TOPICS 粘液の逆流~ROPLAS
TOPICS 慢性涙嚢炎での内眼手術
8.4 涙小管炎 (中山知倫)
8.5 涙小管断裂 (高橋靖弘)
8.6 点眼薬による涙道障害 (宮崎千歌)
8.7 抗がん剤による涙道障害 (柏木広哉)
8.8 涙道腫瘍 (加瀬 諭)
8.9 機能性流涙 (石嶋 漢)
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書籍情報
- ISBN:9784521750538
- ページ数:312頁
- 書籍発行日:2051年1月
- 電子版発売日:2024年6月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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